スーツでバレまくる「失笑される人」の勘違い
スーツの5つのチェックポイントは、世界共通のルールです(写真:shironosov/iStock)
明治維新でチョンマゲを切って洋服を選んだにもかかわらず、150年経っても変な着こなしをしているのが日本人。ワシントンで世界のエリートとともに非言語コミュニケーションを学び、ニューヨークでビジネスを展開してきた安積陽子氏の著書『NYとワシントンのアメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服と仕草』の中から、「スーツの5つのチェックポイント」をご紹介する。
皆さんにご自身のスーツのサイズを確認していただくための、簡単な方法を紹介しましょう。まずは誰もが簡単にできるチェックポイントを5つお話ししますので、チェックしてみてください。
1つ目は肩のフィット感です。バブルを経験した日本人の中高年の男性の場合、8割近くの人が大きめのサイズのスーツを着ています。バブル当時の流行が、「ソフトスーツ」と呼ばれるダッポリとした型だったからでしょう。なかには肩の部分が大きく下がった、全体的に2サイズほど大きめのスーツを着ている人もいます。
正しい肩の位置は、スーツの肩を人差し指と親指でつまんで、ひとつまみほどのところです。
ジャケットの丈は長すぎても短すぎてもダメ
2つ目はジャケットの丈です。ジャケットの裾は、ちょうどお尻の丸みが見えなくなるところに合わせましょう。これ以上長いと寸胴に見えますし、短いとカジュアルすぎてビジネスにはふさわしくありません。
袖丈は、腕を下ろした状態で、手の平を下に向けて床と水平に手首を曲げたときに、ちょうどスーツの袖の先が、手の甲にギリギリ触れるか触れないかというところが適正サイズ。手の甲から離れていれば、シャツが出すぎてしまいますし、手の甲に完全にかぶさっていれば、それは長すぎます。ご自身のスーツで試してみてください。
2017年のイタリアのG7サミットに勢ぞろいした首脳たち(写真:内閣広報室)
3つ目はウエストラインです。2017年にイタリアのタオルミーナで開催されたG7サミットに参加した各国首脳陣の写真に写った首脳たちのシルエットにご注目ください。正面から見たときに、ほとんどの人が、袖と胴体とのあいだに数センチの空間がありますね。スーツの袖と胴体とのあいだにこのくらいの空間がなければ、きりりと引き締まった印象には見えないのです。
袖が太すぎると野暮ったい印象になりますし、胴体とのあいだに空間は生まれません。逆に袖が細すぎると窮屈な印象になります。
なお、ご自身のスーツの袖が窮屈すぎないかは、腕を伸ばしてみるとわかります。腕を伸ばした際にシャツが腕に巻きつく感覚がある場合は、幅が狭すぎるというサインになります。
S字形になっているのが理想的
4つ目はシルエットです。自分では確認しづらいかもしれませんが、鏡の前に立って横から背中のラインを見てください。背骨に自然に沿うかたちになっていますか? 身体を中央で支える背骨は、側面から見ると緩やかなS字カーブを描いています。スーツを着たときにも、側面から見て背中の曲線がS字形になっているのが理想的なのです。
後ろからもチェックしてください。不自然な縦ジワや横ジワができていませんか? 横幅がありすぎるときは縦ジワが、小さすぎる場合は横ジワができます。背中に縦ジワや横ジワがいくつも見られるスーツは、身体に合っていない証拠なのです。
ショップで異なるタイプの既製スーツを10着程度試着してみて、それでも背中にシワが見られる人は、特殊な肉付きや骨格をしているのかもしれません。いまは既製品とほぼ同じ価格帯でカスタムスーツを作ってくれるお店がたくさん出てきています。ぜひ、オーダースーツに挑戦してみてください。
5つ目は、シャツです。ジャケットのなかに着ているシャツが、ジャケットの襟元と袖口から1センチから1.5センチ程度出ているかどうか確認してください。シャツはもともと皮脂や汚れからスーツを守るための下着としての役割を持っています。スーツを保護するためにも、シャツがスーツよりも出ていることは鉄則です。
重たい色で覆われた上半身から、白色がさりげなく見えるだけで、清潔感も感じさせます。また、首にジャストフィットしたものを選びましょう。
この5つのポイントは世界共通のルールです。日頃からスーツを着て仕事をしている人は、しっかりと押さえておいてください。