2月12日、東京・世田谷のバーで、一日限定イベント「虫カクテルナイト」が行われた。

 





オシャレな雰囲気の店内で客が食べているのは「虫スイーツ」。文字通り、虫とスイーツのマリアージュが楽しめる。

例えばこちらは「昆虫図鑑」。コオロギ、そしてペットのエサとして知られるミールワームにキャラメリゼをからめた「虫キャラメリゼ」。虫の香ばしさと、ほろ苦いキャラメルの相性が抜群。



こちらは虫チョコの盛り合わせ「地球からの贈り物」。コオロギ、アリ、ミールワームが載ったチョコに、バッタの粉末を使用した生チョコを並べた一皿。可愛く、オシャレなチョコで、昆虫食のイメージが変わります!



「原っぱパフェ」。イナゴ載せアイス。アイスにはトノサマバッタの粉末が含まれている。塩分と甘みの相乗効果で、新鮮な美味しさ。クセになりそう。



パティシエも協力した「本格的」虫スイーツ


イベントが行われたのは池尻に構える「Fruits Bar Duranbar」(フルーツバー・デュランバー)。企画したのは、篠原祐太さん(22歳)。4、5歳のころから虫を食べ始め、約3年前、虫を食べてきた過去を「カミングアウト」。以来、「昆虫食」の可能性を和食や中華、フレンチといったさまざまな料理とコラボしながら追求してきた。先月も新宿の人気ラーメン店「凪(なぎ)」とコラボしてコオロギラーメンを販売、大好評を博した。

小学生や幼稚園児とともに河原へ出かけて「虫のワークショップ」も行っているという篠原さん。魚に詳しいあの青年が「サカナくん」なら、彼は「むし太郎」とでもいったところか。ちなみに一年中、半袖半ズボン。昆虫界のルフィともいえよう。



このバーで開くイベントは今回で3回目。それまではお酒のおつまみに合う料理を提供していたが、今回はバレンタインデー直前ということもあり、スイーツに特化した。

「作り始めた当初、スイーツの甘さに虫が飲まれてしまって難しかったのですが、最終的には虫の風味を生かしたスイーツができたと思います」と語る篠原さん。レシピ開発にあたってはフリーパティシエとして活躍している大島康介さんに協力してもらい、「最高のものができました」。

客の中にはイベントの常連や、先日コオロギラーメンを食べに訪れたという人も多くいた。筆者が行ったのは夜10時過ぎだったが、その時点で60皿分の虫キャラメリゼはすべて売り切れていた。



こちらの「コップのフチ子」状態のタガメ、実は中身がカクテルに贅沢に使用されている。お客さんは、タガメの洋ナシの香りを嗅ぎながらカクテルを飲むなど、先入観にとらわれず、楽しんでいた。

場所の提供とともに、イベントプロデュースも篠原さんと一緒に行っているバーテンダーの松村僚さんは(44歳)は、「篠原さんは提案をいろいろしてくれるし、楽しい。イベントは非現実的でいつもワクワクしています」と次の企画に向け早くも期待を高めていた。
(内堀たかふみ)