消耗品のほとんどはリサイクルされている!

 クルマを安全かつ快調に走らせるためには、消耗部品の定期的な交換が欠かせない。ただ、このエコの時代に、交換した消耗品が廃棄されてしまうとなると……、と気になる人もいるだろう。そこで、定期的に交換される主な消耗品のその後について紹介したい。

1)タイヤ

 クルマの消耗部品のなかでもっとも身近で、“大モノ”といえば、タイヤだろう。JATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)によると、2018年の国内における廃タイヤの発生量は、9600万本。そのうちリサイクル率はなんと97%とかなり優秀! 内訳は、燃料として熱利用されるのが65%、ゴムとして原型加工利用されるのが17%、中古タイヤ・その他として輸出されるのが15%となっている。

2)エンジンオイル

 ディーラーやカー用品店で交換された排油は、専門の業者がまとめて回収して、リサイクルされている。回収された排油は、油水分離装置や遠心分離機にかけられ、品質規格に準拠するように調整され、そのほとんどが再生重油として、燃料油になりリユースされている。また一部は再生潤滑油や補助燃料にもなるので、無駄にはなっていない。

 DIYでオイル交換をしたときは、専用の廃油処理箱で固めたり、新聞紙に吸わせて燃えるゴミとして出したり(いずれも自治体によってNGの場合があるので要確認)する場合もあるが、交換したオイルはカー用品店やガソリンスタンドで引き取ってもらうほうが安心で有効。排油の専門買取業者に売るという手もあるが、買取価格は1リッター2円ぐらいなので、手間を考えるとオイルを買ったお店で引き取ってもらうのが一番だ。

3)点火プラグ

 点火プラグなんて絶縁性のセラミックの固まりで、小さな部品なので使い捨てでは? と思うかもしれないが、点火プラグには銅芯、そして電極にはニッケル合金や白金、プラチナ、イリジウムなどの貴金属が使われているので、専門の買取業者がある! 
個人で4〜6本売っても大してお金にはならないが、リサイクルには貢献できる!?

じつに自動車パーツの95%がリサイクルされているメーカーも

4)バッテリー

 自動車用のバッテリーは、国内で年間2500万個ほど出回っている。バッテリーは3〜5年ぐらいで寿命となり、年間2000万個の使用済みバッテリーが回収されている。回収されたバッテリーは、専門業者で解体・分別され、電極版の鉛を取出し、精錬業者で精錬され再生鉛としてバッテリー製造事業者等に販売され、リサイクルされている。

 国内の年間の鉛の使用量はおよそ29万トンで、その大半の約75%=22万トンがバッテリーに利用されており、リサイクルによって得られた再生鉛も年間約22万トンとなっている。

5)ブレーキパッド

 ブレーキパッドなんて減ったら捨てるしかないように思えるが、じつはこれもリサイクルが可能。ドラムブレーキのブレーキシューは、1960年代からリビルトシューが製品化されていたが、近年はディスクブレーキのブレーキパッドの再生も本格的にはじまっている。

 ブレーキメーカー大手の曙ブレーキでは、2006年から使用済みディスクブレーキパッドを回収してこれを再生し新品同様の品質・性能を持つ商品「エコパッド」を販売している。

6)エンジン

 エンジンは、メーカーに部品がある限り、オーバーホールしたり、リビルドエンジンとして再生することが可能。エンジンそのものとして再利用しなくても、エンジンは基本的に鉄とアルミ(一部は樹脂)でできているので、リサイクルしやすい。日産自動車によると、エンジンのリサイクル率はほぼ100%とのこと!

7)その他 クルマ全体

 自動車メーカーでは、限りある資源を有効に使うべく、リサイクルしやすいクルマの開発に力を入れていて、日産自動車の場合、2005年以降の新型車すべてにおいて、 95%の部品のリサイクルが可能になっている。いまのクルマは、「捨てるところはない」ようにできているといってもいいだろう。