Xperia 1は、海外メーカートレンドに対する尖ったソニーの最先端の技術と機能のアンサーだ

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ソニーモバイルコミュニケーションズは、NTTドコモ、au、ソフトバンク向け2019年夏モデルのフラグシップスマートフォン「Xperia 1」を発売した。

最先端の新機能を採用していく海外のスマートフォンメーカーに対して、ソニーをはじめとする国内メーカーは製品の熟成やユーザビリティに重きを置く傾向がある。

今の海外メーカーは、ほかの製品の優れた機能や技術を貪欲に取り込み、それをブラッシュアップして独自機能として製品に活かしている。

こうした海外メーカーの切磋琢磨と競争力はいつしか業界標準となっている。
結果、日本メーカーがトレンドを取り入れた頃には、同じ機能はすでに低価格なモデルまでに普及した状況となってしまっていのが現状だ。

Xperiaの場合は、日本だけではなく、グローバル市場でも展開しているモデルである。
そこには日本ならではのものづくりの良い面もあるし、悪い面もある。ものづくりの対する考え方の違いや企業の方針などは、それぞれ違いがあり各社の事情もある。


これまでXperiaのフラグシップモデルは、カメラに関しては常に最先端であった。
ソニー製の最新のイメージセンサーをどこよりも早く搭載するなど、新製品での技術の更新レベルが高かった。

しかしながら、海外メーカーは2つのカメラを搭載するといった一般のユーザーにもわかりやすい新しいアプローチと技術の採用を打ち出してきた。

一方、Xperiaは、他にはない高速読み出しやCMOSセンサー特有の歪みを解消するなど、革新的な技術ではあるがユーザーには違いがわかりにくい地味な変更にとどまっていた。

また、本体デザインに関しても、海外メーカーは、持ちやすさと使いやすさを獲得するためのデザイン変更を実行したが、Xperiaは頑なに従来のデザインに拘り変更を行わなかった。

こうした積み重ねが、いつしか最先端というXperiaの尖ったイメージを打ち消してしまったのである。

そこからXperiaは、再び、本来の姿を取り戻すべく革新を始める。
「Xperia XZ Premium」には4K(2160×3840ドット)ディスプレイをいち早く搭載。
「Xperia XZ2」では世界初の4K HDR(HLG)動画撮影に対応した
「Xperia XZ2 Premium」では4K HDR対応のディスプレイとデュアルカメラを搭載した
このように、他社とは異なる特徴、機能による差別化を強化してきた。


そして「Xperia XZ3」で、有機ELディスプレイを採用し、動画撮影も視聴も最高品質で楽しめるスマートフォンを完成させたのである。


さらに最新となる「Xperia 1」は、全く新しいXperiaだと言って良いだろう。
それぐらい新しい技術と試みが盛り込まれたモデルなのだ。

シネマワイド4Kを謳う21:9の横長ディスプレイの採用。
他社がインカメラとの兼ね合いとデザインの落とし所を探りながら18:9を超えるディスプレイを採用するなか、一気に21:9という大画面化を実現した。

16:9を超えた時点で片手操作は不可能となったとは言え、多くのメーカーが18:9を超えてまで大画面化するメリットを見いだせなかった。
これに対して、ソニーは映画のスクリーンをスマートフォンで再現するというニーズから21:9の新しいフォーマットを生み出したのである。


Xperia 1(写真=左)とグーグルのPixel 3(写真=右)の表示領域の比較

21:9は、横画面でシネマを見るだけがメリットではない。
縦に持てば、SNSやチャットアプリなどのテキストを多く表示できると言うメリットも生まれる。さらに縦画面のまま2画面の分割画面にすると16:9の動画を表示しながら、SNSを広い画面のまま利用できるなど、新しい使い方も提案できるのである。


対応するゲームなら、16:9や18:9のスマートフォンより広い範囲が見渡せるため、対戦ゲームなどで優位にゲームを進めることも可能になるかもしれない。


そしてカメラは、超広角16mm F2.4、標準26mm F1.6、52mm F2.4の3つのカメラを搭載する。これまでの後手に回っていたXperiaのイメージを覆す、最新のトレンドに乗っかった形だ。

もちろん、テレビとの相性が良い最先端の4K HDR撮影など、従来からある技術はしっかりと継承している。


光の表現が格段に進化したHDR映像は対応スマートフォンや4Kテレビなどで真価を発揮する


さらに、プロ向けのカメラ機能と正確なカラー表現に対応した新機能も搭載。
動画撮影には、映画撮影に使われるカメラの色再現をプリセットで搭載した「Cinema Pro」アプリが新規追加されている。

YouTubeなどの動画クリエイター向けとも言える機能だが、映画そのままの画面比率で撮影できるので場合によってはプロの現場で小型カメラとして利用されることもあるのではないだろうか。それほどクォリティが高い動画撮影ができるのである。


Xperia 1のCinema Proアプリによる4K HDR撮影サンプル

さて、こうした新機能だが、尖っているため、一般のユーザーは、
・どう受け入れて良いか戸惑ってしまう?
・本当に新機能は、必要なのか?
などの疑問やマイナスイメージを抱くこともあるだろう。

21:9のディスプレイは、従来のスマートフォンらしい使い方は当然だが、もっと面白い使い方が発明できそうな可能性を秘めている。しかも、パーツメーカーのデバイス依存ではなく、ソニーらしく映画のスクリーンに合わせた21:9と言うアスペクト比には説得力もある。これは一般的なテレビにもないアスペクト比なので、スマートフォンならではの自由な発想である。

カメラ機能に関しては、35mm判換算で100mmを超える超望遠レンズがトレンドとなる可能性もあり、望遠レンズ側が弱いと感じるが、広角側は超広角レンズを搭載したことで写真撮影は楽しくなることは間違いない。ただし、レンズ切り替えのUI(ユーザーインターフェイス)は、超広角レンズとの繋がりが良くないので、そこは一考して欲しい。


標準レンズは26mm相当


16mm相当の超広角レンズ。設定で歪曲補正をして歪みを抑えた撮影も可能だ


望遠52mmレンズ。スナップ撮影などにもちょうど良い画角だ

動画に関してはあまり語られていないことがある。ソニーのスマートフォンは比較的フレームレートが安定しており、映像の規格に沿ったフレーム数が29.97や23.97に近いフレーム数で記録されている。特にプロニーズにも応えるCinema Proは、指定したフレームレートで記録することに重きを置いているため安心感がある。

一方、他社のスマートフォンでは、多いときは30フレームを超え、少ないときは25フレームまでフレーム数が変動するものもあり、動きがぎこちなく見えてしまう。

このように安定したフレームレートで記録されるので、映像編集ソフトのとの相性も良く他のカメラで撮影した映像と混ぜてもカクカクせずに一定した滑らかな映像で編集することができる。


Cinema Proで撮影した映像は、Xperia 1の画質設定で「クリエイターモード」に設定することで、業務用のモニターと同じ発色、輝度になるため正確な色の確認が可能となる。

こうしたテレビやプロ向けモニター、そしてカメラやビデオカメラとの連携も可能な点は、Xperia1の大きな強みであり、映像機器メーカーとしてのソニーらしい、こだわりが詰まったスマートフォンといえる。

Xperia1は、スマートフォンにプロ仕様の映像機能という付加価値を持たせた。これはソニーがグローバル市場で戦う上で、Androidだけではなく動画向けてとしてサードパーティ製品が多いアップルのiPhoneをもターゲットにする本腰を入れたモデルだ。
なりふり構わず尖り続けるソニーらしいスマートフォンに期待したい。
執筆  mi2_303