1/6冥王星の衛星カロンは、太陽系でもひときわ興味深い衛星だ。2015年、探査機「ニュー・ホライズン」は冥王星系の近くを飛行し、カロンに関するたくさんの新データを収集した。カロンのひときわ目立つ特徴は赤っぽい北極で、これは冥王星の大気から頂戴した物質で構成されている。この赤いタールのような物質は、有機化合物が紫外線照射されて生成される「ソリン(tholin)」。冥王星や、土星の衛星タイタンなど、太陽系のそのほかの氷の天体にも見られる物質だ。PHOTOGRAPH BY NASA/JOHNS HOPKINS UNIVERSITY APPLIED PHYSICS LABORATORY/SOUTHWEST RESEARCH INSTITUTE 2/6太陽系でもっとも有名な衛星は、(月を別にすれば)おそらく木星の衛星エウロパだろう。月よりわずかに小さい程度のサイズだが、氷の外殻の下に、地球の海全体よりも多くの水を宿す、水に満ちた衛星だ。探査機ニュー・ホライズンは、冥王星へ向かう途中で木星を通過したとき、この巨大な惑星越しに昇るエウロパの姿をとらえた。PHOTOGRAPH BY NASA/JOHNS HOPKINS UNIVERSITY APPLIED PHYSICS LABORATORY/SOUTHWEST RESEARCH INSTITUTE 3/6「有名さ」という点で2位につけているのが、土星の衛星エンケラドゥスだ。「タイガー・ストライプス(Tiger Stripes)」と呼ばれるひび割れから、氷の粒子や水蒸気を宇宙空間に噴出する「プルーム」が観測されている。探査機「カッシーニ」は、2017年にミッションを終える前に、プルームのなかを複数回通過してサンプルを採取した。この見事な写真は、カッシーニが11年に撮影したエンケラドゥスと、その背後にぼんやり見える土星の環だ。この写真は芸術的でありながら、氷の衛星エンケラドゥスと比べた際の土星の巨大さも垣間見せている。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL/SPACE SCIENCE INSTITUTE 4/6エンケラドゥスを有名にしているのは、ストライプと呼ばれる「溝」だ。このクローズアップ写真はゾウの皮膚のように見えるが、実はカイロ溝とバグダッド溝と呼ばれる2つの溝を写したものだ。これらの溝は、プルームが噴出することで知られている。カッシーニは、土星の周囲をまわりながら、エンケラドゥスとその地質学的活動を調べ、地表を覆う氷の下にあると見られる「海」について、情報を得ようとした。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL/SPACE SCIENCE INSTITUTE 5/6探査機「ヴォイジャー2号」は1989年、いくつかの外惑星を訪ねたあと、海王星と、その巨大な衛星トリトンのそばを通過した。この写真は、トリトンの奇妙な世界をとらえた数少ない画像の1枚だ。トリトンは、太陽系で最も有名な衛星ではないかもしれないが、エンケラドゥスと同じようなプルームと、冥王星に似た蛇皮のような領域が見られることから、注目に値する衛星のひとつといえる。PHOTOGRAPH BY NASA 6/6『スター・ウォーズ』に登場する「デス・スター」のようなこの星は、土星の数ある衛星のひとつ、ミマスだ。右側の領域に見られる、衝突でできた大きな盆地は「ハーシェル・クレーター」と呼ばれ、この小さな衛星の表面のかなりの部分を占めている。表面積でいえば、ミマスはスペインくらいの大きさだ。ただし、スペインとは違って、この衛星はほとんどの部分が氷でできている。ひとつの大きな雪玉のようなものなのだ。PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/SPACE SCIENCE INSTITUTE

太陽系には、数々の驚くべき衛星がある。もちろん、地球の月はとても見事だ。しかし、地球に気を悪くしてもらいたくはないのだが、派手で刺激的な衛星はどれも、太陽から離れたところにある外太陽系に存在していると言えるだろう。

「地球の月だけじゃない。太陽系にある驚くべき衛星たちの姿:今週の宇宙ギャラリー」の写真・リンク付きの記事はこちら

太陽系のふたつの巨大ガス惑星である木星と土星には数十もの衛星があり、なかには太陽系全体で最も奇妙で、科学的に興味深いものもある。おかしな形をした岩でできた小さな衛星もあれば、氷と岩が入り混じった大きな衛星もある。氷の表面の下に大きな海が広がる衛星まである。

人類はいまはまだ、太陽系に存在する多様な衛星の可能性を探り始めた段階にすぎない。今回のギャラリーでは、太陽系のなかでも特に目立つ、いくつかの衛星を訪ねてみよう。

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