面接時に聞いた業務内容や休暇が実際と異なり、辞めようか悩んでいます(写真:ABC/PIXTA)

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現在、就職した会社を辞めようか悩んでおります。

私が今勤めている会社は現場仕事で、現場が動いていれば土曜や祝日も関係なく出勤になります。また、有給は年に1日のみ自由に取ることができる会社です。

仕事内容は、現場での現場事務や現場監督です。面接に行った際は、現場事務所で軽く事務をするくらいとしか聞いておらず、実際に工事現場で設置を行うという説明などは受けませんでした。

面接では、有給もしっかり取れると聞いていたのに、実際はそのようなことがなく困りました。

入社後すぐにでも辞めようかと悩んだのですが、私は3月に国家試験に落ちて公務員内定の切符を落としてしまい、ほかに内定先もなかったため慌てて再度就活をして5月に就職したばかりであったため諦めました。

私は資格もなければ、学歴はお世辞にもよいとは言えず、胸を張って誇れるような努力はさほどしていません。そんな私が入れる会社はないとわかっているため、この会社にしがみつくしかないのかなと思っております。

ですが、休みが少ないことでモチベーションも続かず、やる気も起きず、この間無断欠勤までしてしまい、会社の人の信用も失いました。

私はこのまま辞めるべきなのでしょうか? それとも、頑張るための努力をするべきなのでしょうか?

正社員 我那覇

将来につながると信じられるかどうか

辞めるか否かの判断は、ご自身として今いる場所が将来につながると信じられるか否かをベースに判断しましょう。


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そして、将来につながるか否かを判断するためには、自分なりの職業観や人生観を漠然としてでも持っていることが重要です。

その中でほかの選択肢があり、そっちのほうがより将来への展望が描けるのであれば、現在の仕事を辞めることに躊躇する必要はないでしょう。

とはいえ気がかりなのは、頂戴した文章を拝見するに、我那覇さんとして「今の状況や仕事は嫌だ」という気持ちがあるものの、反対に「何をしたいか」や「どうなりたいか」が明確でないという点です。

つまり、現在の状況をどうにかしたいというもどかしい気持ちがあるものの、冒頭で申し上げたご自身なりの職業観や人生観をお持ちでないがゆえに、現状を踏まえてどう行動を起こしていいかがわからない、そういった状態なのかと思われます。

職業観や人生観というのは、生きるうえでの、そして日々物事を判断して決断を下すための指針であり、自分なりの志や価値観、軸のことであり、自分が理想とする自分自身の姿のことでもあります。

人生における指針や軸をしっかりと持つ

今までの人生経験等を通じて、その軸がしっかりとしていれば、仕事や人生に関わる判断に迷うことはありません。

反対に、その軸がなければ「どう行動していいかわからない」という状況に陥ってしまったり、もっとその手前の「現状をどう自分なりに理解したらよいかわからない」という状態に陥ってしまいます。

現状を自分なりに理解できなければ、行動につながらないのも当然です。現状を冷静に理解することができれば、今やっていることは将来の自分のためにつながるのか、またはほかの選択肢と比べてどっちがより自分のためになるのかなどが見えやすくなってきます。

であるがゆえに、現状を分析し判断するためのフィルターとしての自分なりの軸や価値観を仕事や人生に対して持っていることが重要なのです。

といっても、何も難しく考えることはなく、例えば「こういった職業人生を歩んでみたい」や、「将来こういった人生を生きたい」というような漠然としたものでも若いうちは構いません。

いや、むしろ経験のあまりない若いうちは、詳細な目標を定めすぎてしまって、視野を狭くしてしまうことで自分自身の将来の可能性を過度に狭めてしまわないように、漠然としていたほうがいいのです。

そして経験を重ねるにつれて自分なりの価値観である軸を精緻化し、磨いていけばよいのです。

我那覇さんにとって、仕事そして人生における指針や軸は何でしょうか?

このままでは、その場しのぎの、例えば逃げ出すための転職をしたはいいが、また転職先で同じようなモヤモヤ感に悩まされる、という繰り返しになりかねません。

そうならないためにも、これを機に、仕事と人生における自分なりの判断基準である価値観=軸について考えてみましょう。

我那覇さんの現状を踏まえると、いちばん簡単なのは「なぜ自分は現状の仕事や状況に対して嫌だと思うのか」という自分にとって避けたい状況をまずは整理してみることです。

その反対が自分にとって理想の状態である可能性もありますし、いずれにせよ自分にとっての理想の仕事や人生とは、ということを考えるきっかけになるかもしれません。

そうやって、自分なりの価値感や軸を磨いていくと、「思考や意思を伴う行動」につながりますから、その場しのぎの行動のような悪循環ではく、自分が理想と思える自分に対して一歩近づける可能性も高まるというものです。

どの状況を踏まえて、どう行動を起こすか

就職の最初でつまずいてしまうことなどよくある話です。

大事なことは、どの状況を踏まえて、自分がどう行動を起こすか、です。

職業人生とは非常に長きにわたるマラソンのようなものですから、最初のつまずきなど、自分自身のその後の行動によっては全体で見ればさほど重要ではありません。

大事なことは、つまずいた状況からどう立ち上がって、どこに向かって走り出すか、です。

そういった軌道修正をできるか否かは、自分なりの考えや価値観を自分の軸として持っているかどうかにかかっています。

我那覇さんも、まずはそういった自分なりの考えを整理したうえで、現状にとどまる、転職するかを判断、何をするか、どう変えるか、を考えてみてください。

長い人生です。たった1回のつまずきや、現状の自分だけを見て人生の判断をしてはいけません。

我那覇さんが、ご自身の考えをキチンと整理され、意思のある行動を起こされるであろうことを応援しております。