日本国内のテレビ番組で先日、サービス態度が最悪として上海の老舗レストランが紹介された。その映像が先週ごろから中国国内のネット上で拡散し、議論になっている。中国メディア・新民晩報は8日、100年の歴史を持つというこのレストランを実際に訪れて調査し、日本の伝え方は行き過ぎながらも「否定できない点もある」とする記事を掲載した。(写真は新民網の29日付報道の画面キャプチャ)

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 日本国内のテレビ番組で先日、サービス態度が最悪として上海の老舗レストランが紹介された。その映像が先週ごろから中国国内のネット上で拡散し、議論になっている。中国メディア・新民晩報は8日、100年の歴史を持つというこのレストランを実際に訪れて調査し、日本の伝え方は行き過ぎながらも「否定できない点もある」とする記事を掲載した。

 記事はまず、2016年4月に日本のテレビ局が放送した番組の内容を紹介。中国のネット上で「0点」が付けられるなど酷評を浴びているとして、上海にある1905年創業の老舗レストラン・老半斎への潜入取材を行ったとした。

 その映像では、店内に入っても店員が誰も案内をしようとしない、厨房でコックが携帯電話をいじっている、客がいるのに空いているテーブル席でコックらがカードゲームに興じているといった様子が映し出されていたことを説明。先週ごろから中国のネット上でこの映像が拡散し始め、大部分のネットユーザーが「とても恥ずかしい」との感想を残していることを伝えた。

 記事はそのうえで、同店の実態を確かめるべく、7日昼に客として店を訪れたことを紹介。店の環境の第一印象は「中の上」であるとし、料理の値段も高くない、店員の態度も正常なレベルで、コックがスマートフォンをいじる、店員が新聞を読むといった状況もなかったと伝えた。そして、30分間滞在したうえでの評価を「0点は言い過ぎだ。緑豆スープの味はイマイチだったが」とした。

 さらに、同店のサービス担当マネジャーにインタビューを行ったところ、「ネットで言われているほど酷くはない」と語る一方、店員の態度には確かに問題があったことを認め、中国のネット上で騒がれてからは毎日のようにミーティングを開き、店員の行動を厳しく律し、サービスの向上に努めているとコメントしたことを紹介している。

 店に入って35年というこのマネジャーによると、「昔はみんな一生ものの仕事と思って、ベストを尽くすことを考えていた。今言われる『匠の精神』だ」とのこと。しかし近年では店員の入れ替わりが激しく、高いレベルの店員を引き留めるのが難しくなってしまったそうだ。

 なお8日付の同記事によれば、新民網の取材があった翌日から同店は店内の改修工事のため一時的に休業しているとのこと。テイクアウトは可能とのことだ。

 その程度はさておき、100年を超える歴史を持つ老舗の現在の姿としてはやはり寂しい。残念ながら、この店と同じような状況に追いやられている中国の老舗は少なくなさそうだ。この苦境を脱するにはどうしたらいいかを、中国社会全体が真剣に議論すべきだ。そのきっかけになるのであれば、日本での紹介も意味があったと言えるのではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(写真は新民網の29日付報道の画面キャプチャ)