新型コロナウィルス感染症が広がる現在、手洗いと除菌は誰もが欠かさない。そして、その結果としてさまざまな事態が生じている――Amazonにおける除菌製品の売り切れもそのひとつだ。これはつまり、同分野のオンラインブランド勢が未曾有の需要を目の当たりにしていることを意味する――そして、それに迅速かつ効率的に応えねばならない状態にあることも。

匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらうDIGIDAYの「告白」シリーズ。今回はAmazonで洗浄剤製品を販売するブランドのeコマース部門トップに話をうかがった。同社の製品は米大手量販店でも、さらには自社ウェブサイトでも販売されているが、Amazonでの売上が大半を占めている。特定商品への需用急騰を受けての戦略変更と、この状況への対応策について、同幹部が本音を明かしてくれた。

なお、読みやすさと文字数を考慮し、発言には多少編集を加えてある。

――まず、コロナショックにおける、短期的影響は?

ハンドソープと表面洗浄剤を中心に、売上は著しい伸びを見せている。ただ、話はそこで終わらない。この数週間、手指消毒剤の在庫を切らしている。速度など詳しくはコメントできないが、すでに複数のリテーラーから大口の注文が来ており、来週(3月第2週)、商品が入ったら、すぐに送って欲しいと言われている。この先1カ月半にわたり、製造工場をフル稼働させていく。注文は基本的にすべて[手指消毒剤]だ。

――広告戦略の変更は?

広告については、スペンドが大幅に増えている。メトリクス――ACoS(売上高広告費率)を使い、採算性と紐付けて考えている――については、チェックを怠らないようにしている。ソフトウェアを入札の管理に役立てている。非常に動きが激しく、1日のなかでもほぼ常に変化しており、どこにいくら使っているのか、またはいないのか、めまぐるしく移り変わる。ただ、総じて言えば、とくにハンドソープの場合、検索数もスペンドも、この2週間に飛躍的に上昇した。
常に良質な製品を提供し、クオリティに関しても、値段に関してもぶれることのない、消費者から信頼される会社でありたい。近しい人々から、「おい、手指消毒剤にいくらふっかけるつもりだ?」などと冗談を言われたこともあるが、在庫があった1月時点と同じ値段を付ける以外、考えていない。この機に乗じて値段をつり上げるのは、道義に反する。

――在庫問題に対する自信はある?

今後のサプライチェーンについては、十二分にコントロールできる状態にある。来週(3月第2週)末までには、十分な在庫を確保できる見通しだ。Amazonの顧客だけに限定供給するようなやり方には興味がない。自社のウェブサイトにも出していきたい。当然、価格はすべてAmazonのそれと同じにする。ただし、需要の程度を把握し、Amazonの顧客用に十二分な在庫を確保できるまで、当面はロイヤルカスタマーのために取っておくつもりだ。

[商品が入荷次第]、広告宣伝活動にさらに力を入れていく。まずは既存顧客が購買機会を逃すことのないようeメールで告知し、数日間様子を見てから、状況に応じてGoogleなどに広告を打ち、新規顧客の[自社サイトへの]誘導を図っていく。そのための資金は十分にあるが、いずれにせよ、コンバージョン率はかなり高くなるだろう。全体に在庫が不足し、選択肢が限られている現状を踏まえての見方だ。

――販売に対する需要の変化は?

通常はオンラインが[弊社の販売の]大半を占める。ただ、目下の特殊な状況においては、店舗販売に対する需要がオンラインのそれを圧倒的に上回っている――少なくともいま現在、我々の目に見える限りではそうだ。[リテーラー勢は]困難な状況にある。大勢の人々が店を訪れては、手指消毒剤が売り切れだと知り、当惑している。

販売法についても、顧客の獲得法についても、我々の姿勢は基本的にトライアル(試験/挑戦)だ――実際、我々はトライアルの産物と言える。いまの状況は、多くの人々に我々のブランドを紹介し、彼らに多くのアクセスを提供する機会と捉えている。無理に手を広げるよりも、要地に集中したいと考えた。第1が自社サイト。第2がリテールパートナーだ。[小売店の]訪問数が我々(のサイト)とは比較にならないほど多いという事実からわかるとおり、彼らに対する需要のほうが高い。

だからこそ、我々は多くのリテーラーと深いレベルでパートナーシップを結びたいと考えた。彼らをしっかりと支援し、我々の商品を新規顧客に紹介してもらうためだ。そしてそれは、我々の商品の、我々のブランドのトライアルになる。人々が弊社のロゴを、ブランド名を認識してくれて、それが心に響くようになってくれるのが願いだ。そうなることが、社会に貢献できるだけでなく、新たな人々に我々のブランドを紹介できる力の証と考えている。

――つまり、この状況を自らが営む自社サイトでの売上増に活用したいと?

Amazonは優れた集客ツールであり、とくに新規ブランドにとってはそうだ。この状況は未曾有といえるものであり、次に同じことがいつ起きるのか、予想はできないに等しい。我々としては、値付けにしろ、販売方法にしろ、通常と何も変えずに行ける態勢を整えるためのひとつの機会と捉えている。

ただし、我々にはいま、非常に需要の高い商品がひとつある。では、我々が人々との関係を確立したいところは? 答えは、我々のウェブサイトだ。自社サイトはもっとも豊かな情報源であり、顧客と双方向の会話をもっとも多く持て、彼らにもっとも多くの価値を提供できる場にほかならない。

需要の急激な増大はここ3週間の出来事であり、つまりは、まだ生まれたての状況だ。ただ、我々はすでにかなりの程度コントロールできている。フットワークの軽い、小さな会社の利点は、変更が容易で、すぐに動ける点にある。巨大なクルーズ船が方向転換するのとはわけが違う――うちは小型スピードボートだ。超高速で走りながら急旋回できる性能を備えている。

Cale Guthrie Weissman(原文 / 訳:SI Japan)