BTS(防弾少年団)にも韓国サッカー界の“神童”にも「兵役特例はナシ」の背景とは

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「BTSもイ・ガンインも対象にならず」(『JTBC』)、「防弾少年団もイ・ガンインも確定適用受けられず」(『シングルリスト』)、「イ・ガンイン、防弾少年団に免除はない」(『ソウル新聞』)…。

これは9月9日に韓国メディアで一斉に報じられた見出しの一例だ。

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今や韓国やアジアだけではなく、全世界規模の人気を誇るスーパーグループのBTS(防弾少年団)と、6月のサッカーU-20ワールドカップで韓国を準優勝に導き、自身もゴールデンボール(大会最優秀選手賞)に輝き、日本の久保健英と同世代ということで日本でも何かと比較される“神童”イ・ガンイン。

音楽とスポーツという異なるジャンルのスーパースターの名が揃って論じられるのは、彼らの兵役問題が関係している。

周知の通り、韓国では成人男子に兵役義務がある。

頂点を極めたスポーツスターや人気絶頂のアイドルであっても、兵役を務めなければならない。事実、2011年に日本の男子プロゴルフツアーで賞金王を戴冠したペ・サンムンは、後に選手生活を一時中断して兵役に従事しているし、東方神起のメンバーも立派に兵役を務め終えた。

知っておきたい「芸術・体育要員特例制度」

もちろん、なかには諸事情で兵役免除されたスポーツスターや芸能人もいるが、日本人に馴染みが薄い「兵役=軍隊」も、韓国の成人男子にとっては当然の“国民の義務”となっている。

ただ、スポーツや芸術分野などで国威発揚に貢献したり、文化発展に寄与した場合は「芸術・体育要員特例制度」の対象にもなる。

オリンピックのメダリスト(つまり1〜3位以内)やアジア大会・優勝など、国際大会で一定の成果を上げた選手をはじめ、国際芸術競演大会で2位以上の入賞者、国内芸術競演大会1位入賞者などは「現役兵」として兵役を務めるのではなく、4〜5週間の軍事基礎訓練後、自身の特技分野で活動することが兵役とみなされる制度だ。

記憶に新しいところではイングランド・プレミアリーグのトッテナムで活躍するソン・フンミンが、昨年のアジア大会で金メダルを獲得して「芸術・体育要員特例制度」対象者となっており、芸術分野では2015年ショパン国際ピアノ・コンクールで優勝したピアニストのチョ・ソンジンなどもその恩恵に授かっている。

ただ、この「芸術・体育要員特例制度」については賛否も多い。

BTS

例えば2002年W杯で決勝トーナメント進出したサッカー韓国代表や、2006年WBCでベスト4に進出した野球韓国代表の兵役対象年齢選手(元京都サンガのパク・チソンや元阪神のオ・スンファンなど)は、特例的に「体育要員」となっているが、一部の世論からは「規定があるのに不公平だ」という意見もあった。

文化・芸術でもしかり。

クラシック音楽や伝統芸能といった分野だけではなく、ドラマや映画、K-POPといった大衆芸能に従事し、韓国文化を世界に広めた芸能人やアイドルたちの功績も評価すべきではないかという意見だ。

その一方で、アイドルや芸能人たちは「彼らがビジネスとして芸能活動に従事しており富も得ている。たとえ韓流を世界に広めたとして兵役に関して特別扱いすべきではない」という反対意見も多い。

BTSやイ・ガンインにも恩恵を授けるべきとの声もあった

最近までそうした賛否の対象になっていたのが、イ・ガンインであり、BTSでもあった。前述したとおり、イ・ガンインは年代別大会とはいえFIFA主催の国際大会で準優勝して大会MVPに輝いてるが、前出の「芸術・体育要員特例制度」の規定にU-20ワールドカップはない。

BTSはビルボード・ミュージック・アワードやアメリカン・ミュージック・アワードで数々の賞を受賞し、グラミー賞のプレゼンターも務めたが、「芸術・体育要員特例制度」の規定内にはビルボードもグラミー賞も快挙扱いにはされていない。

規定になくてもその活動で国威を発揚し、韓国のイメージ改善にも貢献しているイ・ガンインやBTSにも恩恵を授けるべきではないか。「芸術・体育要員特例制度」の規定範囲を拡大すべきではないか。

そんな意見が一部の世論から出ていたのだ。

イ・ガンイン

そんななかで9月9日に報じられたのが、冒頭で紹介した各社のヘッドラインの数々でもある。

韓国では現在、国防部、兵務庁、文化体育観光部(日本の文科省に相当)で構成された「兵役特例関連制度改善タクスフォース(TF)」が今月末に改善策を発表する予定であり、関係者によると「芸術・体育要員特例制度」の見直しはなく、現行のままという方針が固まったという。

つまり、イ・ガンインやBTSにも特例はなし。そうしたこともあって、「BTS、イ・ガンイン、芸術・体育兵役特例の拡大適用なし」(『東亜日報』)、「芸術・体育特例は“存置”、イ・ガンイン、BTSの拡大適用はなしに」(『聯合ニュース』)となったわけだが、今回の現行維持はスポーツ界や芸能界にとって決して後退やマイナスなことではないと思う。

というのも、「芸術・体育要員特例制度」は規定範囲の拡大はおろか、制度の縮小や廃止を求める声もあったのだ。そうした状況を考えると、現行維持は最良ではないが最悪でもない。

K-POPアイドルやスポーツスターたちの兵役問題は、日本のファンたちにとっても気になる話題であるだけに、その動向には今後も注視しておきたいところだろう。