SGホールディングスの株価にブレーキが(イメージ)

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物流大手の事業子会社、佐川急便を擁するSGホールディングス(HD)の株価が2019年末に連日年初来安値を更新した。

11月の宅配事業の取扱個数が2カ月連続の前年割れだったことをきっかけに売りが優勢になった。中間決算の段階では赤字転落したライバルのヤマトHDとは逆に通期の業績予想の上方修正や増配を発表し、株価でも明暗が分かれていたが、ここへきて今後の成長に疑念が生じているようだ。

構造改革進んでいると評価されていたが...

SGHDが2019年12月20日の取引終了後に発表した11月の取扱個数は前年同月比5.1%減の1億1100万個だった。消費税増税直後で駆け込み需要の反動減があった10月(6.2%減)より減少幅は縮んだものの、依然大きい。SGHDは「2019年の11月は2018年に比べて平日が1日少ない」ことを減少の理由に挙げているが、株式市場では「曜日だけでは説明がつかない。マイナスが続くのではないか」との見方が広がり、売りを誘った。

SGHDの株価は週明け12月23日の東京株式市場で一時、前週末終値比2.5%(65円)安の2513円まで下げ、10月23日の年初来安値(2512円)に接近した。翌24日には一時2508円をつけてあっさり年初来安値を更新。さらに25日と大納会の30日にも相次いで年初来安値を更新した。日経平均株価が年間の終値としては29年ぶりの高値をつけた30日だが、SGHDは終値が安値と同じ、つまり、年初来安値(2460円)で1年の取引を終えるというあまり縁起の良くない結果となった。

最近のSGHDは、取扱個数の低迷などにより2019年9月中間連結決算で純損益が34億円の赤字(前年同期は99億円の黒字)に転落したヤマトHDに比べ、宅配ビジネスの構造改革を進めているというのが市場関係者の一般的な評価だった。SGHDの2019年9月中間連結決算は、純利益が14.8%増の219億円、取扱個数は4.0%増の6億5600万個だった。

12月の動向次第ではさらなる下落も

荷主への値上げも順調に進んだことから平均の荷受け単価は4.8%増の636円となり、2020年3月期の通期目標をクリアしたため、通期目標をさらに641円に上方修正。通期の業績予想も上方修正し、純利益は従来予想より25億円増の470億円とした(前期実績は434億円)。通期の想定取扱個数も従来の13.1億個から13.3億個に引き上げた。さらに2020年3月期の配当予想も従来予想より2円増配の44円(前期実績比3円増)に引き上げた。

野村証券は中間決算発表後のリポートで、「BtoCの荷物が増加する際には外注費も増加するが、増収率以上の増益率を確保できるように厳密に費用管理ができている体制は評価できる」と記した。中間決算発表後の株価もヤマトHDが売られる一方でSGHDが買われ、明暗が分かれていた。

そのようにSGHDに対する期待が高まった後だけに失望売りを生んでいるようだ。SGHDは東京都江東区に建設中の大型物流施設「Xフロンティア」が2020年1月末に完成することで、オペレーションの効率化が進むと説明しているが、荷物が減り続けては宝の持ち腐れになりかねない。繁忙期の12月の動向次第ではさらに株価が下落する可能性もある。