大阪府初の世界遺産を観光振興に生かせ、あの手この手の関係者たち
「大阪初、令和初、皇族ゆかり……話題性に事欠かない。世界遺産の名がつくことで『行ってみよう』というきっかけになる。各旅行会社は商品をつくり、放っておいても露出度が上がる」。泉州地域の9市4町と企業で観光振興を進めるKIX泉州ツーリズムビューローの中村浩次専務理事は“世界遺産効果”をこうみる。
堺市の永藤英機市長も「(世界遺産登録は)本市の成長、発展にとっても大きなターニングポイントになる」と6月の記者会見で話した。
悲願だった世界遺産への期待は大きい。ただこれまで登録された世界遺産には、観光客が一時的に増えただけで、観光振興に十分生かせなかった例もある。今後の取り組みが成否を分けることになりそうだ。
百舌鳥・古市古墳群は観光客からみて、いくつかの課題がある。特に大山古墳の全景を見たいという要望が難しい。大山古墳は歴史の教科書などを通じ、上空からの全景写真が広く知られている。だがヘリコプターなどの遊覧飛行に参加しない限り、同じような景色は見られない。しかも宮内庁が管理する天皇陵のため敷地内に立ち入れない。拝所での参拝や周辺の散策はできても「期待していたものと違う」と思われる可能性がある。
堺市は2018年10月、臨海部から百舌鳥古墳群など市内の見どころを民間事業者運航のヘリで巡る約5分の遊覧飛行を試験的に実施。好評だったという。観光企画課の担当者によると、旅行代理店やヘリ運航事業者から遊覧飛行の問い合わせや提案が現在もある。永藤市長はヘリを恒常的に発着できる拠点の設置を市内で検討していることを3日の記者会見で明らかにした。
また大山古墳に近い堺市博物館内では飛行ロボット(ドローン)で撮った上空300メートルからの百舌鳥古墳群の映像や、古墳内部の石室を再現したコンピューターグラフィックス(CG)映像を鑑賞できる「仮想現実(VR)ツアー」を実施。同ツアーを運営する堺観光コンベンション協会は頭部に装着するディスプレーを今週中に20台から45台まで増やす計画だ。
