なぜぐっちーさんは「米中貿易戦争はアメリカが有利」と言うだけでなく「中国の未来は決して明るくない」と分析するのだろうか(写真:ロイター/アフロ)

アメリカと中国の貿易戦争――この話をするとコメント欄が荒れるのは必至なんですが、再びドナルド・トランプ大統領の「攻撃」で「米中関税報復合戦」が始まったところで、改めて触れておきたいと思います。

米中貿易戦争は「中国の不利」が明白

ポイントは「AERA」にも書きましたが、アメリカは貿易依存度(貿易依存度とは、GDPに対する輸出額+輸入額の割合)が極めて低いのです(貿易依存度は20%未満。これは、ほぼ自給自足といわれるブラジルとあまり変わりません。ちなみに「いかにも貿易立国」のように見える日本は、実はアメリカと大きくは変わらない約27%です。一体誰が「日本は貿易立国だ」、と洗脳しているんでしょうか)。

一方、中国も32%程度と決して高くはありませんが、アメリカの2倍近い貿易依存度があるわけで、アメリカと中国、どっちにダメージがあるかと言えば、これだけでも中国、と言わざるを得ない。「トランプのおっさんは意外と的を射ている」、ということができます。

さらに、中国の未来は決して明るくない、ということも指摘しておきたいと思います。ちょうど日本経済新聞が良い記事を書きました。

「中国マネー、巨像の虚像」(5月13日配信)

同記事で指摘していますが、ここで注目して頂きたいのが、国際通貨基金(IMF)の予測で、中国が比較的早く、経常収支においてマイナスになるとされている点です。一部を引用させていただきます。

国際通貨基金(IMF)の予測では、中国の経常収支の黒字は19年に600億ドル弱に持ち直すものの、20年に400億ドル強、21年は200億ドル強へと減少。22年には経常収支は60億ドルあまりの赤字に陥る見通しなのである。23年以降は赤字が続く予想だ。日本やドイツで経常収支の黒字が続く見通しなのと、中国は好対照だ。日本の貿易収支はこのところほぼトントン。

もちろんIMFの見通しは比較的甘いので、2022年を待たずして、2020年にも赤字転落ということは十分あり得ますし、いずれにせよ、これから伸び行く若い国というイメージは全くないのです。また、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙も「結局、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえない」、という分析をしています。

さらに言うと、中国は若年労働人口の減少がこれもIMFの予測より早く始まりそうで、最も早い予測だと早くも2020年には若年労働人口が減少に転ずる、というもの。これは大変な問題で、若年労働人口が2050年に向けて増え続けるアメリカとは好対照であります。

中国が米国債を売って「反撃」に出る可能性は?

結局、貿易上の力関係はおろか、国力としても向こう50年、落ち目の中国と上り続けるアメリカの差は明確にあるわけでありまして、これはある意味「トランプ大統領の思うつぼ」、であります。

ああ見えて、うまく計算しているところがあり、2期目を目指すには十分な足場を固めつつあるという見方もできるでしょう。今回の勝負は残念ながらアメリカの勝ちです。こうなってくるとG20(6月28〜29日、大阪で開催)で安倍晋三首相が中国の習近平国家主席との間を取り持つ形で、「お互いの顔を日本で立てる」、というシナリオが見えてきます。ある意味、安倍首相が一番の勝利者になる可能性がある、言えるかもしれませんね。

と書くと、私のブログの運営元にはこんな質問が多数来ます。

「中国は3兆ドルにも及ぶ米国債を保有しており、これを売ると言ったらアメリカはひとたまりもないのではないでしょうか(日本も1997年に橋本龍太郎元首相が「米国債を売りたいとの誘惑にかられたことがある・・・」などと言及しました。ひとこと言っただけで米国債が急落したのです)」

これは非常に良い質問だと思います。

もし中国が「米国債を売るぞ」、と言えばかなりの圧力になることは間違いありません。しかし残念ですが中国は、売却はおろか、脅すこと自体も難しいでしょう。その理由は、本当に下がってしまったら一番困るのは中国自身なのです。

今や「元」という通貨そのものが、米ドルの信認に依存してしまっている。つまり、「米国債が暴落すること=元の価値減少」を意味します。日本では自国通貨の価値減少(つまり円安)を喜ぶ人々がたくさんいますが、自国通貨の価値が減少して喜ぶ人々は世界中で日本人だけといってもいいくらいです。

中国にしてみると、米国債が暴落すれば、外貨準備の目減りを覚悟しつつ、なおかつ元の価値減少まで受け入れねばならない。「一帯一路」で世界覇権を狙っている中国には受け入れられる話ではありません。

さらに重要なポイントがあります。

前出の橋本元首相があの発言をした1997年などは、日本が売り手に回ってしまうとそれを買い支える国はもうありませんでした。世界中に買い支えられるのは日本しかいないなかで日本が売ったらどうなるのか、という話ですね。

中国が米国債を売る可能性がほぼあり得ない理由

しかし、今なら中国が仮に本当に売却しても(あり得ない話ですが)その場合は、日本が買い手に回ります。さらに言うと今やFRB(米連邦準備制度理事会)も、バランスシート上の制約は当時と違って一切なく、その気になれば2008年のリーマンショックの時と同じような規模で国債を買い支えに回ることが十分可能です。ジェローム・パウエル議長の一存でできることですし、トランプ大統領も絶対反対はしませんよね。

つまり、相当な「イフ」が重ならない限り、中国が米国債の売り手に回るということはあり得ないのです。本当にあるとすると・・・脅しではなく、中国が本当に外貨の資金繰りに困って売らざるを得なくなる、というようなケースでしょう。しかしこの場合はやはり売却せずに日銀などを相手にレポ取引をすればいいだけのことなので、米国債暴落ということにはなりません。

ですから、中国が反撃して米国債を売却する・・・というシナリオは一見ありそうですが、現実的には確率ゼロでしょう。中国が本当に外貨の資金繰りに困ったとしても売却する必要はないし、売ってしまえば自分が一番困るということです。その場合は日本がしっかり補完機能を果たします。

こうしてみると日本の政治的な安定感というのは世界の金融安定に関しては非常に貢献しており、個人的にはあまり良いことだとは思わないんですが、安倍首相の長期政権というのはかなり価値がありますね。

少なくともトランプ大統領のとの距離感が近いという意味ではこれまでの日米首脳関係では出色で、何があっても対応可、という意味では「ついに世界経済崩壊!!」などと煽って食っているエコノミストは、いずれは食いっぱぐれますね(笑)(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

さてここからは恒例の競馬コーナーです。やってきました、第80回優駿牝馬(19日、東京競馬場11R、芝2400メートル)。まさに牝馬王者を決めるにふさわしい舞台と言えましょう。

こうなると、難解だった「NHK参る(マイル)」(5月5日)、「ヴィクトリア参る(同)」などでずたずたにされた予想も、やはり王道に帰る、というのが鉄則です。

長い東京の2400メートル、紛れを狙っても無理ですね。紛れがあったとしたらその場合はジョッキーの乗りミスなどが絶対にあり、普通に行けば「強い馬が絶対に勝つ」、と断言できるレースです。その意味では常に「データディペンデンス」を心がけるぐっちーとしては得意なレースの一つ、ということになります。

具体的には桜花賞上位馬が優位です。冷静に分析している競馬の専門サイトから以下、一部引用させていただきます。

「桜花賞からの直行組は、桜花賞1着馬が[4.1.0.4]、2〜3着馬が[3.3.4.8]、4着以下だと[1.1.1.47]と、前走と今回の成績はほぼ比例。桜花賞組以外から出たオークス馬(フローラSからはサンテミリオン、忘れな草賞からエリンコートとミッキークイーン)は、いずれも前走1着。中距離戦で勝っていることが必須条件だ。前走が何であっても、前走1〜2番人気で[9.4.6.36]、3〜5番人気で[2.4.2.40]、6番人気以下は[0.1.2.71]だ」。

ということで、実績重視で問題ないレースです。さらにそれに血統などを補強すれば十分とれるレースです。

オークスはダノンとコントラチェックの2頭軸

さてそうなると・・・桜花賞4位に沈んだダノンファンタジーの浮上。
あの後方待機はどう見ても乗りミスで、いくら何でもあれでは届きません!まあ考えようによってはオークスに取っておいた、と言えなくもありません。「折り合いが」「距離が」、と言われますが、今回は自力で押し切る可能性十分。リベンジです。

一方、桜花賞との別路線組では、コントラチェックがおもしろい。前走のフラワーカップをレースレコードで逃げ切っており、今回も後続の馬が足を使わされて最後の直線ではバテている・・・というシーンも十分に想像できますね。先日のヴィクトリアマイルでノームコアを見事に操った注目のダミアン・レーン騎手が乗ることもあり、この馬も要注意です。

ということで、以上2頭。わりとあっさり決まるのもこのレースの特徴。この2頭からその他の馬も買って3連複で「がみったら」(当たっているが収支はマイナス)ごめんなさい、という馬券でしょうか(笑)。

一方、血統的にはラヴズオンリーユーが気に入っており(ディープインパクトとラヴズオンリーミーの子供で、要するにサンデーサイレンスとストームキャットの掛け合わせなんですよ。これはいかにも・・・じゃありませんか!?)、この馬にも少しウェートを乗せたいとは思います。