Amazonが10月にウォルト・ディズニー・カンパニー(The Walt Disney Company)と対立し、ディズニープラス(Disney+)をAmazonのコネクテッドTVプラットフォームから締め出すと脅したことは、ストリーミング業界全体に警鐘を鳴らした。Amazonは世界最大のメディア企業であるディズニーとすら争う姿勢を見せていることは、ほかの企業たちにとって何を意味しているのだろうか。

Amazonとディズニーは最終的には一時的な緊張緩和に落ち着いたが、新年に入りAmazonやロク(Roku)のようなコネクテッドTVプラットフォームのオーナーたちとの関係はより衝突を生むかもしれないとメディア企業のエグゼクティブたちは予想している。「彼らは力を持って威嚇をしてくるだろう」とコネクテッドTVプラットフォームのメディアエグゼクティブのひとりは語った。

プラットフォームの強まる立場

これまで、プラットフォームに対して威嚇をけしかけていたのはメディア企業側だった。Amazonやロクが消費者にデバイスを購入してもらうために必要なプログラムをメディア企業が提供していたからだ。そのような関係性のなかでは、プラットフォーム側がすべての広告対応アプリの広告在庫からシェアを求めても、大手広告対応ストリーミングサービスやテレビネットワークはそれを切り捨てることができた。それはプラットフォームでの配信に対する彼らのニーズよりも、プラットフォーム側が彼らのコンテンツを必要とするニーズの方が大きいことを理解していたからだ。

しかし、Amazonとロクのプラットフォームは3000万人超の月間アクティブユーザーを集めるに至っている。現在、彼らは非常に大きな力を持っており、それを活用する姿勢を見せている。「広告在庫をシェアしない場合は、アプリストアから(メディア企業の)アプリを排除するだろう」と、もうひとりのメディアエグゼクティブは語った。

プラットフォームに自社の広告在庫を売らせずに済んでいたメディア企業はいまでは、プラットフォーム側に対してより妥協しなければならなくなっている。インプレッションを無料で渡す代わりに、プラットフォーム側が自社の在庫を販売できる契約を結んでいる。「我々はファイヤTV(Fire TV)が必要だ。そして彼らは在庫がもっと必要だ」と、メディア企業のエグゼクティブのひとりが語った。

ストリーミング業界における変化

その他の例では、プラットフォーム上にアプリを持つメディア企業たちがコネクテッドTVアプリの宣伝のための資金投入を増やすよう、配信契約交渉の際のロビーイングをプラットフォーム側がかなりアグレッシブに行っている。「マーケティングや宣伝といった議題がこれらの話に挙がっている」と、もうひとりのメディア・エグゼクティブは述べた。

コネクテッドTVプラットフォームとメディア企業の間の関係性における変化は、ストリーミング業界におけるひとつの変化を示しているかもしれない。しかし、従来のテレビ業界出身のエグゼクティブたちは、これを昔あった形態の再来と捉えている。「コネクテッドTVプラットフォームは新しいMVPDになっている」と、ひとりのテレビネットワークエグゼクティブは述べた。MVPDはコムキャスト(Comcast)やディッシュネットワーク(Dish Network)といった、有料テレビプロバイダーを示す用語だ。彼らはテレビネットワークと配信契約を交渉し、契約内容が気に入らなければネットワークごと排除することがある。

「(コネクテッドTVプラットフォームの)多くがMVPDの抱えているもっとも優れた人材を獲得しており、MVPDのようにメディア企業との関係を扱うことを学んでいる」と、テレビネットワークのエグゼクティブは語った。

スマートTV勢はもっと柔軟な姿勢

パワーバランスはプラットフォーム側に傾いていることはメディア企業のエグゼクティブたちも認めているものの、自分たちに有利な方向に今後変化があるかもしれないとも期待している。Amazonやロクといった企業はストリーミング配信の市場を独占しているが、競争は激化している。サムスン(Samsung)やヴィジオ(Vizio)のようなスマートTV製造メーカーは、彼ら自身のコネクテッドTVプラットフォームを構築しており、メディア企業ともよりフレキシブルな交渉姿勢を示していると、複数のメディア企業エグゼクティブたちは証言している。

「スマートTVの人々との私の経験は、(プラットフォームと比べて)平等な対話の雰囲気があり、彼らは興味を示しており契約におけるどのような数字も交渉に対応する気構えがある」と3番目のメディアエグゼクティブは語った。もちろん、このような感想は過去にコネクテッドTVプラットフォームに対しても発されたことがあったことは特筆に値するだろう。

Tim Peterson(原文 / 訳:塚本 紺)