by Medhat Dawoud

海外メディアのCheddarが、5人の情報筋から得た情報をもとに「Appleは独自のゲームサブスクリプションサービスを計画している」と報じています。

Apple Plans Gaming Subscription Service: Sources on Cheddar

https://cheddar.com/videos/apple-plans-gaming-subscription-service-sources

Report: Apple Considering Game Publishing, Subscription Service - Game Informer

https://www.gameinformer.com/2019/01/28/report-apple-considering-game-publishing-subscription-service

Cheddarによると、Appleが計画中のゲームサブスクリプションサービスは、「ゲーム版Netflix」のような定期購読したユーザーがプラットフォーム上で配信されているゲームタイトルを自由に遊べるようになるというものだそうです。なお、情報筋によるとAppleは2018年後半にゲーム開発者とサブスクリプションサービスについての協議を開始したとのこと。

サービスの利用料がどの程度になるのか、またAppleがどのような種類のゲームを提供するのかは不明です。Appleのゲーム配信サービスはまだ開発の初期段階にあり、「Appleが最終的にサービスを放棄する可能性もある」とCheddarは記しています。

2人の情報筋によると、Appleは開発者とパブリッシャーとして提携する方向で話し合いを進めているとのこと。これはAppleがサービス上で配信するゲームのマーケティングおよびその他の関連費用を引き受けるということであるため、「Appleの野心を示すものだ」とCheddarは記しています。



Appleが独自のゲーム配信サービスをスタートさせる理由について、Cheddarは「Appleがサービス事業を成長させようとしているのは、ハードウェア事業の売上が横ばいになりつつあるため」と指摘。実際、Appleはゲーム配信サービス以外にも、Apple Musicの加入者拡大のために通信事業者と提携したり、2019年には新しいニュース講読サービスのリリースを計画しているといわれています。

Appleのゲーム配信サービスにどのような種類のゲームが含まれることになるのかは不明ですが、App Storeに新たにゲーム配信サービスが加わることとなれば、iPhoneの売上げ低迷を急成長中のゲームおよびeスポーツ分野が支えることになる可能性は十分にあるとのこと。なお、調査企業のNewzooは、モバイルゲーム市場の規模は2021年までに約1000億ドル(約10兆円)にまで膨れあがると予測しています。

また、ベンチャーキャピタルのLoup Venturesで長らくApple関連のアナリストとして働いてきたGene Munster氏は、「(ゲーム市場は)Appleにとって重要な役割を果たすのに十分過ぎるほど大きな市場だ」と語っています。

Appleによるゲーム配信サービスがどのように機能することになるかはまだまだ謎ですが、証券会社のBTIGでゲーム業界を担当するアナリストのブランドン・ロス氏は、「サブスクリプションはモバイルで収益化するための成功例であることは明らかです。しかし、ゲームに関して言えば、Microsoftやソニー、EAといった数少ない成功事例しか存在しません」と語り、「モバイルゲーム」という分野においてサブスクリプションで成功を収めた事例が少ないとも指摘しています。

iCloudやApple MusicといったサブスクリプションサービスはAppleの中でも最も急成長している事業分野のひとつ。Appleのティム・クックCEOは2020年までにサービス事業の売上を500億ドル(約5兆5000万円)にまで増加させるという目標を設定しており、2018年度のサービス事業の売上は397億5000万ドル(約4兆3000万円)でした。目標達成に向け、好調なサブスクリプションサービスに新しく「ゲーム配信サービス」を追加するというのは十分に考えられる方針なのかもしれません。

なお、Appleの広報担当者は開発中とされるゲーム配信サービスについてのコメントを控えています。