「東芝メモリ」売却へ最終局面も、アップルや物言う株主に波乱要因
実際、香港のアーガイル・ストリート・マネジメント(ASM)が、売却を見送るよう提言する書簡を東芝に送っている。
東芝メモリの売却契約では3月末までに手続きが完了しない場合、東芝に契約を解除できる権利が発生するとの規定がある。それを契機にアクティビストが歩調を合わせ、売却中止を求める可能性はある。
日米韓連合関係者は「(解除権関連の議論が)にぎやかになってくるかもしれない」と身構える。
売却手続きが無事に完了し、第2ステージに入っても難局は続く。課題は日米韓連合に参画する米4社の存在だ。もともとベインは革新機構と政投銀も日米韓連合に呼び込み、東芝メモリを買収する絵を描いていた。しかし両者は政府系金融機関という性質上、東芝とWDの係争が解消しないと参画できないとの姿勢を貫いた。
足りない資金をどう手当てするか。ベインが声を掛けたのが、メモリーユーザーの米4社だった。日米韓連合の最後のピースを埋めた米4社は、ディールをまとめ上げたいベイン、東芝の両者にとって救世主だった。
しかし東芝とWDとの和解が成立。さらに売却手続きが完了すれば、革新機構・政投銀が日米韓連合の出資スキームに参画できる条件が整う。
そうなれば、米4社には早期に出資スキームから退場してほしいというのが東芝メモリの本音。メモリーユーザーは米4社だけでなく、「ほかのユーザーにとっては煙たい存在だろう。営業に支障が出かねない」(東芝関係者)からだ。
ただ、そう簡単ではない。米4社は議決権に転換できない優先株で出資する一方、革新機構は「議決権を取得できなければ資金は出せない」(幹部)との姿勢で、単純に入れ替わることはできない。
「具体的な段取りはまだ決まっていない」(日米韓連合関係者)というが、改めて東芝メモリのバリュエーション(企業価値評価)を行ったうえで、革新機構と政投銀が加わる出資スキームに組み直す案が検討されている。
東芝メモリの価値は「すでに従来の2兆円から上がっている」(ファンド関係者)との指摘があり、革新機構・政投銀の資金負担が重くなるリスクがある。
またベイン、東芝、HOYA、革新機構で東芝メモリの議決権比率をどう割り振るかも課題。「各社ともIPOで大化けするかもしれない東芝メモリ株を、できるだけ多く保有しておきたいと考えるはず」(同)であり、一筋縄ではいかない懸念がある。
