東京に“ネブミ男”と呼ばれる男がいる。

女性を見る目が厳しく、値踏みすることに長けた“ネブミ男”。

ハイスペックゆえに値踏みしすぎて婚期を逃したネブミ男・龍平は、恋愛相談の相手としてはもってこい。

相手を値踏みするのは女だけではない。男だって当然、女を値踏みしているのだ。

そこで値踏みのプロ・龍平に、男の値踏みポイントを解説してもらおう。

これまでに、姫気質な「ワタシ姫」や、自称サバサバ系の鯖女子、カサカサお化けや夜泣き爺の陽介を見てきた。

今週、彼の元にやってきたのは...?




「龍平さ〜ん、お久しぶりですぅ」

待ち合わせの『銀座くどう』へ、ヒラヒラと手を振りながらやってきた里香。

いわゆる“ゆるふわ”系の代表コーディネートのような、ふわっとしたスカートに鎖骨が綺麗に見える半袖のサマーニット。

化粧もきっと時間をかけてしているのだろうが、決して厚化粧に見えず、ナチュラル美人に見える。

肌もツヤツヤだし、唇もグロスでピカピカだ。

そんな里香が登場した瞬間、その周りだけ花が咲いたような、ふんわりとした空気が流れた。

「相変わらず里香ちゃんは可愛いらしいね」

以前、食事会で出会った里香。

最初は龍平に猛アプローチを仕掛けてきたのだが、全く相手にされないと悟った途端、龍平を相談相手、かつ“美味しいものを食べさせてくれる害のない男”と判断したようだ。

度々こうして龍平を呼び出しては、美味しい食事を楽しみながら相談をしてくるのだった。

「で、今日は何の相談?」

「それが...最近、素敵な男性と良い感じにはなるものの、その先に進めなくて。中途半端な関係が続いちゃうんです」

里香の話は、巷でもよく聞く話だった。

それほど、この妖怪“一旦タンマ”女は日本に頻出しているのだろう。


妖怪・一旦タンマとは?男を掴みきれない女の特徴


本命の彼女もしくは嫁になれない女


「美味しくて、美しいご飯って罪だよなぁ...」

龍平が独り言のようにしみじみと呟くと、隣にいる里香は笑っていた。

「龍平さんって、変わってますよね。こんなカッコよくて経済力もあるのに、勿体無い」

「そ、それが僕の結婚できない理由なのかな...って僕の話はいいから、先に進めないってどういうこと?」

里香の言葉に何も反論できず、ちびちびと日本酒をすすっているうちに、ようやく里香の口から本音が漏れてきた 。

「出会いから、デートまでは順調なんです。食事会に行っても必ず誰かから誘われるし、デートも相手を楽しませている自信はあります。それなのに、あともう一歩進めないというか...本命の彼女になれないんです」

「山形牛サーロインの炭火焼 ウニのせ」をゆっくりと味わいながら、龍平は“ふむ”と頷いた。




客観的に、里香を見てみよう。

可愛らしく、優しく、花もある。多少計算高いところもあるが、女性ならばそれくらいの計算は必要だ。むしろその計算高さが“小悪魔的”可愛さを引き出していると言っても過言ではない。

それなのに、どうして男性から“本命視”されないのだろうか。

「里香ちゃんが、デート中に何か自分では気がつかない失態を犯しているとか?」

「それも何度か考えたんですけど、思い当たる節がなくて」

性格に難ありでもなければ、特筆すべき癖もない。

良い言い方をするとフラットで、欠点と言えば特徴がない所くらいだろうか。しかしそんなもの、過去に出会ってきたアクが強い妖怪たちに比べれば良いものである。

「最近までデートしていた男性も、仲良くなって家に行ったりもしていたんですが...でも、“付き合おう”とも言われず、宙ぶらりん。私たちの関係って何なの?とも聞けず、ずっとモヤモヤしているんです」

「え、家まで行ってるの!?」

正直、龍平は驚いた。一見、里香はそんな風には見えないからだ。

どちらかといえば清純で、“彼氏以外とはそんなことはしません♡”的な女性だと思っていた。

「そんな軽い女じゃないですよ!いいなぁ、好きだなぁと思ったからその人の家に行ったんです」

里香は笑っているが、そのギャップに龍平は少々驚く。そして、里香が本命視されない理由がはっきりと見えてきた。


本命視されない女の特徴とは?


「で、家に行ってどうしたの?」

少々突っ込んだ質問であることは百も承知だし、今のご時世タブーな質問にもなりかねない。

しかし、男性の家に行った時の行動で、里香が本命彼女になれない答えが隠されているような気がしてならなかったのだ。

「べ、別に何もしていませんが...」

「え・・・・?何も!?」

龍平は、持っていた箸を落としそうになった。家にまで行って、何もしていないとはどういうことなのだろうか。

「だってまだ付き合ってもいないし、関係性もハッキリしてくれないうちからそういう関係は嫌なんです」

-はぁ。やはりそうだったか...

龍平は食べる手を止め、里香を見つめ直した。せっかくこんなにも可愛いのに、彼女の中に潜む妖怪、“一旦タンマ”が彼女の恋愛を阻害している。




「じゃあ聞くけど、何でその男性の家にまで行ったの?」

「それは、好きだからです!」

自信満々に答える里香だが、彼女の拗らせっぷりは中々のものだろう。

男からすると、意味が分からない。

家にまで来たのに、いざとなると“ちょっと待って、そんなつもりじゃなかった”とか言う。

「それさ、男からすると何がしたいのかよく分からないよ」

龍平がハッキリ言うと、里香はキョトンとしていた。

「え?だって簡単な女より、手に入らない女の方がいいって言うじゃないですか。それに、そんな軽い女だと思われたくないですし。本命になりたいからこそ、慎重に行きたいんです」

里香の場合、焦らす云々よりもタチが悪い。そもそも二人でデートした時点で、男は“この子は僕のことが好きなのかな”とか都合よく勘違いしているのに。

今の里香は男性からすると何がしたいのか分からず、ただの面倒な女になりかねない。

「男は単細胞だから、そんな難しい駆け引きをされてもよくわからないんだよ」

断られると、男は凹む。
そして一度拒否されると、次に誘うのが怖くなる。

ただのデートの誘いであればそこまでの意味はないが、家まで来て何もなく、“一旦タンマ”と言われると次の一手が思いつかないのだ。

そしてなるべく 無難な道へ逃げようとする。

そんなことしている間に、次の女性が現れ、“妖怪・一旦タンマ”への興味は薄れていく...と言った負の連鎖が発生するのだ。

「そんなの意味が分かりません。でも、たしかに私も軽率だっというか、相手に対して失礼だったのかな。以後気をつけないと」

プリプリと怒りながらも何か納得した様子の里香を見ながら、彼女が結婚できる日はそう遠くないかもしれないと感じた龍平だった。

▶NEXT:特別番外編を、5月25日金曜更新予定
バチェラー・ジャパンに出ていたあの女性がネブミ男に登場!!