21日放送、NHK「サンデースポーツ」では、阪神タイガースの藤川球児(37)投手を特集。38歳となることし、プロ19年目のシーズンに臨むベテランの想いを伝えた。

自主トレでも笑顔を絶やさない藤川。それは「野球しているとき楽しい」からだ。「グラウンドで普通にボール遊びしている感じにだんだん戻ってきた」と、まるで小学生のような気持ちだという。

2013年に大リーグに挑んだ藤川は、3年で1勝1敗2セーブと思うような結果を残せず、故郷・高知の独立リーグを再スタートの舞台に選んだ。ボール拾いから仲間の練習相手まで、すべてを自分たちで行う日々が、野球が好きという純粋な気持ちに気づかせてくれたのだ。

独立リーグでも「やることはまったく変わらなかった」という藤川は、「おもしろい、楽しいから、体が動く。このバッターを抑えたい、アウトを取りたい、ただ純粋にそれが楽しい。ポジションを選ばずに負けているゲームで投げることができるのもそのおかげ」と語った。

もう一つ、大きなモチベーションとなっているのが、同い年の松坂大輔の存在だ。福岡ソフトバンクホークスを退団し、退路を断って現役にこだわる姿が大きな刺激になっている。

藤川は「彼から学ぶことはすごく多くて、本当に自分たちは(松坂の)背中をいまだに追いかけている。『止まるな、止まらないでくれ』って」と述べ、「自分で納得する人生を送るということに集中できたというのが僕らの生きざま」と続けた。

「人生の浮き沈みすら楽しもう」という藤川に、新たな気持ちを芽生えさせた出来事が、プロとしての心構えを学んだ恩師の急逝だ。

星野仙一さんに「勝負師として生きていくうえで大事なこと」を教わったという藤川は、「ひと言でいうと根性は簡単で単純なように聞こえるんですけど、その中には優しさ、ぬくもりもあって、その中で厳しさを伝える。監督を助けられるような選手に成長しなきゃと強く思わせてくれた」と述べた。

今、そんな星野さんの姿を「だんだん似てきた」という金本知憲監督に重ねる藤川は、「金本監督の一番使いやすいコマであること、力をもったコマであること、存在感があって信用を持てる選手に思われたいという願望はある」と、期待に応えたいと意気込んでいる。

「星野監督の生まれ変わりが金本監督になってもらえるよう、胴上げするように頑張ります。それが一番だと思います」