ロッテの田中靖洋(C)Kyodo News

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◆ チームトップタイの4勝

 ロッテの田中靖洋は18日の広島戦、1イニングを無失点に抑え、チームトップタイの4勝目を挙げた。

 2−2の延長10回からマウンドにあがった田中は、先頭の小窪哲也を空振り三振に仕留めると、続く磯村嘉孝を投ゴロに仕留め、簡単に二死とした。菊池涼介にセーフティバントを決められたが、バティスタを空振り三振に打ち取り、マウンド上でガッツポーズ。直後の11回の攻撃でマリーンズは4点を奪い、田中靖は今季4勝目を手にした。

 この日は同点の場面での登板だったが、ビハインドゲームを中心にマウンドに上がる田中靖。「まずはストライク先行を意識して、守備のリズムを作れるよう意識して投げています。球数というよりも、テンポは気にしていますね」。相手チームの勢いを止め、チームに流れを呼びこむことが多い。

 今季3勝目を挙げた16日の中日戦が、まさにそうだった。2−7の9回から登板し、大島洋平にセンター前ヒットを浴びたが、後続を打ち取りきっちりとスコアボードに0を入れた。するとその裏、打線が一挙6点を奪いサヨナラ勝ちを収めたということもあった。

◆ 威力を発揮する変化球

 今季ここまで24試合に登板して、4勝0敗2ホールド、防御率1.17と安定した成績を残している要因のひとつに、スライダー、シュート、カットボールが良いことが挙げられる。

 田中靖は「そうですね。去年に比べれば、スライダーという部分で勝負できているかなと思います」と手応えを掴む。

 「いろんな人に握りとかを聞いて、去年の終盤くらいから取り組んでやっていることですね」と話す140キロを超えるカットボールも打者を封じる上で欠かせないボールだ。

 「自分はシュートを武器にしてやっているので、そこでサイドで揺さぶりをかけられればと思って、こういうボールを投げられたら面白いなと思って自分で取り組みました」とカットボールを覚えたきっかけを明かした。

 カットボールを覚えたことで「シュートをいった後に、インサイドを意識させて外で勝負できるというのはデカイですね」とピッチングの幅が広がり、打者に的を絞らせにくくなった。

 カットボール、シュート、スライダーの投げ分けが「今のところはできているかなと思います」と田中靖。“勝利の方程式”のリリーフ投手に比べるとスポットライトを浴びることが少ないが、田中靖をはじめ、東條大樹、チェン・グァンユウといったビハインドゲームのリリーフ陣が頑張ることで、リーグ2位の逆転勝利15回に繋がっていることを忘れてはならない。

取材・文=岩下雄太