出典:Amazon Echo テレビCM 「肉じゃがが母さんの味にならないよ」篇より

J CASTニュースによると、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅが9月3日、自身のツイッターにアップした、とある発言が大きな共感を呼んでいる……らしい。

「アレクサのCMの息子みたいな男苦手だな〜」

唐突なつぶやきながら同ツイートは約4.5万件の「いいね!」を集め、その直後には多数寄せられたリプライに向けて、キャリー本人が「マザコ、、、」「お母さんにありがとうも言えない奴が彼女大切にできる気がしません」と返信し、納得の声が続々届いているという。まだ同CMを観たことがないcitrus読者諸兄のために、一応(記事内にあった)簡単なあらすじをつけ加えておこう。

Amazonによる人工知能サービス『アレクサ(Alexa)』のCMで、登場人物である成人男性が肉じゃがをつくろうとするも、「母親の味」に近づかないと苦戦するなか、タブレットにインストールされたアレクサを通じて母親と中継をつなぎ、指示を乞うシーンから始まる。すると、タブレット画面の向こうにいる母親は料理法を指南するも、なぜかカレーのつくり方を教えてしまう。

肉じゃがを想定していたため、すでに白滝を入れていたにもかかわらず、カレー味となった肉じゃがを男性が「うまい!」と評すると、母親は「で、今度はどんな子なの?」と交際女性について質問。テレなのか、まだ触れてほしくない話題だったのか、男性は強引に母親との中継をぶった切り、アレクサにデートの(音楽の)プレイリストを流すよう命じる。(おしまい)

私もじつのところ、このCMには前々からなんとなくの薄ら気持ち悪さをおぼえていた。自分だけじゃなかったのか……とホッとした。J CASTニュースの取材に応じた経営コンサルタント兼心理学博士の鈴木丈織さんは、その違和感の正体を以下のように分析する。

・アレクサ男の価値観が母親の基準そのもののコピーであること(肉じゃがをつくっていたにもかかわらず、それをカレーに変えられてしまっても「うまい!」と無条件に従ってしまっていること)

・この手の男は料理をしても交際相手を満足させることは目的としておらず、母親から褒められさえすれば良いと考えてしまいがちな自己中心性を匂わせていること

・「で、今度はどんな子なの?」という母親の問いかけに「今までにアレクサ男には何人もの交際相手がいた」、つまり男側の性格になんらかの問題があって長続きしない状況を想起させる(※ゴメス註:しかも、そのダメな息子を母親は全面肯定してしまっている風もある)

たしかに、心理学博士のご指摘どおり、マザコン男子が如何にもやらかしてしまいそうな嫌な感じが随所に散りばめられている点が“鼻持ちならなさ”の大半を占める要因であることに間違いはない。ただ、私はそれ以外にもアレクサに対する、あまりにぞんざいな命令口調が不評の遠因にあるのではないか……と、にらんでいる。

「アレクサ、タイマー切って」

「アレクサ、通話を切って」

「アレクサ、デートの(プレイ)リストかけて」

この「アレクサ」を仮に自分に見立ててみたらどうなるのか?

「ゴメス、タイマー切って」

「ゴメス、通話を切って」

「ゴメス、デートの(プレイ)リストかけて」

まるで、子分のごとく乱暴に友だちと接するいじめっ子気質の、上から目線なイケメンさながらではないか。下手すりゃあ、にこにこ笑いながら女性にDVすらしかねない……? こんなヤツ、私なら絶対に付き合いたくない。人になにかを頼むときは「ゴメスさん、申し訳ございませんが、タイマー切っていただけません?」と丁寧にお願いするのがスジではないのか?

人工知能サービスを利用する際、「OK Google」「Alexa」……といった“合い言葉”が必要なことくらいは私も知っている。ならば、これらのサービスは徹底的に“機械”として扱うべきなのだ。Google Home(のCM)は、まだかろうじてそう扱われていた……と思う。だから、そこまでの嫌悪感を感じることもなかった。が、コッチはアレクサを“人間”として“対等”に扱っているところがいただけない。もしかすると「人間とAIの共生」みたいな隠れメッセージ的意図も今回のCMには含まれているのかもしれないが、一般的には2045年あたりと予測されている、人工知能が人間の知能を超える転換点、技術的特異点とされる「シンギュラリティ」に抱く、“人間側”の潜在的な恐怖心こそが、アレクサ男がかもし出す不気味さの正体の一つだと私は推測するのだが、いかがだろう?