完全自動運転のEVコンセプトカー「Milee」が観光地から注目されている! ハンドル、アクセル、ブレーキもない安全なクルマとは

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都会では、電車でどこにでも行ける時代になった。しかし、都会から一歩離れると、電車やバスだけでは目的地まで行けず、歩くにも時間がかかる場所では、必然的にタクシーに頼ることになる。

また地方によっては、電車やバスが1時間に1〜2本しか来ないのはザラで、クルマは重要なインフラとなっている。

そうした状況にもかかわらず、「若者のクルマ離れ」が問いただされている昨今、65歳以上の高齢者ドライバーが増えている。タクシーに限らず、宅配やトラックなどの運輸業界でもドライバー不足が深刻化している。

ドライバー不足を解消するひとつの解決策は自動運転であり、自動車メーカーだけでなく、様々な業種のメーカーが日夜研究を続けている。

そんな自動運転の分野で、にわかに注目を集めているのが、Tier IV(ティアフォー)が開発を進めている完全自動運転EVのコンセプトカー「Milee」だ。

■ラストワンマイルを補う「Milee」

完全自動運転EVのコンセプトカー「Milee」。



後ろから見た「Milee」。


「Milee(マイリー)」は、完全自動運転EVのコンセプトカー。
開発元のTier IVは、2015年から自動運転のハードウェア、ソフトウェア開発に取り組んでいる。

今回の「Milee」は自宅と最寄り駅という「ラストワンマイル」での利用に着目して開発した製品だ。

最大の特長はハンドルやアクセル、ブレーキなど、操作するツールが一切ない点だ。


運転するためのハンドルやアクセル、ブレーキの類が一切ない。


「Milee」の車体は、電動ゴルフカートをベースにし、3次元レーザースキャナ(LiDAR)や単眼カメラをセンサーとして搭載することで完全自動運転を実現する。


レーザーを飛ばし、周囲の状況を把握する。


クルマの運転に欠かせない必須条件は、
・認知
・判断
・操作
これらをオープンソースの完全自動運転ソフトウェア「Autoware」で自動化させている。
さらに低速での走行により、安全性を確保している。


「Milee」の現在位置をウェブ上で把握することができる。


さらにモビリティサービス用ウェブプラットフォーム「Web.Auto(ウェブ・ドット・オート)」により、
・配車管理
・遠隔操縦
・3次元地図配信
・人工知能(AI)のオンライン学習
・走行データ管理
・サポートセンター接続
こうした車両の自動運行に必要不可欠な機能もウェブ上でサポートする。

「Milee」における「ワンマイルモビリティ」とは、
・市街地の駅から最終目的地
・過疎地域での移動手段
など、走行する地域を限定することで、安全と完全自動運転する交通システムを構築させるという。


■期待される観光地での導入前の検証ができる「Milee」
「Milee」は、自動運転車の開発や運行サービスに取り組む企業向けに、「Milee」を貸し出して実証実験を通して検証してもらうのが、ビジネスモデルだ。

「Milee」を借り受けた企業では、センサーを追加したり、減らしたりするなど、様々な実験ができるというわけだ。

たとえば、地方自治体が観光客などを配送する自動運転車を利用したい場合など、コストや運用面での課題の洗い出しに、「Milee」を利用して調べることができる。

自動運転のクルマというと、車両が注目を集めてしまいがちだが、どのように車内で過ごすのかが、自動運転が実現した世界での次のビジネス市場になってくる。

たとえば、自動運転のクルマには100円で乗れるが、その車両の中で映画を観たり、その地域の情報を得たりと、エンターテインメントで課金するビジネスが想定される。

観光地では、自動運転車を走らせたいというニーズが高まりつつある。
・観光スポットを繋ぐ足
・移動時間を利用した観光ガイド
これら観光における体験価値を高めるビジネスのひとつとして自動運転車があるのだ。


ITライフハック 関口哲司