火力再稼働で需給一息も、北海道「冬の電力」は大丈夫か
北海道電は、北海道地震で損傷した苫東厚真の1号機(出力35万キロワット)に続き、4号機(同70万キロワット)も25日に再稼働にこぎ着けたことで、電力需給の逼迫(ひっぱく)から一息つける状況となった。
しかし、道内の電力ピークはこれからだ。老朽火力のフル稼働による故障リスクの恐れもあり、決して油断はできない。
道内最大の火力発電所である苫東厚真は、地震前は道内の電力供給の半分程度を担っていた。北海道電の真弓明彦社長は、「長期の電源計画を立て、さまざまな観点から取り組んできた。泊原発が停止する中、苫東厚真を主力電源として運転せざるを得ない状況だった」と弁明する。
道内の電力供給力は苫東厚真1、4号機のほか、知内発電所(知内町)2号機(同35万キロワット)の稼働などにより25日現在で461万キロワットを確保した。地震前のピーク需要だった383万キロワットを上回る。
この結果、企業の自家発電からの電力調達をとりやめ、北海道と本州と結ぶ送電線「北海道・本州間連系設備(北本連系線)」を20万キロワットから10万キロワットに減らし、残り50万キロワットを緊急用の予備力とした。
ただ電力需要が高まる冬季に備えるには、供給力をさらに積み増す必要がある。17年度冬季のピーク需要は1月の525万キロワットであり、現時点では60万キロワットほど足りない。
原発再稼働、見通立たず
今後は苫東厚真2号機(同60万キロワット)が10月中旬に再稼働する見込みのほか、定期点検中の苫小牧発電所1号機(苫小牧市、同25万キロワット)の10月末稼働を前倒しする方向で調整している。グループ会社の苫小牧共同発電所(同、25万キロワット)の11月下旬からの稼働前倒しも視野に入れる。
とはいえ、老朽火力発電所をフル稼働させている状態に変わりはなく、必然的に故障リスクを抱える。奈井江発電所(奈井江町)の1号機(同17万5000キロワット)は運転開始から50年を超え、2号機(同17万5000キロワット)も48年が経過する。
停止中の泊原子力発電所(泊村、総出力207万キロワット)も原子力規制委員会の安全審査が終わらず、再稼働の見通しは立たない。
こうした中、北海道電初の最新鋭液化天然ガス(LNG)発電所である石狩湾新港発電所(小樽市)1号機(同56万9400キロワット)が18年10月に試運転、19年2月に稼働する予定だ。
ただ電力の安定供給に寄与できるかは未知数。「すぐに100%の出力にはならない。試運転のため、(供給力の)確固としたものに位置付けるには早い」(北海道電の阪井一郎副社長)と説明する。
また北本連系線を現在の60万キロワットから19年3月に90万キロワットに増強する予定だが、冬場の電力需要のピークには間に合わない。ブラックアウトの再現を防ぐにも、節電など電力の安定供給に万全の対策を取ることが必要だ。
検証委が始動
世耕弘成経済産業相の指示を受け、経産省所管の認可法人である電力広域的運営推進機関は、原因究明と再発防止策を検討する検証委員会(横山明彦委員長=東京大学教授)を設置、21日に初会合を開いた。
