ようやく誕生も、ニコニコできない「出光昭和シェル」の事情
創業家の姿勢を軟化させたのは、石油業界を取り巻く事業環境の変化。元売り各社が主力とする国内燃料油市場は自動車市場の成熟に加え、省燃費のハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)をはじめとするエコカーの普及で縮小し続けており、人口減少社会を迎えてさらに右肩下がりの傾向が目立つ。
元売り各社のブランドを掲げてガソリンや軽油を販売する給油所の数は94年のピーク時に比べて半減し、約3万1000店。ここ数年は年率2―3%の販売数量減が続いている状況だ。両社の計画を追い越す格好で17年4月、旧JXホールディングス(HD)と旧東燃ゼネラル石油が統合して、国内燃料油市場で過半のシェアを握るJXTGHDが誕生したことも背景となった。系列給油所が掲げるブランドは当面併用されるが、出光昭和シェルのシェアは30%強になり、JXTGHDを追撃する態勢が整う。
上位2社で国内燃料油市場の8割以上のシェアを占めるようになり、業界では「かつてのような過当競争(安売り)が再燃し、マージンが大きく崩れる状況は想像しにくい」という見方が大勢だ。
(文=青柳一弘)
