デートで行きたいワインと楽しむ焼き鳥や、仲間と行きたいしみじみ旨い焼き鳥まで…、結局日本人は焼き鳥が大好きなのだ!

でも普段使いしたいなら、コスパはいいに越したことはない。そこで6,000円程度の優良コスパで味わえる名店を厳選してご紹介。

香ばしくジューシーに焼き上げられた焼鳥を片手に酒を飲めば、それだけで幸せになれるに違いない!



「串6本コース」¥2,160。1本1本見極めつつ、炭火を操りながら丁寧に焼き上げる
焼鳥×ベルギー麦酒の相性は抜群
『焼鳥HopDuvel』

焼鳥屋らしからぬ店名と外観に興味を引かれる。ここではまず甲斐路軍鶏にこだわる、おまかせ6本コースを推したい。中村農場の甲斐路軍鶏を産地より丸ごと1羽仕入れて、串打ちをする。

銀座『バードランド』で修業した店主・堀晋福氏は、もともと本場の醸造所を訪れるほどの大のビール好き。そこで現在の店では、焼鳥に合うベルギービールを選りすぐり、相性や好みに応じて提供している。



焼鳥×ベルギー麦酒で魅了。実りある“元気醸造所”

樽生3種類、大瓶5種類に小瓶10種類を用意し、レバーにはワイン樽で18か月寝かせた酸味のあるタイプを。

山椒が香る皮には、ホップをふんだんに使った苦みのあるタイプで調和させるなど、一本一本に合わせた提案を行っている。

堀氏はソムリエのように、一歩も二歩も踏み込んだ最高の合わせ技で魅了する。正統派の美味な焼鳥を真っ向から受け止めるベルギービール。感無量だ。




焼鳥6本コース¥1,050〜の一例。右からはさみ、レバー、手羽先、はつもと
老舗の焼鳥をリーズナブルに
『渋谷 鳥 田むら』

新宿三丁目に暖簾を掲げて約40年。大衆焼鳥の老舗『鳥 田むら 本店』が満を持して渋谷に進出を果たした。もちろん、老舗の味はここでも何ひとつ変わらない。

地鶏や銘柄にこだわらず新鮮な若鶏を使い、リーズナブルな価格と美味しさを両立。若鶏だからこそジューシーでクセのない焼鳥は、まさに本店譲りの万人に愛されてきた味である。まずは、焼鳥6本コースでその味をどうぞ。



カウンターとテーブル、小上がりからなる店内。新宿の本店とは異なり、いぶし銀の雰囲気はないがひとり客でもグループでも使い勝手がいい



〆の一品として人気の鳥雑炊¥550。丹念に抽出したガラスープの旨みが、米のひと粒ひと粒に染み渡る




串6本とホワイトアスパラガスの炭焼きなどがセットの焼鳥コース¥2,800(税別)。「他店では珍しい小鴨や真鴨、ホワイトアスパラガスの美味しさを楽しんでください」とのこと
本格的な焼鳥を異国情緒の中で味わう
『brochette』

ふたりの距離も近づけるためにおすすめしたいのが、この店。オレンジに塗られた壁やフランス語が飛び交う店内にいると、日本であることを忘れさせられる。

「もしフランスに焼鳥屋があったらこんな感じ?」という発想のもと店を開いたという店主の保立 薫さん。話を聞くと彼、銀座にある老舗有名焼鳥店の3代目だという。

「お客様の印象に残るような料理を提供したいです」と語るだけあり、焼鳥は噛むとジューシーな肉汁が広がり絶品。また、小鴨や真鴨などのジビエが楽しめるのも特徴だ。



まるでフランスのバールのような店内。カジュアルな雰囲気で女性も入りやすい



スタッフには外国人も多く、陽気な雰囲気にお酒が進む




皮は水分をしっかり落としてカリッと。直火と網を使い、火入れを調整しながら絶妙な食感に焼き上げていく
名店仕込みの串打ちが、地鶏の旨みを引き上げる
『焼鳥 今井』

『今井』の焼鳥は、肉を噛んだ瞬間の歯触りにまず驚く。繊維が一定でスッと噛み切れ、噛むほどに旨みがじんわりと口に広がりその余韻が続く。この食感に仕上げる秘訣は、串打ちにあった。

今井氏の串打ちのルーツは修業元の名店『バードランド』にあり、“鶏肉にストレスを与えない”ことを徹底している。

例えば、地鶏は整形して焼くと肉が元に戻ろうと反発して身が縮み、食感が損なわれる。その考えに基づき、奥久慈軍鶏を扱う同店では肉を整形せず、部位の元の位置・形に戻して串を打つ。



右・中がソリ。左のレバーは、全体を均一に火入れしてバルサミコ醤油でいただく

串の角度は身と並行に、押し引きしながら徐々に串を通していく。

こうした繊細な仕込みがあってこそ、炭火に乗せたときに地鶏の食感と旨みを十二分に引き出せるという。



「焼鳥今井のコース」おまかせで4,500円

ひと口めは塩をガツンと利かせ、少しずつフェードアウトしていくひと串の物語もお見事。串ごとほお張り、その哲学に浸りたい。


まだまだ続くよ!オシャレでコスパ抜群の焼き鳥はここ!



肉の甘みが特徴的な丹波黒鶏。皮の食感や脂の旨みを引き出すべく、高低差をつけた炭火で絶妙に焼き上げていく
さり気なく技が光る、食感と香りが秀逸の絶品串
『喜鈴 別邸』

本店『喜鈴』の開店からわずか1年で、同じ恵比寿エリアに早くも2号店が誕生。個室を充実させた新店は、まさに“別邸”の特別感とお籠もり感に満ちた空間で、本店同様の丹波黒鶏や京野菜の串焼きをいただける。

焼き台に立つのは店主の出田啓二氏。前職は中華の料理人で、その経験を焼鳥にもいかんなく発揮している。「ただ火を通すのではなく、ひとつの料理として焼く」と話す出田氏。串打ちは火が入りやすいトップの肉を大きくし、扇状に並べる。



さび焼き(笹身)¥280は半生に仕上げつつも中心が冷たくならないように絶妙に熱を通す

中華料理から発想を得たというももとだき身は、皮を外してから肉を整形し、皮をあとから巻きつけてハリを出す。

このひと手間によって、北京ダックのように皮目はパリッと、身はぷっくりと甘く柔らかな至福の食感に。



デート使いにも、仲間と一緒にも使い勝手は抜群

塩やタレにも炭の薫香を移すなど技がキラリ。ひと通り串を楽しんだら、〆は名物の白湯ラーメンで!




人気NO.1のレバーも味わえる「3,500円コース」(税別)がお得!※2時間30分、ワンドリンク制(利用時間は17時〜21時30分)
「こんな焼鳥、初めて!」と感動必至
『YAKITORI 田崎』

『YAKITORI 田崎』は2013年オープン以来、訪れる人をその美味しさで感動させ続けている。まず、同店で焼き鳥を味わう時に心得ておきたいのが「串は出てきた瞬間に食べること」だ。

レアな焼き加減で提供される「レバー」や「ささみ」はもちろん、全ての串がとても繊細な火入れが施されている。そのため、出てきた瞬間が一番旨いのだ!

会話に夢中になって、食べ頃を逃してしまってはもったいない。ぜひ、これは覚えておいて欲しい。



コースの一品目に登場するのが「ささみ」。レアな火入れで口に入れた瞬間にとろけていく

3,500円コースの最初の3品は同店でも人気の串が続く。まずは「ささみ」。続いて「レバー」、そして「だんご」だ。この3品が同店の焼き鳥を「とろける」とまで言わしめている絶品串である。

テーブルの上にセットされた2本の文鎮の上に置かれた瞬間から、肉からジュワッと肉汁が溢れてくるので、即口に運んで欲しい。頬張ればスーッと口のなかでとろけていく。



全19席。奥にはカウンター席も備える

週末は最高の状態で焼き鳥を提供したいという想いからコースに限定して提供している『YAKITORI 田崎』。もちろん、コースで物足りない場合は追加メニューも揃えている。

使い勝手の良さも魅力の『YAKITORI 田崎』で、とろける焼き鳥を味わってみてはいかがだろう?




焼き鳥7本にパテ付きのコースが3,800円、サイドメニューの白子麻婆も必食!
恵比寿×焼き鳥ならココ!駅すぐの隠れ家焼き鳥
『希鳥』

同店を初めて訪れるならば「焼き鳥コース」をオーダーしよう。スープ、サラダ、レバーパテ、焼鳥7本、野菜2種がついて3,800円という驚きのコスパだ。

「部位ごとの特徴をじっくりと楽しんで欲しい」という想いから21時まではコースのみの提供というのも、同店のこだわりのひとつ。好きなお酒を合わせながら1本1本の串の味わいを噛みしめたい。

コースをオーダーするとまずは一口スープ、サラダ、レバーパテが順番に運ばれてくる。食前にサラッと食べられるように工夫を凝らされたレバーパテなど、お酒が進む品を楽しみながら串の焼き上がりを待とう。



コース終盤で提供される「紅白レバー」も絶品。1口目に白レバーが楽しめるのが特徴だ。同店では「紅白レバー」にシェリー酒のペアリングをすすめている

『希鳥』の最大の魅力はみやざき地頭鶏の希少部位をいつでも味わえること。

焼き鳥の名店であっても日に数本しか提供できないような部位でも、同店であればいつでもオーダーすることができるのだ。



階段を進み地下1階の引き戸を開けると、焼き場を囲み配される広々としたカウンター席が出迎える

美味しい焼き鳥でしっとりと大人の夜を過ごしたい日には『希鳥』を訪れてみてはいかがだろう。


西麻布でコース3千円代という奇跡の焼き鳥店発見!



上品なカウンターで、目の前で焼き上がる鶏を一本ずつ楽しむスタイル。10本コース3,350円
リーズナブルに極上のカウンターを楽しみたいなら
『西麻布 晩鶏』

2014年5月、西麻布にオープンしたカウンタースタイルの焼き鳥店『西麻布 晩鶏』。扉を開けて店内へ進むと、まず驚くのは、その美しくまるで寿司店のようなカウンター。

店主は新橋の「鶏繁」出身。カウンターで焼き上げた鶏を一本ずつ提供するスタイルは「鶏繁」同様。 おススメのメニューは焼き物のコース。6本コースは2,100円、10本は3,350円と西麻布とは思えないリーズナブルな価格にも驚きだ。



大きなネギが存在感を出す「ネギ間」。ジューシーなもも肉との相性も抜群

もちろん、味は絶品。使用する鶏肉は千葉の“水郷赤鶏”。味が濃厚で、ぷりっとした肉質は適度な歯応えが感じられる。



通にはたまらない「ちょうちん」


その水郷赤鶏を丸ごと仕入れて店内で串打ちし、3段階の火力を使い分けて外はカリッと中はふわっとした食感に仕上げる。まさに職人技である。




「おまかせコース」(1人前5,800円)※内容は季節により異なる
絶品串の合間に一品料理が繰り出される
『七鳥目』

名店ひしめく南青山エリアのなかでも『七鳥目』は、2016年10月にオープン以来、食通たちが放っておかない場所のひとつだ。

同店のオーナーは代官山『こけぴよ』出身の川名直樹氏。数々の焼鳥屋を食べ歩き、研究を重ね、和食の経験も活かして辿り着いたのが現在の『七鳥目』のスタイル。

川名氏が全身全霊で作り出すのは、その時期の旬を取り入れた渾身のワンコースのみ。あれこれ考える必要は一切なく、席について好きなお酒とともに、ただ味わえば良い……これこそ最高の贅沢だろう。



「親子丼」

『七鳥目』の「おまかせコース」は、その日やお客の好みによって内容が異なり、いつ訪れても違った味に出会えるのが嬉しい。

同店で使用される鶏肉は、水郷赤鶏と松風地鶏の2種。串は基本的に水郷赤鶏、完全無薬の安全飼料でのびのびと育てられた松風地鶏は、「ささみの和え物」などで提供しているという。



カウンター席の奥には個室も備える

コースの〆にはぜひ親子丼をオーダーして欲しい。有精卵を使用した濃厚な一杯で、串や一品料理ですでに満たされているはずのお腹にもスルッと入ってしまうほどの美味しさだ。




串打ちして肉の断面を減らすことで、肉汁たっぷりに仕上がる。美味しくいただきたいなら、熱々を串のままガブッと喰らうのが正解!
一串に込められた感動を味わいたい
『鳥かど』

6年連続でミシュラン1ツ星を獲得している目黒の人気焼鳥店『鳥しき』。予約困難の超人気店が、今年1月、ついに2号店をオープンさせた。新店の焼き場を任されたのは、弱冠28歳の小野田幸平氏。

『鳥しき』店主・池川義輝氏の心技を継承する串をいただけるとあって、早くも予約が取りづらいお店に。食べる人を魅了するその旨さの理由は、使用する福島産伊達鶏の肉質や焼きの技術はもちろんのこと、“串打ち”にも隠されている。



右からレバー、かしわ、皮。レバーはひと口めにハツを刺し、ハツのプリッとした食感とレバーのムースのような口溶けの対比を楽しめる。皮は脂を包みこむように波状に打つ

「人は狩猟民族だった頃の名残で、骨つきの肉にかぶりつくと本能的に美味しいと感じる。それを基に、串を骨に見立てて切り分けた肉を元に戻すように刺します。熱が入りにくいトップとラストはポーションを小さめに、一番美味しい部分は大きめにして、特に熱が入りやすい2番目に置く。起承転結のある、美味しく食べやすい串打ちを心がけています」と小野田氏。



コースはおまかせでストップ申告制。串数によるがお任せ一通り約6,000円〜

いわば、ひとつの串がコース料理のようなもの。ひと口ごとに新しい皿を味わうような感動が生まれる。

「注文はお任せのみ」とのことなので、心ゆくまで『鳥かど』の世界観を堪能すべし。


仲間と行きたい、しみじみ旨い焼き鳥店はこちら!



いつ訪れても活気に満ちた店内はパワーチャージに最適の場所
ここに通った人々を感じる味
『武ちゃん』

主人の水落武敏さんが小さな屋台で焼き鳥屋を始めたのは昭和26年のこと。

誰にでも親しみやすい店にしたいと、自身のあだ名をそのまま店名とした。

御年89歳になる武ちゃんはいまでも焼き場に立ち、一度に30本の鶏を焼く。



コース5本(¥1,500)と8本(¥2,200)が基本で、これ以外の串もあり。主人がいまも自分で串をさす合鴨も名物のひとつ。“美味しいおしんこ”(¥400)や海苔茶漬け(¥700)もファンが多い

6種類ほどの部位が並び火の入れ方もそれぞれ違うため、お客と話している隙はなく、ただ黙々とタイミングを見計らう。

熟練の達人にして「塩加減とさし具合も難しいんだよ」と焼き鳥の奥深さを語り、そのこだわりがこの近辺で働く人々をもう60年以上も癒やしてくれているのだ。




オープンと同時に売れ切れてしまう程人気の「白レバー」は必食
希少部位は売り切れ必須
『地鶏屋』

新橋の地で15時から営業しており、18時にもなれば既に満席状態。なかなか予約が取れない人気店『地鶏屋 (じどりや)』。

人気の秘密は、千葉県の自家農場で特別に飼育している地鶏を使った焼鳥。希少部位は数に限りがあり、壁を見ると在庫状況がわかる。

一番人気の「白レバー」はオープンと同時に売り切れてしまう程。残っていたら必ずオーダーしてほしい!

まず出てきた瞬間にその大きさに驚き。しかも口に入れた瞬間にしてとろけるしまう……。これまで体験したレバーとは全く違う食感だ。



ボリューム満点でジューシーなねぎ間ととり皮

選りすぐりを一通り楽しむことができる「特選6本セット」は、なんと1,980円(税別)。

ねぎ間、つくねタレ黄身付き、手羽塩、うずらに加え、その日のおススメ2本がセットになっている。

使う地鶏は、この店のためだけに研究開発し、飼育されている完全なオリジナル鶏。焼いた時にジューシーさをなくさない脂の乗りは、焼鳥に一番適した肉質だ。それを備長炭で焼き上げることで、最高の焼鳥に仕上がる。



つくねタレ黄身付き。黄身を割って、たっぷり絡めていただく

焼き立てを目の前でいただけるカウンターでは、気さくな大将との会話が楽しい。

人気の秘密は焼鳥の旨さだけでなく、大将の人柄にもあるようだ。


隠れ家系焼き鳥もご紹介!



左からつくね、レバー、シビレ、うめしそ、ねぎま。奥は燻製したスカモルツァチーズ。焼き鳥の専門店らしい大きめのポーションが特長。価格帯は1本¥300〜400台が中心
ワインと焼き鳥を楽しめる店
『床島』

食通もうなる飲食店が多い三軒茶屋でもひときわ有名な焼き鳥店『床島』は、通りから一本入った閑静な場所に一面ガラス張りのモダンな外観で涼やかに佇む。こだわりは肉の鮮度と焼きの技術。

食鳥処理事業許可証を持つご主人・床島正一さんが、フランスの血統の中から焼き鳥に合うよう改良した“床島ブランド”の鶏を、当日の朝店で捌いて、焼き場に立つ。

その肉質ゆえ味わいは抜群。舌の上でトロ〜ッととろける臭みゼロのレバーや、生後80日程度の若鶏からしか取れない希少なしびれ(胸腺)の濃い旨みに舌を巻かざるを得ない。



卵白をメレンゲ状に仕立てた卵かけごはん¥650

一串を一品の料理と考えるため、一切れのサイズは大ぶり。それゆえ、皮の食感、中の肉の弾力、上質な肉質の味わいを口いっぱい頬張れる。

そして〆にいただきたいのが絶品の卵かけごはん。味付けには焼き鳥用と同じ秘伝ダレを使用。白身をメレンゲ状に泡立てているのは「〆にもサラッと召し上がっていただけるように」というアイデアから生まれた一品だ。



清潔感あふれる客席。コの字型カウンターのみの空間が潔い

オープン当時はまだワインと一緒に焼き鳥がいただけるお店もなかった時代だったが、いまやデートにも焼き鳥が一般化。『床島』もビブグルマンに掲載され、押しも押されもせぬ有名店となった。

世田谷エリアでこの店を知らないなんてグルメとして失格だ。一度は足を運んで欲しい名店である。




店内は、レトロな神楽坂の街の中にモダンな雰囲気
神楽坂の街並みにある大人の隠れ家
『バードグリル トリノ』

飯田橋駅から徒歩3分、趣のある神楽坂の街並みに焼鳥とワインの融合が楽しめる隠れ家がある。

間接照明の灯りと、真っ赤に塗られた壁にはワインの瓶が並び、レトロな神楽坂の街の中にモダンな雰囲気が感じられる。まるでビストロを訪れたような感覚に陥る。

使用する鶏は、大山どり。焼いても固くならないふっくらとした食感と、上品な甘さのタレの香ばしさが口の中に広がる。



笹身のサビ焼き

人気の「TORINOコース(2,800 円)」は、前菜、サラダ、焼き鳥7本程度の焼き鳥を中心としたリーズナブルなコース。

さっぱりとした季節野菜のテリーヌから始まり、焼鳥は塩味の笹身さび焼串やはつ串に続いて、濃いめの味のレバー串やつくね串で〆るという味の変化まで計算しつくされたコース構成になっている。


気取らず、ただ旨い!焼き鳥はそれだけでいいんだ



手前から人気のもも¥150、ももや鶏皮の脂、軟骨を粗ミンチしたつくね¥200、歯ざわりがよい砂肝¥150
酒場価格ながら味とこだわりは本格派
『新宿ニューれば屋』

人形町『鳥波多゛』の姉妹店『れば屋』の新店。

店主の竹之内さんは、「銘柄よりも鮮度と状態の良さにこだわり、美味しいものを安く」と朝〆国産鶏を手頃な価格で提供する。



ももは焼きやすく持ちやすい鉄砲串を使用。手のひらで支えながら、皮がピンと張るように皮の端と端を打つ

部位は20種以上を揃え、あずき(鶏の脾臓)や牛のシャトーブリアンに相当するおびなど、希少部位が多いのも魅力。



カジュアルな店内。日本酒やワインも豊富

5種の竹串を使い分け、なかでも個性を放つのがももの串打ちだ。あえて大きな塊で焼き、がぶりと喰らうことで脂ノリや歯ごたえを十分に楽しめる。

一辺倒ではいかない『れば屋』の焼鳥をお愉しみあれ。




自慢の焼鳥3種は、右から、「ささみのさび焼」¥280、「伊達鶏のだき身」¥480、「極上レバー」¥380
部位ごとに厳選した鶏肉を使った究極の味わい
『えびす坂 鳥幸』

上質な空間で焼鳥が食べられる鳥幸が、昨年秋に恵比寿ガーデンプレイスタワー38Fにオープン。

八ヶ岳地鶏、大山鶏など部位ごとに鳥を使い分け、それぞれに究極の味わいを追求している。



山型にこんもりと丸みを持たせるように串打ちすることで余分な脂が落ちる

例えば、レバーは前日に絞められたばかりの新鮮な大山鶏を使い、クリーミーな味を実現。

とろりと煮詰めたタレが絶妙にからんで、食感との調和を生んでいる。



カウンター席のなかに焼き台があり、職人の手仕事ものぞける

串は頭の方を大きくし、塩加減も調整されているため「1人1串で頭からパクっと食べてほしい」そう。

流儀に従えば幸福な1串が味わえる。


ここのつくね、絶品すぎる!



小ぶりの串にたっぷりの肉を隙間なく詰め、 多めの炭で一気に焼き上げる
スタイリッシュな店内で拘りの焼鳥を
『山猿』

元々は新橋で人気を集めていた焼鳥店が、場所を変え麻布十番にオープン。麻布十番らしいスタイリッシュな店内だけれども、ここで楽しむのはフレンチではなく、焼鳥だ。

この店の特徴は、小ぶりの串にたっぷりの肉を隙間なく詰め、 多めの炭で強火で焼き上げる技。そうすることで、肉汁と旨みはそのままにミディアムレアで柔らかく歯ごたえのある食感に仕上がるという。



ネギをアクセントに、マヨネーズでふんわり仕上げた「つくねねぎマヨ」

客のほとんどがオーダーするというコースは5種類用意され、お腹の具合や値段に応じてチョイスできる。

中でも人気は2,800円で楽しめる「焼鶏6本コース」。焼鳥はもちろん、サラダや御飯ものもセットになって、食べ応えも十分。



砂肝は塩で、ササミが柚子胡椒でいただく

焼鳥との相性を考えた地酒やワインを豊富に揃え、焼鳥とのマリアージュを堪能できる大人の焼鳥店。

他にはないちょっと変わった創作焼鳥や〆の焼鳥丼など看板メニューも要チェックだ。




「ささみたぷなーど」(左)は、アンチョビ入りタプナードでフレンチな味わいに変化。「ズッキーニ」はラルドのせ。熟成した脂の旨みが野菜の瑞々しさを引き立てる。以上5本コース¥1,400〜
ワインと焼き鳥のマリアージュを楽しむ
『シノリ』

焼き鳥とビストロ。一見、遠い関係のこのふたつが見事に融合しているのが『シノリ』だ。

フレンチ出身のシェフ山中良則さんは、炭火焼の面白さに魅せられて焼き鳥の世界へ。

マダムでソムリエールの志乃さんと息もぴったりに、ワインと焼き鳥の楽しいマリアージュに出合わせてくれる。



香ばしい皮付きの「ねぎま」。きれいな味わいだがコクを併せ持つヤン・ベルトランの「モルゴン」と

フレンチ出身とあって繊細な炭火使いで仕上げる焼き鳥は、ハケでシェリービネガーをさっと塗ったり、仕上げに胡椒や柑橘系の香りをまとわせたりとひと手間をかける。

これは串の完成度を高めるという意味もあるが、テーブルごとに飲んでいるワインが違うので、焼き鳥がワインに近づくように味わいを変化させているのだ。



カウンターやテーブル席など全24席

焼き鳥だけでなく、炭火焼の黒板メニューもハズせない。ジビエの時期には山シギやイノシシ、グランドメニューではカモやハトなどが並ぶ。

滋味深くナチュラルな味わいのものを中心にそろえたワインのセレクトも秀逸で、シノリの料理と一緒に味わえば至福の組み合わせとなる。