新しい物語の幕があがる――渡部優衣、待望のメジャーデビュー!
長身小顔、長い手足を持つモデル体型。サラサラな黒髪を風になびかせながら現場に現れた渡部優衣に、その場にいたスタッフ全員が見惚れてしまった――だって透明感、溢れすぎなんだもの。『THE IDOLM@STER MILLION LIVE!』などの声優として活躍する彼女が、6月8日リリースのアルバム『FUN FAN VOX』でソロアーティストとしてメジャーデビュー。インディーズ時代の苦労を経ているからこそ感激もひとしおだろう、喜びを爆発させているに違いない…と思ったら本人は浮かれもせず、むしろ深刻な表情で「不安です」と切り出したのだった。ちょっと渡部さん、ネガティブすぎませんか…!?

撮影/西村 康 取材・文/江尻亜由子 ヘアメイク/大坪真人
            

メジャーデビューのことは親にも言えず…



――渡部さんはインディーズで2011年にデビューされていますね。今回メジャーデビューが決まったときは、どんなお気持ちでしたか?

うれしい気持ちもあったんですけど、大丈夫かな?っていう不安な気持ちのほうが大きかったですね。やっぱりインディーズ時代、すごく大変だったので…。CDを1枚売る大変さを知っているので……。

――インディーズ時代には、お客さんが5〜6人しかいないライブも体験されていたとか。

はい…。だから、またCDを出すっていうのが…私、大丈夫かなって。歌うのは大好きだし、本当にうれしいんですよ! ただ、……ネガティブなんです(笑)。

――えっ、そうなんですか? いろんなエピソードから、明るくはじけたキャラクターなのかと。

明るいネガティブって言われます(笑)。

――ご家族とかお友だちに「メジャーデビュー決まったよ〜!」みたいな報告は?

実は、親にも、誰にも言ってなくて。

――えーっ?

不安だったので言えなかったんですよね…。両親はネットニュースを見て知ったみたいで、「頑張れ」って応援してくれました。幼なじみも連絡をくれて、「あんた、見たで!スゴいやん!」って。大阪でもイベントがあるので、「時間があったら来てね」みたいな話はしました。



――「アルバム買ってね!」くらい言っちゃえばいいのに…(笑)。

いえいえ、そんなことは……ひたすら黙ることしかできなかったです(笑)。

――渡部さんのメジャーデビューが決まって、ファンの方はすっごく喜んでいると思いますよ。

Twitterでもお手紙でも、「おめでとう」とか「楽しみにしてます」とか温かい声をいっぱいいただきました。本当にありがとうございます。みなさんの期待に応えられるように頑張ります。ポジティブになります!(笑)

――歌うことについては、昔から好きだったんですか?

そうですね。小さい頃からおばあちゃんにスナックに連れて行かれて、一緒に人前で歌ったりしてました。中学や高校のときは、放課後に友だちとカラオケに行ったり。

――当時の十八番は?

小学校の頃はモーニング娘。さんとかSPEEDさんが大好きで、休み時間には友だちと一緒にフリマネをして踊ったりしてました。中学からはアニソンに夢中になりましたね。

――今のボーカルスタイルに影響を受けている人っています?

水樹奈々さんはすごく好きで、今でもよく聴きます。あとはJAM Projectさんとか。だから少なからず影響は受けているかもしれません。



自分を見透かされたような歌詞にビックリ



――メジャーデビューアルバムとなる『FUN FAN VOX』のコンセプトを教えてください。

アルバムということなので、いろんな渡部優衣を楽しんでいただけるように、いろんなタイプの曲が詰まっています。普段は声優としてキャラクターソングを歌う機会が多いんですけど、今回は自分自身の思いを伝えられるように意識して、レコーディングに挑みました。

――1曲目の『Brightest story』は、渡部さんのこれまでの歩みを歌詞にしてもらったものだそうですね。

作詞を担当してくださったハラユカ。さんに、「昔こういう活動していて、今はこうで、こういうことがすごく好きで」みたいなことをお話させていただきました。そしたら、私が話したこと以上に伝わっていたというか、見透かされている感すらあって。歌詞を見たときに、ちょっとビックリしました。



――とくに気に入っているフレーズというと。

サビの「新しい私たちが 今はじまる」「新しい物語が 始まってる!」っていうところ。ファンの方と一緒に新しい世界に踏み出そうとしている私の気持ちとリンクしていて、好きだなと思いました。あと、ちょっぴりネガティブなところも(笑)。

――「自分の弱さを感じでへこむ」ってフレーズとか、そうですよね。

そうなんです。「自分の弱さを感じてへこむ でも前へ」。ネガティブな気持ちを抱えたまま前へ進んでいくっていうところとか、私っぽいなって。



――渡部さんご自身が作詞を手がけられている『常夏ココナッツ』については?

6月発売なので夏っぽい歌がいいんじゃないかな?と思ったら、「常夏ココナッツ」っていうワードが浮かんできて「これだ!」と(笑)。そこからは、すらすらすらって書くことができました。小悪魔っぽい、ちょっとドキッとするワードも入れてみたり。

――もうひとつ、作詞を担当された『Last_Pain』は?

私のネガティブさが存分に出た歌詞になっています(笑)。最後の「孤独があれば手を差し伸べていくよ」には、いろんな人に支えられてここまで来ているからこそ、私もいろんな人を支えたいっていう気持ちを込めました。

――作詞の作業はいつ頃だったんでしょう。

年明けからレコーディングと並行してやっていました。『Last_Pain』は、歌詞を書き上げるのにすっごく時間がかかってしまい、最後にレコーディングすることになるという(笑)。

――もともと作詞の経験が?

インディーズ時代に書いたことはあったんですけど、得意とかじゃないです。今回も書いてみませんか?って声をかけていただいたので、「じゃあ頑張ります!」ってお答えしたのはいいものの……。

――等身大の言葉だからこそ、聴く人の心に響くものがあると思います! キャッチーなフレーズも耳に残りますし。

ホントですかー! わーうれしい!! 辞書で言葉を調べながら頑張って作りました!!

――そういえば以前は、辞書を読むのが趣味だったそうで…?

アハハハ、そうなんです。ボキャブラリーが少ないから、日本語を勉強しなきゃと思って。結果、読んでるだけで、頭には全然入ってこなかったっていう(笑)。今でも漢字を読み間違えたりして「偏差値が低い」って言われたりするので(笑)、もっと勉強しなきゃなって思ってます。