一眼ムービーなんて怖くない! : ニコン Z 7の大口径は動画性能アップにも繋がる
Z 7とZマウントレンズ
フルサイズミラーレス機がニコンとキヤノンの2社から相次いで発売されました。「デジタルカメラの進化の最終形はミラーレスであるべき」という持論の筆者も、待ちに待ったカメラ。今回はニコンZシリーズから高画素タイプ、Z 7をテストすることができました。
Zシリーズの特徴は何と言っても新開発Zマウントの55ミリという径の大きさ。初見では「レンズもでかくなるし、ここまで大きくしなくても」と思ってしまったのですが、カメラとして進化するためには、入ってくる光の情報と質を上げることが何よりも大事なのです。
Z 7
4575万画素(有効画素)の裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサーを搭載。約5.0段分の5軸手ぶれ補正搭載。感度はISO64~25600。動画撮影では4K UHD(3840×2160)/30pをフルフレームで撮影可能。Zマウントレンズ
レンズは現在、3本がラインナップされている。写真左からNIKKOR Z 24-70mm f/4 S(カメラ装着)、NIKKOR Z 35mm f/1.8 S、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S。

ボディは小さくなったものの、「レンズがでかい」と考えていたが、レンズの性能がとてつもなく上がっており、それがAFにも、最終画質にも関わってくると知り、納得。
「イメージセンサーの基本性能はD850を踏襲」と聞いていましたが、実際に解像度テストチャートをスチル撮影してみると、擬解像のノイズ感の少なさや色相分離の能力は、D850よりもブラッシュアップされていると感じました。これは大口径ZマウントとZマウントレンズ、処理回路の1年間の進化がもたらした効果です。
さらに全て電子化された接点は、情報をやり取りするスピードを高速化、大容量化。ピント移動やブレ量の検知、自動露出の演算スピードが格段に速くなり、特に1秒間に30コマもの画像を撮影し続ける動画においては、フレーム間ノイズリダクションなど、フレームごとの細かい補正をリアルタイムで行なうことで「静止画とほぼ同等の仕上がり」を実現しています。
ISO25600の高感度性能
いつものステップチャートを動画撮影してみると、ノイズの暴れをほとんど感じない、驚くべき高感度耐性が確認できました。センサーが同サイズで解像度が約半分=画素ピッチが大きいZ 6ではさらに期待できそうです。
フラットモードでISO200~ISO25600(感度拡張+2)まで感度を上げながらステップチャートを撮影。シャドー部のノイズをチェックしてみた。
撮影してすぐに気づくのがAFの飛躍的進化。高速化、合焦精度、イメージセンサーのほぼ90%を越す合焦範囲、全てがこれまでの機種を上回っています。さらに「動画時のAF-C」の使い方がとてもスマート。AF-Cでは基本、常に顔認識と自動追尾が働く状態で動作し「今、ここでフォーカスを固定したい!」という時にAF-ONボタンを押して「AF-C」を停止。もう一度押して再開が可能です。
AF合焦速度・AF追従感度も細かく設定可能になり、動画でも自然なAFの動きを出せます。新しいZマウントレンズのAFはとても静かなので、同録でも動作音をほとんど気にしないで使っていけます。
AFに関して特筆すべきは、ハイスピード撮影でもこの精度を保ってAF-Cが作動すること。顔認識でも自動追尾でもしっかりと被写体に合焦していました。
Z マウントレンズのブリージングの検証
Zマウントレンズに関しては、ブリージングが少ない点も触れておかなくてはなりません。インナーフォーカスレンズ特有のブリージング(フォーカスを動かすと画角が変わる現象)は、スチル撮影ではあまり気になりませんが、動画では問題なのです。
AI AF NIKKOR 50mmはピント位置によって画角が変わり、遠景の窓ガラスの▼マークがズレていくのがわかる。手前の像にピントを持ってくると、(背景がぼけてわかりづらいが)左上の▼マークは画面から外れてしまう。一方、Zマウントレンズは、ピント位置を変えても▼マークの位置は変わらない。
ミラーレスカメラとして気になるEVFの見え方は、かなり一眼レフのファインダーに近い感覚で使えます。特にピントの視認性が上がり、動画撮影時にもファインダーで確認したくなります。
Z 7での実写
4Kタイムラプス撮影。レンズ:NIKKOR Z 35mm f/1.8 S
定評あるニコンのタイムラプス。サイレント撮影と組み合わせ低輝度測光限界を拡張して深夜から夜明けまで撮影。見事な映像を作ることができた。今回は4Kムービーだが、8Kムービーに仕上げることも可能。
ハイスピード撮影。FHD DX 120fps f4 1/200秒 ISOオート FLAT レンズ:NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
フルHD/120p撮影で鳩を追い飛び立つ瞬間。レンズは24-70mm。ズームレンズだが、 合焦している部分のメリハリの良さとボケている部分の美しさに「50mm単焦点レンズで撮ったのかしら?」と錯覚してしまうほど。
フルフレーム4K UHD(3840×2160)/30p、フルHD/120の動画撮影性能は、4K/60p撮影をすでに実現しているマイクロフォーサーズ機パナソニックGH5や、APS-Cサイズセンサーの富士フイルムX-T3と比べると見劣りするかもしれませんが、現状、フルサイズのセンサーでは、まだ4K/60pは難しいのでしょう。
記録メディアはXQDカードオンリー。ボディの小型化の兼ね合いで、カードスロットが1口しかないことはやや不満ですが、高速のXQDカード採用は今後4K/60p以上の動画記録に対応するための布石だと考えられます。
動画カメラとしては、まだまだ進化の余地を残したZシリーズ。フルサイズミラーレスとして、画質、操作性において写真と動画にハイブリッドで対応してきた機種だと確認できたのは嬉しい限りです。
※この記事はコマーシャル・フォト2019年1月号から転載しています。
