プロ志望届の提出が注目される早実・清宮幸太郎内野手【写真:Getty Images】

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アマ球界、秋の風物詩「プロ志望届」提出者の公示が開始…なぜ、必要?

 日本高野連と全日本大学野球連盟は公式サイトでプロ志望届の提出者の公示を開始。アマ球界の秋の風物詩が今年も始まり、7日現在、高校生16人、大学生1人が提出している。正式名称は「プロ野球志望届」。一般的に10月のドラフト会議で指名を受けるために必要な書類と認知されているが、果たして、どんなものなのだろうか。

 従来は日本高野連の登録部員がプロ球団と交渉するため、退部届を提出することが義務付けられていた。しかし、大学進学や社会人入りを希望する選手を強行指名するなどのトラブルを受け、04年からプロ志望届が導入された。また、希望入団枠が設けられていた大学球界も金品授受の問題が発覚した影響などで、07年から大学生にも義務付けられた。

 地方の各高野連によってはホームページ上で簡単にダウンロードできる仕様になっている。提出の受付は、夏の甲子園大会後に始まり、両連盟の公式サイトで公示される。

しかし、リストを見ると、甲子園で活躍し、ドラフト1位で指名が有力視されるような有名選手もいれば、ファンに聞き慣れない選手も少なくない。一例として挙がるのが、独立リーグを志望する選手だ。独立リーグもプロ野球に分類され、NPBを志望する選手と同じく提出が必要となる。

「野球を諦めるケジメ」で提出も? 女子の名前も掲載される理由とは…

また、一見驚くのは女子の名前だ。日本高野連では、公式戦出場は認められていないが、女子部員も登録できる。そのため、3年間男子に交じってプレーしてきた選手が女子プロ野球を希望する場合も、同様に提出の義務がある。

 ただし、日本高野連に登録されている3年生であれば誰でも提出できるため、それ以外のケースもある。指名は望めなくとも「本人が出すと言って、どうしても聞かなくて」「指名されず、野球を諦めるためのケジメとして」という理由で、実際に提出されている例もあった。

 提出のタイミングも、さまざまなパターンがある。高校生は引退後、監督、保護者と相談を経る形が一般的だ。そのため、現在開催中のU-18ワールドカップ(W杯)の高校日本代表、夏の甲子園8強が選出される国体出場校の選手は、すべての大会終了後に提出することが多い。

 大学生は秋季リーグ戦の真っただ中のため、東京六大学や東都大学の選手のように空き週が設けられているリーグは、試合週は試合に集中するため、試合がない週に提出することが目立つ。また、ゲンを担ぐような監督であれば、良縁に恵まれることを願ってか、大安を選ぶこともある。

今年は清宮が目玉? 有力選手の「提出するorしない」が毎年注目

 毎年、大きな話題となるのは、実力的には指名なしと謳われながら、大学・社会人入りと迷い、提出するかしないかだ。過去には夏の甲子園優勝した早実・斎藤佑樹投手(早大→日本ハム)が最大の例だろう。

 近年では15年に駒大・今永昇太投手が左肩の故障でリーグ戦未勝利に終わり、提出を悩みながら締切2日前に提出。DeNAにドラフト1位指名され、今やエース級の活躍を見せている。反対に今秋のドラフト1位が有力視されるJR東日本・田嶋大樹投手は14年の佐野日大時代、各球団から注目されながら提出せず、体づくりなどを優先するため、社会人入りした経緯もある。

 今年は高校歴代最多110本の本塁打を放っている早実・清宮幸太郎内野手がNPB入りか、大学進学かが大きな注目を浴びている。

 昨年は高校生105人、大学生111人が提出した。今年の締切は10月12日。果たして、どれだけの選手が提出し、提出者はどんな道を歩むのか。1枚の紙を巡った物語は、今年も目が離せそうにない。