規制緩和で始まった国立大の資産運用、大学関係者が気にすること
国立大の余裕金を金融商品で運用することは従来、元本保証の国債などに限られていた。規制緩和では、元本保証でなくても「原資は寄付金」「資金運用の規定や運用管理委員会の体制を整備」という条件で可能となった。寄付金集めは多くの国立大が強化に動いており、これと連動した例が増える見込みだ。
関係者が気にするのは、マイナスが出ないかどうかだ。投資信託など1商品の短期のマイナスは許容だが、トータルのマイナスは論外という声が強いようだ。私立大学の学校法人で、2008年のリーマン・ショックで金融資産価値が大幅減になった例もある。ただ、投資というだけで嫌悪感を示す教職員がいる、というのはどうかと思う。
そこで提案したいのは、これらに詳しい卒業生や経営協議会委員などが、積極的に関わっていくことだ。実際、文部科学省が認定する体制の多くは「2年以上の資金運用業務の経験者と、同窓会会員か寄付者の学外委員」が必須としている。
寄付は同窓会と結びつきが深い。医学部・病院がない小規模大学は寄付が少ないが、教員養成系大学では付属学校卒業生の愛校心が強力だとも聞く。大学のステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションを高めるチャンスだ。
「リスクがあるから手を出さない」では何も変わらない。資産運用は特に、教員でなく職員が活躍する点も注目だ。国立大にふさわしい工夫と活動を重ねていってほしい。
(文=山本佳世子)
