きょう15日に放送されるTBSの新たなお笑いネタ特番『ザ・ベストワン』(15日18:00〜21:00)。MCを務める今田耕司は、先月放送された『NETA FESTIVAL JAPAN』(日本テレビ)のほかにも、『M-1グランプリ』(ABCテレビ)、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)と、1つの局に限らず、さまざまなネタ番組でMCを担当している。

なぜ、今田はこの手の番組で重宝されるのか。『爆笑レッドカーペット』や、今回の『ザ・ベストワン』で共に仕事をする共同テレビの藪木健太郎氏に聞いてみた――。

『ザ・ベストワン』のMCを務める今田耕司 (C)TBS


○■親和性は「もう最高です!」

単刀直入に、今田とネタ番組の親和性を聞いてみると、「それはもう最高ですね!」と即答した藪木氏。「『ここも面白かったでしょ?』っていうのを、解釈してくれるんです。それは、芸人さん同士でしか分からない“舞台袖が笑う”というような細かいところではなく、本来の面白さに一個付け足して、別の面白どころを視聴者に伝えるコメントをしてくださるんですよ」と解説する。

『ザ・ベストワン』は、芸人たちが“ベストワン”のネタを披露するという番組。芸歴29年目を迎えた博多華丸・大吉が「20代の頃頼りにしていたネタベストワン」を披露すると、今田は「あんなに元気ではしゃいでる大吉見れないですよ!」と、ネタのそのものの面白さ以外にも、今やベテランの域に達し、華丸を見守るようなツッコミスタイルを確立した大吉が見せた、まさかのアグレッシブな動きをアピールしていた。

さらに、藪木氏は「記憶力が本当にすごいですね」とも分析。『爆笑レッドカーペット』は、ショートネタを次々に披露していく構成だが、「何個か前の、しかも最初のフリの部分で言ったセリフを覚えて、そこをまたイジったりしてくれるんです」と驚く。それに加え、「芸人さんが小さな失敗をしてしまっても、全部笑いに変えていく反射神経もすごいです」と、求められる様々なスキルを兼ね備えているそうだ。

今回の『ザ・ベストワン』でも、ネクストブレイク必至の若手芸人が1分尺の超ショートネタを披露する「ベストワンミニッツ」のコーナーが展開され、藪木氏は「今田さんの記憶力と反射神経のすごさが分かる場面があります」と予告している。

『ザ・ベストワン』MCの(左から)今田耕司、笑福亭鶴瓶、水原希子 (C)TBS


○■ネタ番組増加の背景は…

そんな今田がMCを務め、新たに立ち上がった『ザ・ベストワン』、2月に放送された『NETA FESTIVAL JAPAN』に加え、TBSでは『史上空前!!笑いの祭典ザ・ドリームマッチ』(4月11日放送)が6年ぶりに復活するなど、ここに来て一気にネタ番組の数が増加している。その背景にあるのは、「個人視聴率」「コア層」の重視だ。

テレビ各局では、従来「世帯」を指標にしていた視聴率を、この4月から「個人全体」をメインに変更する。つまり、今まではテレビ視聴の多くを占める高齢層が1人でも見ていたら「世帯」の視聴率にカウントされていたが、若年層やファミリー層など他の年代も含めて多くの人数に見てもらわないと、「個人」の数字がより伸びない構造になるのだ。

そこで強いコンテンツになるのが、若年層やファミリー層などの支持を受ける「ネタ番組」。さらに、TBSが「ファミリーコア(男女13〜59歳)」を重視するように、広告のターゲット戦略から幅広い世代が楽しめる番組が求められるようになったことも、“ネタ番組復権”の背景にある。

藪木氏は「この10年、『情報、教養、役に立つという要素がないと…』と言われ続けてきたのですが、ネタ番組やお笑い番組を作っている僕らにとってはありがたい風潮になってきたと思います」と実感。「これからのコンテンツは、ユーザーに刺さらないと生き残っていけないと思うので、すごくいい流れになっていると思います」と期待を語っている。

『ザ・ベストワン』総合演出の藪木健太郎氏


●藪木健太郎1971年生まれ、三重県出身。早稲田大学卒業後、95年にフジテレビジョン入社。照明部から02年にバラエティ制作に異動して『アヤパン』『力の限りゴーゴゴー!!』『笑う犬』『新堂本兄弟』『爆笑ヒットパレード』『エニシバナシ』『おじさんスケッチ』などを担当。『爆笑レッドカーペット』『爆笑レッドシアター』『THE MANZAI(第2期)』『うつけもん』『オサレもん』『ツギクルもん』『ENGEIグランドスラム』『笑わせたもん勝ちトーナメント KYO-ICHI』などのネタ・演芸番組を立ち上げ、18年から共同テレビジョンに出向。『〜両親ラブストーリー〜 オヤコイ』(読売テレビ)、『NHK杯 輝け!!全日本大失敗選手権大会 〜みんながでるテレビ〜』(NHK総合)、『カバる!〜あのコントを俳優がカバーしたら〜』(NHK BSプレミアム)、『ネタX(エクス)チェンジ』(読売テレビ)などを手がける。