北朝鮮の朝鮮中央通信は23日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が景勝地の金剛山観光地区を視察し、南北協力事業の一環で韓国側が建設したホテルなどをすべて撤去するよう指示したと報じた。

 正恩氏が「国力が弱い時に他人に依存しようとした先任者たちの政策が間違っていた」と言及したとも伝えた。

 金剛山の観光開発は正恩氏の父、故金正日(キムジョンイル)総書記が韓国企業に1998年、開発許可を与えて進められた。北朝鮮の事情に詳しい韓国の専門家は、父の時代の政策を否定する異例の発言と分析している。

 同通信によると、正恩氏は海金剛ホテルなど韓国側が建設した施設を視察し「見るだけでも気分が悪くなるみすぼらしい施設を南側(韓国)と合意して残さず撤去し、自然景観に見合った現代的な施設を建設すべきだ」と発言。「南側(韓国)の同胞が(観光を楽しむため)来るなら歓迎するが、南側を前面に立たせて事業を行うことは望ましくないとの認識を持つことが重要だ」とも述べ、韓国を外して開発する方針を示した。

 金剛山観光は2008年、韓国人観光客が北朝鮮兵士に射殺される事件が起きて中断したが、昨年9月の南北首脳会談で「条件が整い次第正常化する」ことで合意。ただ、韓国は米国の同意が得られないことや国連制裁を考慮して実質的に事業を進めていなかった。(ソウル=武田肇)