「悩むのはムダ」と堀江さんが言い切る理由とは?(写真提供:朝日新聞社)

日本初の民間ロケットの打ち上げに成功、最近はYouTuberとしても注目される堀江貴文氏。さまざまなイベントや、ゴルフなどの趣味に国内外を飛び回る堀江氏は、スキマ時間に触るスマホで仕事の指示を送っている。

「いかに時間を使わずに多くのものを生み出し、効率よく世の中に伝えるか」を徹底する堀江氏の「時間術」とは?堀江氏が何よりも大切にする「時間」だけをテーマにした初の著書『時間革命』から一部を抜粋・再構成して紹介します。

世間を意識して悩むという最悪のムダ

あなたの人生を削っていくのは他人のために使っている時間、「他人時間」だ。

ただし、勘違いしないでほしい。他人時間の正体は、「他人そのもの」ではない。時間を手に入れることを真剣に考えるとき、何よりもの敵は「自分」である。

そう、ほとんどの「他人時間」の発生源は、あなた自身のなかにある。ほかでもないあなた自身が、貴重な「自分時間」を捨てている犯人なのである。

なぜそんなことになるのか?その原因は、あなたが「悩んでいる」からだ。

人生における最大のムダ、それは「悩み」の時間である。

悩むのは、何か決まった問題に対して前向きに解決策を考えるのとは違う。本当は「こうしたい」という自分なりの答えがあるのに、ロクでもない「プライド」や「自意識」が足を引っ張っている状態なのだ。

ぼくがやっているオンラインサロンでも、それなりに答える価値がある質問からクソみたいな人生相談まで、じつにさまざまな悩みが寄せられるが、「お悩み相談」に対するぼくのスタンスは昔からずっと変わらない。

思えば、ライブドアの社長時代にも、「起業しようかどうか迷っていて……」などとぼくのところに相談に来る社員はよくいた。

そんなとき、ぼくはいつも「やりたいんでしょ? やればいいじゃん。明日には辞表を出しなよ」と答えていた。これは、別に意地悪で言っていたわけでない。むしろ、これこそが正しい悩みへの対処法だといまだに信じている。

悩みがあるのは、別の「やりたいこと」が生まれている証拠だ。しかし、ほとんどの人はここで、変なプライドが邪魔をする。

「失敗したときに、みんなにバカにされたら恥ずかしい……」

「大企業を辞めて、小さな会社で働くのはみっともないかな……」

「親戚や同級生、同期はどんな目で見るだろう……」

こんなものははっきり言って、ただの自意識過剰だ。

みんな自分のことに精一杯だから、他人の行動が賢明かどうかを気にかけているほど暇ではないのだ。あなただって、いちいち他人のバカな行動を監視しながら生きているわけじゃないだろう。

自意識が描き出す「世間」は、心のなかの幻である。あなたが勝手に気に病んで、勝手につくり出しただけの妄想――。そんなものは全部取っ払ってしまえばいい。

そうすると、「起業したい」とか「会社を辞めたい」という本音が出てくる。あなたがこうした思いを持っていることこそが揺るぎない「事実」であり、すべてはそこを出発点にするべきなのだ。


悩んでいる人の99%は、このシンプルな「心の事実」のまわりに、余計な「世間」をゴチャゴチャとまとわりつかせて、何も行動が起こせなくなっている。このときに必要なのは、このゴチャゴチャを1つずつ解きほぐし、解決していくことではない。

むしろ、それらをズバッと全部削ぎ落とし、シンプルに本質を見直すことだ。

「ホリエモンだから、そんなふうに考えられるんだ」なんて思わないでほしい。ぼくだって最初からなんでもシンプルに考えられたわけではないし、ウジウジと悩んだりした経験だってある。

まずは、「シンプルがいい、シンプルがいい」と自己暗示をかけるところからはじめよう。「もしかしたら……なのでは?」とか「もし……だったら、どうしよう」というような「世間」は捨てて、自分の「本音」を見定める。

ほとんどの人は、自分の本音すら見えなくなっているから、それだけでも大きな前進だ。