ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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開幕4試合目の登板で好投、2連勝に「正しい方向へ向かって踏み出した」

 19日(日本時間20日)の本拠地ホワイトソックス戦に先発し、7回6安打1失点6奪三振2四球の好投で自身2連勝を飾った田中将大投手。今季初の中4日での登板で、4本の二塁打を浴びながら最少失点に抑え、9-1の勝利に貢献。1勝1敗、防御率8.36という開幕3試合の厳しい成績から立ち直ったエース右腕に女房役のオースティン・ロマイン捕手は“宝刀”のスプリットが「今季最高」の出来だったと振り返っている。ニューヨークの地元紙「デイリー・ニューズ」が報じている。

 味方打線が2回までに4得点と援護に恵まれた田中。4回に2本の二塁打で1点を返されるも、5回は9球で3者凡退に抑える快投。すると、打線はその裏にカストロの3ラン、ジャッジのソロで4点を追加した。田中は7回、1死三塁のピンチもガルシア、サラディーノを連続空振り三振に仕留めて、この回限りで降板となった。

 この日はボールを低めに集め、ジョー・ジラルディ監督が「スプリットがよかった。スライダーもゲームが進むうちに良くなった」と話したように、変化球の切れ味も上々だった。過去3試合とは明らかに違う姿を見せたエースの投球について、「デイリー・ニューズ」は「マサヒロ・タナカはヤンキースのエースになるため、さらに一歩前進する」とのタイトルで特集した。

 記事では、「彼は最初の2登板で7回2/3イニングで10失点を記録した。タナカは投球フォームに不振の原因があると考えていた。今、彼は解決策を見つけた」と言及。本人が試合後に通訳を介して「明らかに、正しい方向へ向かって踏み出したと思います」と確かな手応えを示し、「良くなってきています。でも、もっと改善できると思います。次の登板までには修正するつもりです」と意気込みを示したことも紹介している。

“代役”女房役のロマインも称賛「4球種をどんな状況でも使うことができる」

 そして、復調に太鼓判を押したのが女房役だ。同紙は「オースティン・ロマインは、タナカのスプリットは『今季最高』だったと語る。彼は、好ましくない状況から逃れるタナカの能力に驚くことはなかった」とレポート。 ロマインは田中について「彼は働き者だよ。どのように投げれば良いか理解している。とても賢いしね。そして非常に才能に溢れてる。彼は、4球種をどんな状況でも使うことができる。だから、彼にとって切り抜けることはできないと思える状況はないんだ。僕にもね」と話したという。

 若きスター候補の正捕手サンチェスが負傷離脱し、現在コンビを組んでいるロマインだが、田中のことは入団当時から知る存在。2014、15年は公式戦で田中の女房役を務めることはなかったが、春季キャンプなどではボールを受けてきた。そして、昨年は9試合でコンビを組み、防御率2.16と上々の成績をマーク。昨年7試合で防御率1.94と田中と抜群の相性を見せたサンチェスには及ばなかったものの、信頼できるパートナーだ。そんなロマインも田中の投球に確かな手応えを感じている。

「ゆっくりと、しかし確実に、タナカは最悪のスタートから彼自身の2017年シーズンへと前進を見せている」

 同紙もエース右腕のさらなる“上昇”に期待を寄せる。ワールドシリーズ制覇、そして日本人初のサイ・ヤング賞を目指すシーズン。スタートこそ躓いたが、田中が本来の姿を早くも取り戻しつつある。