休校や在宅がチャンス? 家庭でもできるプログラミング教育の準備とやり方

写真拡大 (全4枚)

2020年度(令和2年度)から小学校の授業でプログラミング教育が必修化されます。
多くの人は「プログラミング」と聞くと英語や数式の並んだプログラムのコードを思い浮かべるかと思います。

「そんな難しいこと、小学生にやらせるの?」
そう考えてしまいますが、ちょっと違います。
必修化されるプログラミング教育とは、こうした専門用語やコードだらけのプログラムを書けるようにする勉強ではありません。
直前の今になっても、このことは意外と知られていません。

そこで今回は、必修化されるプログラミング教育とはどんなものかを解説していきます。


○プログラミング教育は「プログラミング的思考力の育成」が目的
従来、プログラミングの授業といえば早くて中学校の選択授業、または高校で触れるかどうかというものでした。
これらはまさにプログラミングと聞いて真っ先に思い浮かべる、英語のコマンドや数式を書いてプログラムを動かす、まさにプログラマー育成のようなことでした。

しかしこれから行われる小学校でのプログラミング教育は
「プログラミング的思考力の育成」
これが目的となります。

そう言われても
「プログラミング的思考力って、何?」
そうとなりますよね。

例えば
・ボタンを押したらライトが着く
・音が鳴ったら車が走る
このように、物事の動作の仕組みを、スタートからゴールまで追って「なぜ動くのか」を考える力が、プログラミング的思考力と呼ばれています。

また、最近は若年層を中心にパソコンの使い方がわからない世代が増えています。
筆者は30代前半で、小中学生の頃にWindows 95の発売やインターネットの商用サービスが始まり「IT革命」や「一家にパソコンが一台」の時代を子どもとして過ごしてきました。

パソコンが生活の中にあるのは当たり前でしたし、スマートフォンのように便利にインターネットを利用できるものもなかったため、必然的に「ネットを使うならパソコンを使う。パソコンを使うからパソコンのスキルが蓄えられる」環境にあったわけです。

しかし現在はスマートフォンが普及し「パソコンでできることはスマートフォンでできる」時代になりました。すごく便利になった反面、パソコンが自宅にない家庭も増え、日常でパソコンに触れることなく育つ子どもが増えています。
パソコンで基本的な操作となる文字入力もおぼつかない子どもが増える原因にもなっています。

そのため、プログラミング教育を必修化することでパソコン操作にも慣れることも目的のひとつに挙げられています。


○小学生向けのプログラミング教材
今後実施される小学生向けのプログラミング教育を円滑に行うため、現在色々なプログラミング教材が発売されています。




例えばソニーの子会社である「ソニー・グローバルエデュケーション」が提供するKOOV。
これはブロックを組み立て、子供が好きなように生き物や乗り物を組み立てることができます。
そして組み立てたブロックにはモーターやセンサーを組み込むことができ、これをパソコン上のソフトウェアで
・○○したら走る
・○○したら口が開く、閉じる
といった動作の仕組みを決め動かすことができます。




また「micro:bit」は、プログラミング教育教材として、先行して授業を行っている小学校やプログラミング教室で用いられることが多い。
これも小さなマイコンボードにボタンや光センサーを加えるなどし、パソコン上でKOOVのように「○○したら××する」といった動作の仕組みを指示し利用することができます。




実は、プログラミング的思考力は、
パソコンのない家庭でも勉強を行うことは可能です。

パソコンではなくiPhoneやiPadとBluetoothやWi-Fiで接続し同じようなことが行える「embot」というキットも販売されているからです。
さらに紙テキストの問題集も全国の書店やスーパーの文具コーナーにて販売がされています。

筆者宅でも小学生の子どもに余っていたタブレットやPCを、子ども用として自由に使わせています。
「○○を見たいんだけど出てこない」
などと、YouTubeでお目当てのものが見られないことに不満を漏らすこともありますが、それは
「検索の仕方がわからないから」
「キーボードで文字が入力できないから」
でもあります。

筆者も子どもに、いまからゲーム感覚でタイピングが練習できるソフトで遊ばせながら、まずはパソコンの操作に慣れてもらおうと工夫しています。

また、現在は休校中で外出もままならないため、家の中でもできるブロックやプラモデルなど「動かす仕組みや工夫」が遊びながら理解できるものを用意して、ときに一人遊び、ときには親子で一緒に作るなどしながら、間もなく始まるプログラミング教育への備えを行っています。

新年度から始まるプログラミング教育ですが、先行して取り組む学校に取材すると。まだ手探りで取り組んでいる様子がうかがえます。
それは今後もしばらく続くかもしれませんが、
プログラミング教育の重要性や行われることが変わることはかわりません。
・仕組みを考える力
・パソコン操作に慣れ親しむこと
プログラミング教育の目的は、ハッキリとしています。

学校での授業がどうなっていくかは未知数ですが、これを機会にご自宅でもお子さんに、パソコンをさわらせるなど、今回紹介した教材を親子で試すなど、できることから家庭でも取りかかってみてはいかがでしょうか。


執筆 迎 悟