中川 卓也(大阪桐蔭)「強い決意」で「センバツ連覇」に挑戦する

写真拡大

 3月23日に開幕する「第90回記念選抜高等学校大会」。出場36校中、ただ1校権利を持つ「センバツ連覇」を目指して戦うのが大阪桐蔭である。昨年の主力選手の多くは今年も健在。ドラフト候補としてもNPBのスカウトから熱い視線を注がれている。そこで高校野球ドットコムはその注目選手たちを独占徹底紹介。第3回で取り上げるのは中川 卓也三塁手である。

 一発を打つ長打力と逆方向へ長打を打てる巧打力を兼ね備え、中学時代を含めて内野4ポジションを守れる器用さを武器に、大阪桐蔭では1年秋からレギュラーの座を獲得しセンバツ優勝を経験。新チームでは主将として逸材集団をまとめる中川。今回は入学からこれまでの道のりや、自身が取り組んでいる主将としての振る舞い、課題について語っていただいた。

無我夢中での選抜V「気づき」を与えた仙台育英戦

先頭に立ってランニングを行う中川卓也選手(大阪桐蔭)

―― 大阪市立長吉中中時代は大阪福島シニアに所属していた中川選手。大阪桐蔭に進むきっかけをまず教えてください。

中川卓也選手(以下、中川): 兄(優さん・大阪体育大)がいる八戸学院光星も1つの候補だったんですが、「激戦区・大阪」で甲子園に行くことが僕の中で価値があることだと思い、大阪桐蔭を選択しました。

――  実際に大阪桐蔭へ進んでみていかがでしたか。

中川: 入学してから1か月もたたないうちに、Aチームのフリー打撃・ノックへ入れていただいたのですが、上級生の皆さんのレベルの高さに、入学当初持っていた自信はあっという間に崩れた記憶があります。なので、とにかく必死にくらいついていくしかなかった。がむしゃらに練習に取り組みました。

――   そういう中で1年秋も引き続き試合に出場するようになった中川選手ですが、秋季大会ではケガがあったんですよね?

中川: そうです。大阪府大会では、ケガでプレーできませんでした。夏の大阪大会でも僕とAチームで帯同していた藤原 恭大や根尾 昂が活躍していたことで、余計に自分に対する悔しさが増しました。

――  近畿大会ではケガから復帰し、初戦の龍谷大平安戦(京都)で本塁打。3試合で11打数5安打と活躍を見せた大会となりました。

中川: 久しぶりの実戦でフォームの感覚も忘れていたんですけど、思い切って振っていくことだけを心掛けたら、よい結果として表れてくれました。

――  逆にそういう心境で打てたことは中川選手にとって発見になりましたか?

中川: そうですね。今まで自分は、フォームのことを考えすぎていたところがあったんです。スイング軌道、タイミング、インパクトなど…。いろいろなことを考えていたのですがあの時はそういうことを考えず、無意識になったことが良い結果として出たと思いますし、今も心掛けていることです。

――  そして昨年センバツ。自身にとって初めての甲子園は振り返ってみてどうでしたか?

中川: 最初は足が震えるくらい緊張しました。

――  結果は優勝。あの瞬間を思い出して語っていただければと思います。

中川: 本当に嬉しかったですし、もう一度、3年生の方と夏も優勝したいと思う気持ちになりましたし、また自分の代でも春、夏の甲子園優勝をしたいと心の中で決めました。

――   甲子園春夏連覇を目指した夏。ご自身のパフォーマンスは振り返っていかがでしたか。

中川: 自分の悪い癖である「フォーム」を気にしすぎる癖が出てしまいました。本当に結果を出したいばかり、自分の打撃を見失っていたと思います。

―― あえて、甲子園3回戦の仙台育英戦について聞きます。何度も聞かれたことだと思いますが、ベースの踏み忘れからサヨナラ負け。これを新チームにどう生かそうと思ったのか。教えてください。

中川: あの時は試合終盤で焦っていたのはありますし、内外野との連携がとれておらず「100%の確認」ができていませんでした。99%の確認でも、1%が怠っていれば、致命傷となることを学んだ試合でした。新チームでは、ベースを踏んだのか、ポジショニングの確認など、100%の確認を行うことをチームで徹底させています。

「神宮大会敗戦」で気づいたチームの弱さ

守備練習を行う中川卓也選手(大阪桐蔭)

―― 新チームから主将になった中川選手。小中学校の時も主将経験がありますが、人を引っ張ることには自信があるほうなのでしょうか?

中川:  僕は言葉で伝えるのはうまくない方だと思ってんす。もちろんしっかりとミーティングをして、自分が話したいことは伝えますが、まずはみんなについてもらえるように、全力プレーや立ち居振る舞いをしっかりとすることを心掛けています。

―― 主将就任時、前主将・福井 章吾(慶應義塾大)選手から伝えられたことはなんでしょうか。

中川: 仙台育英に敗れた日の夜に、福井 章吾さんから「お前が折れたら、このチームは絶対に終わるぞ」と。どんなことがあっても前を向いて頑張ろうと、みんなを引っ張っていこうと思いました。

―― 秋の大会まで時間も少なく、まとめるのも大変だったと思います。

中川: そうですね。スタートしたときは右も、左も分からないところからスタートをして、不安しかない秋の大会だったんですけど、一戦一戦重ねていくごとにチームワークが良くなっていくのを実感しました。今は部員41人が選抜連覇の偉業に向かって1つになってやっています。

―― 近畿大会優勝。そして神宮大会を終えて、どういうところが課題となりましたか?

中川: 特に神宮大会は走塁と守備のミスが多く、自分達の弱さが出た。内外野の連携が少なく、それらが失点につながりました。新チームから常々いっていた100%の確認ができなかった大会でした。 そして走塁の弱さ。ここは昨年12月に大阪府選抜で遠征した台湾の親善試合でも感じました。このチームは、藤原 恭大や、宮 仁斗のように根本的に速い選手がいる半面、走塁技術の習得はまだまだ。ですので、この冬は足を速くするために、30メートルダッシュを繰り返し行っていますし、加えて技術を高める走塁練習も行っています。

「注目」を力に変え、何としても「センバツ連覇」

中川卓也選手(大阪桐蔭)

―― 中川選手個人の昨秋も振り返りたいと思います。大阪府大会の大手前戦でコールド勝ちを決める本塁打を打つなど41打数16安打18打点。この活躍に至ったきっかけはありますか?

中川: 僕は新チームになって自分の結果を考えないようになりました。今までは「打とう、結果を出そう」と思っていましたが、主将になってからはチームの勝利が優先。「5打数0安打でもチームが勝てばいい」と自然と考えられて、受け止めることができるようになったことがいい方向に向いたと思います。でもまだ課題は多いです。

―― 具体的にどんなところが課題となりましたか?

中川: 「遅い球が打てていない」ことです。速球を打つことには自信があるんですが、まだ遅い球を打てていないことがあったので、冬の個人練習では、遅い球を打てるように打撃練習を行ってきました。 もう1つ課題になったのは長打力。高校通算はまだ8本塁打ですし、甘い球を逃さず、長打にすることができるようになれば、高いステージに到達することができる。そしてチームの勝利に貢献できると感じました。

―― とはいえ、木製バットを使う台湾との親善試合でも20打数9安打と活躍。金属でも木製でも対応できるようにするためには、どのような心がけて打撃練習を行っているのでしょうか?

中川: 自分は金属バットより木製バットのほうが打ちやすいかなと思っています。心がけていることは「強く振る」。当てることに執着して、弱く振ってしまうと木製バットに負けてしまいます。折れることもありますが、折れることを気にせず強く振ることを大事にしています。 台湾での大会も初戦に関しては自分自身の結果が出なかったんですけど、2戦目以降はチームバッティングを心掛けたら打てるようになりました。

―― 台湾での経験を通じ、中川選手が得たものはありますか?

中川: 「振り抜く打撃」です。大阪桐蔭入学から昨秋の大会までは自分の感覚的に振り抜くことができなかったんですけど、台湾を経験してから振り抜く打撃ができるようになりました。

―― 守備についても少し触れたいと思います。秋の大会ではショートを守っている場面も見られましたが、実際に守ってみていかがでしたか。

中川: ショートというポジションは野球人生の中でも初めて。自分がショートをやるときは、根尾が投手をやっている状況になるわけですが、根尾の位置で守るのは、それなりに重圧がありますね。 それでも自分なりの守備は実践していきたい。ショートもできると、選手としての可能性が広げることができると思うので、もっとうまくなりたいですし、最終的に内野はすべて守れるようになりたいです。

―― 最後にセンバツへ向けての意気込みを教えてください。

中川: 春も夏も記念大会になるので、注目されるのは間違いないと思いますが、注目されることを力に変えていきたい。チームは、部員41人全員はその偉業に向かって、日々の練習に取り組んでいますし、なんとしてもセンバツ連覇を果たしたいです。 春夏連覇を狙える権利を得て、夏はその偉業に挑戦できるようにしていきたいと思います。