ライブコマースで抜け出すのはメルカリか、楽天か、タレントかそれとも…
だが、チャンネルが限られたテレビでは、頻繁にチャンネルを切り替えながら視聴する“ザッピング”などでも番組にたどり着くのに対し、「ネットは検索などの能動的な行動が必要になるため視聴者に受け入れられなかった」と振り返る。
そこで視聴者が集まるプラットフォーム(基盤)作りを優先する方向にかじを切った。それがタレントを軸にした集客というわけだ。
現在は「楽天市場」で店舗が出品している食べ物の味などをタレントがリポートする企画などを立て、視聴者の拡大を図っている。
一方、タレントの力を活用したライブコマースには否定的意見もある。メルカリ(東京都港区)の伊豫健夫執行役員は「(タレントの活用は)持続性の確保が難しい」と指摘する。
タレントの起用には出演料などが発生し、継続的な活用には、それに対応した事業モデルが必要になるためだ。
メルカリは個人間で売買できるフリマアプリ「メルカリ」で17年7月にライブコマース機能を導入した。素人の売り手が自由に動画を配信し、商品を紹介できる。現在は1日約800人が配信しているという。
「メルカリ」では個人が手作り品などを売買する。ライブコマースで売り手の商品への思いなどが一層買い手に伝えられ、取引が活性化すると見込んだ。同時に誰もが平等に使える基盤との自負もあり、タレントの継続的な活用はなじまないと判断した。
ヤフーのネット通販モール「ヤフーショッピング」も、売り手となる出店店舗が自由にライブ配信できる機能を17年11月に導入した。
ヤフーショッピングカンパニープロダクション1本部の河内俊介部長は「タレントの活用でにぎわいを演出するよりも、出店店舗が気軽に販促に使える武器を提供したかった」と力を込める。
ヤフーは13年に「ヤフーショッピング」の出店料を無料化するなど抜本的な改革で出店店舗数を拡大し、流通総額を大幅に伸ばした。
しかし、店舗ごとの売り上げの伸びはほとんどないことが課題だったという。だからこそ、ライブコマースを各店舗が平等に利用できる武器として提供することを意識した。
ただ、メルカリやヤフーの仕様は視聴者を集めるのが容易ではない。両社は「(素人によるライブ動画で視聴者を集める)難しさはある」と口をそろえる。
テレビ通販業界の関係者は「(テレビ通販は)プロのアナウンサーによる説明力や掛け合いが視聴者を惹きつける力になる。商品を説明するツールが文章や画像から動画に変わっただけでは、販促効果を上げるのは難しいだろう」と推察する。このため、メルカリやヤフーは定期的な配信を促したり、視聴者の質問への対応方法を助言したりして地道に配信者を育成する。
各社がライブコマースを導入する背景には、ネット通販市場をいっそう拡大する起爆剤にする狙いがある。ネット通販は一般に買い手が欲しい商品を検索して購入する。これに対し、ライブコマースは売り手が紹介する商品を購入する新しい販売経路を生み出す。
(文=葭本隆太)
