英国ロンド市内、テムズ川に架かるランビス橋。近くには英国安全局(軍情報部第5課、MI5)がある。やや遠くに有名な時計台「ビッグベン」も見える。ロンドン名物の赤い2階建てバスが停まっていた。「ドーン!」。バスはいきなり爆発した。(写真は新華社配信の8日付報道の画面キャプチャー)

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 英国ロンド市内、テムズ川に架かるランビス橋。近くには英国安全局(軍情報部第5課、MI5)がある。やや遠くに有名な時計台「ビッグベン」も見える。ロンドン名物の赤い2階建てバスが停まっていた。「ドーン!」。バスはいきなり爆発した。

 紅蓮の炎が周囲を圧した。高さは30メートルにもなった。大小さまざまの破片が吹き飛んだ。中空から、くるくると回転しながら周囲に降り注いだ。

 大音響を聞き、とっさにバスの方向を見た人には、バスから炎が噴き出し、ゆっくり煙になっていく様子を見た。「テロだ!」――。そう思った人も多かった。「(驚きと恐怖で)胃が痙攣(けいれん)するようでした」と、SNSで書き込んだ人もいる。近くの公園で遊んでいて、驚いて腰を抜かしてしまった子どももいたという。

 爆発があったのは、国家の重要な情報機関であるMI5の近くだ。狙われる危険は常にある。しかしそれにしても、消防車が近づいてくる気配がない。警察車両もだ。来ない。何をしている。

 そのうち人々は、英保守党のナイジェル・ハドルストーン国会議員が、インターネットに先ほどの爆発シーンの映像とコメントを投稿していることに気づき始めた。ハドルストーン議員は1970年生まれの若手あるいは中堅政治家だ。

 ハドルストーン議員は「どうです? 先ほどの爆発で心配になってしまいましたか? あれは映画の撮影をしていただけですよ」と書き込んだ。

 ジャッキー・チェンが主演する、次回公開作のロケだった。小説「チャイナマン」(スティーブン・レザー著)を原作とするアクション映画で、撮影開始は2015年10月。ジャッキーの役どころは、今は中華料理の平凡な経営者だが、家族を爆破テロで失い、復讐に立ち上がる東洋人という。(編集担当:如月隼人)(写真は新華社配信の8日付報道の画面キャプチャー)