名門・曙ブレーキが私的整理。鬼門の米国事業は立て直せるか
「日本から指導する技術者をかなり送りこんできたが、まだ足りていない」。信元久隆社長は米国事業の難しさをこう示していた。曙ブレーキは車のブレーキの摩擦材を中心にブレーキ製品を手がけているが、ADRを申請するまで財務体質が悪化した要因は、同社の売上高の約半分(19年3月期見通し)を占める米国での不振が大きい。
労務費の増加や人材の採用難なども重なり、生産の混乱が主要取引先であるゼネラル・モーターズ(GM)の次期モデルでブレーキ製品の失注につながった。18年9月末に1083億円あった有利子負債の返済計画が不透明になる事態まで落ち込んだ。
今後は企業などに支援を要請していくとみられ、曙ブレーキも「企業からさまざま提案がありうる」と再建に前向きだ。
米国事業の立て直しに向けた施策も徐々に進めている。品目計算などのグローバルデータベースを米国事業のコスト改善に生かすほか、ブレーキの新技術「新構造ブレーキキャリパー」を既存ブレーキに応用し、費用対効果の高いブレーキ製品を米国でも生産して提案力を強化する。
曙ブレーキは複数回の債権者会議を経て、事業再生計画を策定する。自動車業界は大きな変革を迎え、ブレーキ製品にも次世代対応が待ったなしの状況でもある。時代に対応した経営が進められるかの正念場を迎えている。
(文=山岸渉)

