【釜本邦茂のガマッチョ診断】そもそもパワープレーに頼るなら、なぜハーフナーがいないんだ!
良く言えば、こういう厳しい戦いをモノにしたことは評価できる。どんな内容であれ、勝点3を手にしたことで、チームはまた前を向いていけるし、自分の経験から言っても、負けた時にはやはり周りの声というものを聞き入れ難くなる。まあ、勝ったことによって、「じゃあ、これからさらに内容を良くしていくにはどうする?」という話もしやすくなるものだからね。
とはいえ、もちろん試合を見たファンもそうだろうし、これまでいろんな解説者たちが散々指摘してきたように、とにかくいろいろと突っ込みどころが多すぎる試合であったことは間違いない。攻撃にしろ、守備にしろ「ん?」というようなプレー、采配、そもそもの選手起用が目についた。アジア全体のレベルが上がっているという言い分も分かるけど、そこを言い訳にしていたら日本のレベルは上がらないからね。
とにかく、僕が一番感じたのは危機感のなさだ。選手も監督もまだまだ尻に火がついている感じじゃない。
それは例えば守備面に表われている。後半の同点ゴールを食らった場面だ。セットプレーから頭で決められたわけだけど、なんであんなところで簡単にファウルしてしまうの? 事前のスカウティングでイラクのセットプレーが強いというのは分かっていたはずだ。しかも前半にポスト直撃のヘディングシュートも食らっている。酒井高はもっと慎重に対応しなければいけなかった。
この傾向は、最終予選が始まった時から続いているよね。UAE戦の2失点しかりだ。また酒井宏も3試合で早くもイエロー2枚で次は出場停止。ただでさえ、試合勘の足らない選手ばかりなんだから、こんな選手が今後ボロボロ出てきたら、試合にならんよ。
日本は、心のどこかでこのクラスの相手には1、2戦目と同じようにやれば勝てると、高をくくっていたんじゃないかな。UAE戦も負けたとはいえ、チャンスの数では随分上回っていたわけだからね。
だけど、このイラク戦はどうだろう? 最終的には山口の一発で押し切れたけど、試合を通じて日本はどうにもイラクの術中にハマったような戦い方をしていた。
UAEもそうだけれど、イラクもそれほどチームとしてこなれた組織力を持っているわけじゃない。チャンスは一発のカウンターとセットプレー。そこに全精力を傾けてくる。だからこそ、そうした局面では最大限に警戒を高める必要がある。

