朝鮮中央通信は13日、最高人民会議が12日に平壌で開催されたと報じた=(朝鮮中央通信=聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】北朝鮮は新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大している中、数百人の代議員を平壌に集結させ、最高人民会議(国会に相当)を開催した。

 北朝鮮の朝鮮中央通信は13日、平壌で12日に最高人民会議が開かれたと報じた。会議の結果、李善権(リ・ソングォン)外相や金衡俊(キム・ヒョンジュン)朝鮮労働党副委員長(国際部長)らが国務委員会委員に選出された。昨年末の党総会で改編された外交部門の中心人物らが国務委入りを果たした。

 今年初め、外相に就任したことが確認された李善権氏は党政治局候補委員に続き、国務委員にも選任された。崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官は名前が呼ばれず、座っている姿が見られ、国務委員の資格などを維持していると推定される。

 会議では李炳哲(リ・ビョンチョル)党副委員長、キム・ジョンホ人民保安相、金正寛(キム・ジョングァン)人民武力相(国防相に相当)も国務委員に選出された。

 李炳哲氏は金正恩(キム・ジョンウン)体制発足後、核兵器など武器開発を指揮した中心人物で、昨年2月の米朝首脳会談が物別れに終わった後、北朝鮮が集中的に開発・試射を行ってきた戦術兵器の成功が反映された人事とみられる。

 キム・ジョンホ氏の場合、朝鮮労働党機関紙、労働新聞に星三つの上将の階級章をつけている軍服姿の写真が掲載され、崔富一(チェ・ブイル)前人民保安相の後任であることが確認された。

 李洙ヨン(リ・スヨン、前党国際部長)、太宗秀(テ・ジョンス、前党軍需工業部長)、李容浩(リ・ヨンホ、前外相)、崔富一、努光鉄(ノ・グァンチョル、前人民武力相)の各氏は国務委員を解任された。

 会議では今年の国家予算案も承認された。同通信によると、今年の経済全般を整備・補強し、人材育成や科学技術発展に投資を集中、「自立の土台と国家防衛力強化のための正面突破戦」を財政的に担保できるよう予算収入と支出を編成した。

 とりわけ、保健部門の予算は前年(5.8%増)より増加幅が大きい7.4%増やしたとして、「平壌総合病院の建設に必要な資金を計画通り保障する」と明らかにした。

 国家予算支出は前年比で6%増え、支出総額の47.8%を経済建設に充てる。金属や電力、軽工業、農業、水産業への支出はそれぞれ7.2%、科学技術部門は9.5%増やした。国防費は支出総額の15.9%を充てる。

 一方、代議員ではない金正恩国務委員長(朝鮮労働党委員長)は会議に出席しなかった。

 北朝鮮は10日の最高人民会議開催を予告していたが、2日遅れの開催となった。開催を延期した理由については明らかにしていない。

 金正恩氏の主宰で11日に実質的な意思決定機関の党政治局会議が開かれ、新型コロナウイルス対策などについて議論した。

 北朝鮮メディアが公開した写真によると、政治局会議は小規模で行われたが、最高人民会議には数百人が出席したとみられる。最高人民会議の代議員は約680人に上る。

 公開された写真では最高人民会議は室内で行われたが、事実上全員がマスクを着用しなかった。