タイガー・ウッズの逮捕が報じられた(画像は米CNNサイトから。編集部で一部加工)

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男子プロゴルファーのタイガー・ウッズ(41)が米国時間2017年5月29日、米フロリダ州で飲酒または薬物使用状態で自動車を運転したとの疑いで逮捕された。同日中に保釈され、声明を発表している。

ウッズは09年に不倫騒動で世界中から不名誉な注目を浴びたが、その3年前に幼少期から二人三脚で歩んできた父親を失ったことが、以後の人生に影を落としている。

「処方薬で予期しない反応が起きた」

ウッズは保釈後の声明で「アルコールは関係ない。処方薬で予期しない反応が起きた」「複数の薬が自分にこれほど強く影響するとは思っていなかった」としている。また、「自分がしてしまったことの重大さを理解しており、自分の行動にはすべての責任を負う」「同じことが再び起こらないように、私にできるすべての努力をしていく」と表明した。

ウッズは、「帝王」と呼ばれたジャック・ニクラウスの18勝に次ぐメジャー大会通算2位の14勝を誇るが、08年以降はメジャー優勝を果たしていない。

翌09年には自動車事故を起こしたことがきっかけで、女性スキャンダルも発覚、ウッズは公式サイト上で家族に対して不倫を謝罪した。だが謝罪後も次々に愛人関係にあったと主張する女性が現れ、その数は当時8人とも9人とも、さらに多かったとも報じられた。実際に何人が関係を持っていたかは定かでないが、ウッズの世界的人気や好感度は失墜、ウッズは性依存症だったとされた。

ほどなくして、ウッズは自身の背信行為を理由に「無期限ツアー欠場」を表明。翌10年には離婚を発表した。同年のメジャー大会「マスターズ・トーナメント」で復帰して4位タイとまずまずの結果を収めたが、しばらく優勝はできずにいた。それでも12年にツアーで久々の優勝を飾ると、13年には09年以来の賞金ランキング1位に返り咲いた。

父の死直後、メジャー連続予選突破記録が途絶える

しかし、その後は腰のけがに苦しんだ。14年3月に手術を受けて4か月公式戦から離脱。復帰しても15年2月に再び離脱、同年9月に手術。17年1月に復帰も、4月に手術。手術、復帰を手術を繰り返し、現在は復帰に向け治療の時期だった。

プロゴルファーとしても人間としても、ウッズの大きな転換点になったと言えるのが、06年5月の父、アール・ウッズ氏のがんによる死去だった。

父はウッズの生後9か月からゴルフを教え始め、自宅内に練習場をつくって付きっきりで指導してきたとされる。96年に鳴り物入りでプロデビューを果たすと、翌97年から父が亡くなった翌年までの11年間に賞金王8回、メジャー大会優勝13回と歴史的な記録を伸ばし、帝王ニクラウスの記録を抜くのは時間の問題と誰もが予想していた。

ところが、30歳で父を失うと徐々にウッズの勢いもそがれ始めた。父の死の直後の06年6月、97年以来続いていたメジャー大会でのウッズの連続予選突破記録が37で途絶えた。続く7月のメジャー「全英オープン」では優勝したものの、ウッズは「父に見てほしかった」と、人目をはばからず号泣した。

その父の死に、ウッズは当時「父親、コーチ、人生の師、友人として素晴らしかった」とのコメントを発表している。また、17年4月3日付米メディア「USA TODAY」によると、ウッズは、ジャック・ニクラウスをはじめ最高峰の選手らの知恵を取り入れているとしながら、最も重要な師は親であると述べていた。父の死がウッズにどのような影響を及ぼしたかは定かでないが、かつての華々しい実績が暗転したタイガー・ウッズのトラブルは、いずれも父の死後、起きている。