ここ数年、日本企業による中国撤退が「ブーム」としてしばしば中国メディアによって報じられ、「撤退は中国企業にとって朗報」、「製造拠点から販売拠点へのシフトであり、撤退するわけではない」など様々な議論を呼んできた。そんな中、中国メディア・界面は24日、「日本の製造業に、中国回帰の気配が出てきた」とする記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 ここ数年、日本企業による中国撤退が「ブーム」としてしばしば中国メディアによって報じられ、「撤退は中国企業にとって朗報」、「製造拠点から販売拠点へのシフトであり、撤退するわけではない」など様々な議論を呼んできた。そんな中、中国メディア・界面は24日、「日本の製造業に、中国回帰の気配が出てきた」とする記事を掲載した。

 記事は、ジェトロ(日本貿易振興機構)が21日に発表した、日本企業4642社を対象にした調査結果で、中国で業務拡大の意向を持つ企業の割合が40.1%と、前年に比べて2ポイント増加したことが明らかになったと紹介。この結果に対し同機構が「底に触れたとはっきりは言えないが、そのような気配が出た」との見方を示したことを伝えた。

 そして、2012年の日本政府による尖閣諸島国有化などで日中関係が冷却化した影響などにより、13年以降減少傾向が続いていた中国業務拡大志向の企業が増加した背景の1つに、中国の人件費上昇が一段落したことがあると解説。15-16年の中国における全業界平均の賃金上昇率は6.1%でアジア太平洋の20カ国・地域中9位だったほか、17年は5.7%以下になるとの予測が出ているとした。また、特に紡績関連業界では現在購買コストの低さを改めて評価し、再び中国での生産を拡大しようとの動きも見られると説明している。

 日本企業による中国業務拡大の兆しが見える一方で、記事は米国のトランプ次期大統領が製造業の米国回帰を掲げていることを紹介。低廉な人件費を強みに持つベトナムなどの台頭とともに「世界一の製造大国」を標榜してきた中国の製造業は試練に立たされることになり、ローエンドからハイエンドへの「よりダイナミックでスピーディーな転換」が必要とされるだろうと指摘した。

 トランプ氏が掲げた構想がどこまで実現できるかは未知数だが、少なくとも世界の製造業全体に、大きな変革の波が押し寄せていることは間違いなさそうだ。新たな製造業の構図づくりを巡って、世界の工業国各国が模索と駆け引きを繰り広げている。その中で中国が大きな存在感を示すには、やはり技術力とともに、新しい物を生み出す力の向上が欠かせない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)