「毎月分配型投資信託」の実力を見極めるには 「本当の利回り」「分配健全度」「分配余力」の 3つのポイントをしっかりチェックしよう!

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2016年を振り返ってみると、高齢者を中心に人気が高い「毎月分配型投資信託」の分配金の減配が相次いだ1年となった。その大きな要因の1つが、年初から初秋にかけての円高だ。ただ、ここに来てドル・円の為替相場は円高から円安へと転換。胸をなで下ろしている人もいれば、円高局面での減配で解約してしまったことを今になって後悔している人もいるだろう。

こうした相場の変動に判断を揺れ動かされる投資から逃れるためには、投資信託の分配金ついて正しい知識と評価の仕方を見つけることが重要だ。そこで今回は、「毎月分配型投資信託」で失敗しないための分配金について、ポイントを紹介しよう。

保有する毎月分配型投資信託の分配金が
「減配されたら即解約」は間違っている!

 2016年は、毎月分配型投信の減配により、多くの人がそうした投資信託を解約した年だった。果たして、この行動は正しかったのだろうか。結論から言えば、減配が実施されたからといって慌てて解約したのは大間違いだ。投資信託の優劣は1年ごとの分配金で判断すべきではない。買ってから現在までに受け取った分配金の合計額と基準価額の増減額を加味(これを総合収益という)して判断するのが、正しい評価方法だ。

 このためには、まず自分が保有する投資信託の総合収益を確認してほしい。各投資信託の販売会社のサイトでは、個別の保有投資信託の分配金と基準価額での損益を合わせた「トータルリターン」を見ることができる。窓口で購入した場合は、その支店で言えば出してくれる。

 そして、総合収益が悪化しているからといって、すぐにすべて売るのは正解ではない。投資信託は、販売会社によっては1円単位での解約も可能なので、一部だけを解約したり、今後の収益がどう変化するのかを見守るのも悪くはない。

 投資信託は投資家から集めた資金を分配金として返還することができる。つまり、減配がないから自分が受け取っている分配金はすべて利益から出ていると思うのは間違いだ。そうなると、運用がうまくいかない中で、単なる投資元本の返還が永遠に続くよりは、運用がうまくいかない時は思い切って減配をしてくれたほうが投資家にとってはプラスといえる。毎月分配金を受け取ってきた結果、気づいたら預けていた額が基準価額の半分になっていたという状況に陥らないようにするのも、投資においては重要なのだ。

 では、自分の保有する投資信託がどういった状況なのか知るためには、何をチェックすればいいのだろうか。ここでは、3つのポイントを紹介しよう。

見せかけの分配利回りに騙されるな!
毎月分配化型投信の実力値を3つのデータでチェック

 繰り返しになるが、単純に毎月分配型投資信託に投資して毎月分配金がもらえているからといって喜んでいてはいけない。なぜならば、分配金が出ても基準価額が下落しているとその下落分は投資した元本からの返還となっているからだ。つまり、分配利回りは分配金の額だけでなく基準価額の変化(特に下落額)も併せて評価するのが正解だ。

 まず、見るべきは「本当の利回り」。基準価額が下落した時は1年間の分配金合計額から基準価額の下落分を差し引いた「正味の分配金」を1年前の基準価額で割って算出する。

 上昇した時は、上昇分は髪せず分配額の合計を1年前の基準価額で割って算出する。この数値がマイナスになっているとしたら、元本を取り崩して利益以上の分配を行なっている可能性が大きいので要注意だ。

 マイナスの利回りが続いた場合は、元本取り崩しのタコ足分配となるので注意が必要だ。6ヵ月前、1年前の利回りと比べてトレンドを見よう。ただし、こうして算出した「本当の利回り」は実積であって今後の予想値ではないので、目安として使いたい。

 次にチェックしたいポイントが、利益から分配金がどれだけ支払われているかを見る「分配の健全度」だ。

 当然のことながら、投資信託自体が受け取った利子や配当や値上がり益の範囲内で分配金が支払われていたら問題はない。つまり、上昇時はすべて利益から分配金が出ているため、健全率は100%となる。

 しかし、投資信託が受け取った利益以上を分配しているとなると要注意だ。

 投資信託自体の価額が下落しているときは、分配金合計額から下落分を差し引いた正味の分配金を分配合計額で割って、分配健全度を算出しよう。

 さらに、この分配の健全度が悪化している場合、その投資信託はこれまでの”貯蓄”を切り崩して分配を行なっている可能性がある。一般家庭でも、夫の給料が減った時にそれまでの生活を維持しようとするなら、貯金を取り崩すしかない。投資信託の分配金もこれと同じだ。そこで、投資信託にあと何カ月分の分配原資が残っているのかを示す「分配余力」のチェックも大切。

「投資信託が保有する分配原資(運用報告書に掲載)」を「直近1カ月の分配金」で割って算出する「分配可能月数」が少ないと、成績不振時に即減配や元本の返還での分配になりやすい。一方で「分配可能月数」が多いほど、分配余力が高いということになる。

 毎月分配型投資信託は、いくら分配金がもらえるのか、そしてそれが増えるのか減るのかということに目を奪われがちだが、それではいけない。今回紹介した、「本当の利回り」「分配の健全度」「分配余力」をしっかりチェックすることが大切だ。

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