スマホの充電器レンタルはビジネスとして成り立つのか? ChargeSPOTのアジアに学ぶビジネスモデルとは

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スマートフォンの必須アイテムと言えば、モバイルバッテリーだ。
モバイルバッテリーは、外出先でのスマートフォンを充電でき、電池切れを防ぐことができる。
最近では、常時モバイルバッテリーを持ち歩く人も多い。

そんなモバイルバッテリーを、今後は購入しなくても使える時代がくるのかもしれない。

スマートフォンの充電器シェアリングサービス「ChargeSPOT」が開始されたからだ。
「ChargeSPOT」は、国内外でO2Oマーケティングサービスを展開する株式会社INFORICHの新しいサービスだ。

「ChargeSPOT」を利用すれば、
・渋谷駅で充電器を借りて、表参道のカフェで返却する
・東京で借りて、香港で返却する
など、国内だけでなく、国内から海外をまたいでも、モバイルバッテリーの貸し借りできる充電器のシェアリングサービスだ。

「ChargeSPOT」のビジネスについて、株式会社INFORICHのCEO秋山広宣氏にお話をうかがった。


■広告展開も視野に入れたビジネスモデル?
「ChargeSPOT」の利用料は、
・60分/100円
・以降48時間以内まで追加100円
※紛失や破損、もしくは48時間以内に返却できなかった場合には、端末保証として預かった1,500円が徴収される。

「ChargeSPOT」は、ユニークなサービスだ。
なかでも48時間以内は200円という破格の利用料は、魅力的だ。

この低価格でビジネスが成り立つのだろうか?
ビジネスモデルについて聞いた。

秋山氏
「ビジネスモデルは、お客様にアプリをダウンロードしていただきます。アプリの中での100円、200円の課金が我々の収益になります。そしてもうひとつが広告収益です。これが我々の収益の2本立てになります。今後の展開を考えているのは、アプリの中のクーポンです。」

アプリでは現在、初期キャンペーンで無料クーポンを配布している。
このアプリ内のクーポンスペースを利用して、Tポイントのような既存ポイントと連動させるクーポンをビジネスモデルとして展開するという。また、「ChargeSPOT」設置場所の写真がアプリにも表示されることで、これらを店舗などへの誘導広告とすることも視野に入れているという。

充電器レンタル料金に加えて、アプリ内や「ChargeSPOT」の設置での広告料金で、収益を上げていくビジネスモデルを想定しているのだ。


株式会社INFORICHのCEO秋山広宣氏。



■メインの収益はあくまでスマホ充電器のレンタル
秋山氏
「中国では、割りと存在しているサービスだったりします。このモデルがまだ日本にないのが不思議だったんですけど、それをひとつ具現化させていただきました。」


国内で設置を進めている「ChargeSPOT」の端末。


秋山氏
「ChargeSPOTの広告枠を代理店一緒に進めさせていただいております。広告代理店費用を、この中で出させていただいて広告を獲得していくというのが、この広告モデルになります。」

たとえば、全国1,000台のChargeSPOTを設置すれば、
・300台はA社
・200台はB社
・500台はC社
といった展開も可能となる。
つまりChargeSPOTの設置場所(地域)ごとに、広告企業を変更して展開することも可能となる。それだけに、ChargeSPOTの台数を増やしていくことが、今後の課題と言える。


「ChargeSPOT」のディスプレイには、広告を表示させることができる。



ここまで話を聞くと、「ChargeSPOT」による広告ビジネスが主な収益源に思われてくるが、CEO秋山氏からは意外な答えが返ってきた。

秋山氏
「意外と我々は、広告頼りにはしてないんですよ。1台で100円、200円がメインのビジネスモデルだと思っています。」


「ChargeSPOT」のモバイル充電器。


1台で100円、200円は少額と思ってしまうが、稼働率が高ければ十分に採算は取れるという。
実際、中国の同様サービスでは、1日で充電器がなくなる(稼働率100%)という。
日本でのChargeSPOTは、設置数や知名度の向上で稼働率が想定以上になる可能性は十分にあるという。

秋山氏
「継続的に使われている方は、渋谷には結構現れたとおもっています。ベッドタウンとワークタウンで、どのように使われていくのかを楽しみにしています。今はランドマークが設置場所のメインですが、ゆくゆくはベッドタウンの駅の近く、コンビニさんに設置をしたいと考えています。」

ChargeSPOTがコンビニと連携すると、かなり便利になるだろう。
ブレイクポイントは、案外、コンビニ連携が大きな分岐点になるのかもしれない。


■海外にあって、日本にはないサービスをブラッシュアップして展開する

ChargeSPOTは年内に7,000台の設置を予定しているが、クローバルに繋がるシェアリングサービスであるのも大きな特徴だ。香港ではすでに300ヶ所導入が進行しており、年内にはハワイやタイ、インドネシア、マレーシアでの海外展開も合わせて、世界で10,000台の展開を予定しているそうだ。

秋山氏
「海外では存在していて、日本では存在していないものに、何気に特化しています。今後もそういったものを展開していく予定です。たとえば、LiftSPOTはエレベーターの中に広告を入れるものです。監視カメラを付けて、そこを広告面にするというものです。」

「LiftSPOT」はエレベーターメディア株式会社との協働により開始したサービスだ。

ChargeSPOTは、スマホなしで生きられない現代人にとって、まさに渡りに船だ。
今後、サービスエリアが増えてくれば、日本だけでなく、海外でも「ChargeSPOT」に助けられるかもしれない。


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ITライフハック 関口哲司