乾貴士(撮影:佐野美樹/PICSPORT)

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24日、ベトナム戦で乾貴士は78分に出場した。1-0とリードしていて、このままゲームを終わらせるか、あるいは追加点を奪ってトドメを刺すか。味方の疲れもピークに見えるし、相手も疲れてスペースがある。そんな難しい局面だった。

「楽しかったですよ。久しぶりに(長友)佑都君と一緒にやれて。(ロシアワールドカップ組の柴崎)岳もいてサコ(大迫勇也)もいて。新しい(南野)拓実も(堂安)律もいて、(酒井)宏樹もいて(吉田)麻也もいたし。やっぱり何か、『帰ってきたな』という感じでしたね」

▼ 長友佑都、堂安律

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


乾はそう話し出すと笑顔を見せた。出場すると慌てず急がず、しっかりとボールをキープしながらリズムを変えた。ポジションを移しながらボールを引き出したかと思うと、そのままパスに触らず背後の南野のチャンスに変える。そんな乾らしい、余裕と遊び心のあるプレーがチームを落ち着かせた。

「1-0で勝ってる状況なので慌てても仕方がないと思いましたし、落ち着かせるところは落ち着かせるし行くところは行くって、その判断は大事になってくるので。オレももう30歳ですし、そういう試合の流れも読んでやっていかないとというのは思いました」

実はこの合宿中、乾には心配なところがあった。いつもは報道陣の質問に陽気に答えるのだが、サウジアラビア戦の前は広報担当者に促されても報道陣に近寄ると、さっとバスに引き上げてしまったのだ。追加招集という立場、さらにウズベキスタン戦でやっと出番が来たという境遇に、苛立っていたのではないか。

そうストレートに聞くと、乾は慌てて「いやいや、そんなことないです。大丈夫です」と答えた。だがそのときの心境を語ろうとはしなかったので、葛藤はあったのかもしれない。

それでもこの日のアディショナルタイムを含む16分間のプレーで、乾は自分の価値を示した。イランとの厳しい準決勝の前に、ワールドカップで活躍した頼もしい乾の姿が戻ってきた。

【文:森雅史/日本蹴球合同会社、撮影:佐野美樹/PICSPORT】

▼ 柴崎岳

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 大迫勇也

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 南野拓実

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 酒井宏樹

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 酒井宏樹、柴崎岳、吉田麻也

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 遠藤航

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 原口元気、長友佑都

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 南野拓実

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)


▼ 冨安健洋

(撮影:佐野美樹/PICSPORT)