創業40年超のデザイン会社提案“世界最強の坪効率”店舗の実力
小売業の店舗では当時、人手不足が顕在化し始めていた。湯本代表取締役は「仮に店舗のスペースが小さくなれば、その分接客スタッフは少なくて済む。我々は店舗の企画やデザインを長く手がけており、小売業の現場の課題を肌で感じていたことで(その課題を解決し得る店舗を狭小化する)アイデアが浮かんだのかもしれない」と振り返る。
購入から決済まで完了
ミセデモはタッグが空きスペースを借り、タッチパネルなどで構成する什器を設置した上で小売業などから出店を募る。ミセデモは原則、インターネットに接続しており、出店者は商品情報を無制限に掲載でき、それらの商品を扱う既存の電子商取引(EC)サイトと連携できる。掲載する商品はインターネット上の管理画面でリアルタイムに入れ替えられ、タッチパネルの画面を通じて遠隔から接客することも可能だ。
利用者はタッチパネルを操作して商品を購入でき、商品の紹介画面に掲載された2次元コード「QRコード」を自前のスマホで読み取ることなどにより決済まで完了できる。
出店料は京成上野駅の場合、2週間につき15万円。不特定多数の人に商品をアピールできる場所に、割安で出店できる仕組みとして反響は上々で、すでに4カ月先まで出店者が決まっているという。湯本代表取締役は「リアルの店舗は消費者に元々の関心事以外への気付きを与える力がある。出店者にとってミセデモはそれを割安に実現できる価値ある仕組みだ」と強調する。
2、3歩進んで1歩下がる
ミセデモの開発には、デジタル技術に対するそれまでの取り組みが影響した。その一つが16年頃に事業化した次世代ECシステム「VRコマース」だ。店舗の空間をウェブブラウザ上に高精細で再現し、利用者はマウスを操作して店舗空間を移動したり、空間内に陳列された商品を購入したりできる。
このシステムは元々、店舗のデザインコンペで自社の提案をよりよく見せる手段として開発した。あるコンペの主催者にその技術自体を評価されたことが、サービス化に乗り出すきっかけになった。ただ、VRコマースは「一部の企業で利用されているものの、多くの企業からは『2―3歩先の世界観』(のため、まだ一般に受け入れられにくい)と言われた」(湯本代表取締役)。そこで「完全にデジタルのVRコマースの世界から1歩下がり、デジタルとリアルを融合した店舗を考えた結果が『ミセデモ』だった」(同)という。
今後は駅構内のほか、商業施設やサービスエリアなどを狙って新設する。関東で100台以上の設置を目指す。より安価に誰もが気軽に出店できる仕組みも整える。具体的には1台1企業の出店ではなく、商品1個単位で販売できるようにする。
湯本代表取締役は「月500円で1商品を出店できるミセデモを展開したい。例えば地方の伝統工芸品などを取り扱ったミセデモを空港に設置することで、訪日外国人などに地方にたくさんあるよい商品を訴求するきっかけが作れる」と力を込める。
(文=葭本隆太)
連載・店舗進化論
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