これに対し、ペケルマン監督はハメス・ロドリゲスをキンテーロに代え、日本に脅威を与えながら、日本の左サイドの崩しにブレーキをかけようとしていたのだと思います。しかし、ハメスのコンディションが思った以上に悪く、逆効果となってしまいました。

 それを見て、選手交代をしてハメスを逆サイドに移しましたが、同じタイミングで日本も香川選手を本田選手に変えたので、起点が逆サイドになり、また数的優位のまま、今度は右サイドを崩しにいくことができました。
  ハメスの投入を逆効果にさせたのは、前回大会の経験が生きているようにも感じました。前回の初戦、コートジボワール戦ではドログバの投入で浮き足立ってしまった日本代表。ハメスの投入で4年前の記憶が蘇った選手もいたのではないでしょうか。今回は違う自分たちで臨む。そんな気概が見えました。

 とはいえ、勝ち切るには得点が必要でした。そのなかでCKから勝ち越し点を奪ったわけですが、本田選手の正確なボールと合わせた大迫選手の強さは見事でした。大迫選手はそれまで何度かチャンスを逃していました。それでも何度も何度もチャレンジを繰り返し、ついにゴールをこじ開けました。次戦以降は得点に対し、よりリラックスして挑めることを考えると、エースストライカーとしての活躍を今後も期待できそうです。
 
 日本は初戦で勝点3を獲得し、今後に期待がもてる姿勢も見せました。ただ、11人の相手との試合がでできたわけではないことを、しっかりと認識すべきでしょう。リスクをとるところとリスク管理をするところのバランスは、相手が11人になればより慎重にならざるを得ず、その置きどころはコロンビア戦ではうまく定められませんでした。
 
 特に、ビルドアップをスタートして前に運べた後の画の合わせ方です。リスクを最小限に抑えながら、リスクを負っていく形をチームとして詰めておくべきでしょう。守備面でも、流れの取り方以上に、あっさりと失点をしてしまいそうな印象は拭えません。次のセネガルとの一戦は、そのあたりが強く求められる試合になります。

 グループリーグ突破のためには、あと1勝はほしいところです。チームを取り巻く空気は確実に変わってきて、運を掴む流れになってきていますが、次が本当のスタートのつもりでいいでしょう。まだ、突破の可能性は50%だと思います。

岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。2010年の南アフリカW杯メンバーにも選出された。現在は、東京ユナイテッドFCで選手兼コーチを務める。