民間人が罰金を科すことはできない

 月極駐車場やコンビニや飲食店などでもよく見かける「無断駐車は罰金●万円申し受けます」「無断駐車は警察に通報します」といった看板。

 お客でもないのに、駐車場を無断利用されたらお店にとっては大迷惑。罰金ぐらい払ってもらわないとたまったものではない、という気持ちはわかるが、罰金というのは刑罰の一種なので、民間人あるいは民間業者が他人に罰金を科すことはできないことになっている。

 無断駐車したクルマの運転手から、何かお金を徴収するとすれば、私有地の不法占拠に対する損害賠償請求で、しかもその金額は駐車場の持ち主が自由に決められるものではなく、あくまで不法駐車によって被った実際の損害額に限定されている。

一方で無断駐車をした人に約800万円の支払いを命じた例も

 したがって、看板に「無断駐車は罰金●万円申し受けます」と明記されていたとしても、無断駐車した側が、罰金●万円を払わなければいけない義務はない……。また、「無断駐車は警察に通報します」についても、駐車場の所有者が警察に連絡することは可能だが、駐車場は私有地なので、いわゆる駐車違反では検挙できない。

 では、無断駐車したもの勝ちで、被害を受けた駐車場の所有者は泣き寝入りするしかないのか。前記のように、無断駐車は不法占拠なので、民法709条の不法行為に当たる。したがって証拠を集めて、民事裁判として訴えれば、損害賠償は請求することが可能。

 たかが無断駐車、と思っていても、過去には1年半もコンビニの駐車場を毎日のように自分の駐車場がわりに使っていた人物に対し、約800万円の駐車代の支払いを命じた判決も出ている。軽い気持ちで「ちょっと無断駐車させてもらおう」というのはNGで、モラルあるドライバーなら、きちんとお客としてそのお店を利用するか、コインパーキングなどに止めるようにしよう。