カーシェアリングをはじめとする「シェアリング・エコノミー」(共有経済)が日本国内で注目されるようになってすでに久しい。中国でもインターネットの普及とともに新たな経済の概念として導入に向けた模索が始まっている。中国メディア・新華社の金融系情報メディアである中国金融信息網は5日、「信用社会」の日本ではすでに「シェア」の概念が市民生活にまで浸透しているとする記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

写真拡大

 カーシェアリングをはじめとする「シェアリング・エコノミー」(共有経済)が日本国内で注目されるようになってすでに久しい。中国でもインターネットの普及とともに新たな経済の概念として導入に向けた模索が始まっている。中国メディア・新華社の金融系情報メディアである中国金融信息網は5日、「信用社会」の日本ではすでに「シェア」の概念が市民生活にまで浸透しているとする記事を掲載した。

 記事は、日本におけるカーシェアリングの事例を紹介。自家用車を長期間眠らせている人はシェアリング企業を通じて自動車を貸し出すことで、メンテナンスができるうえに収入まで得ることができるとした。一方、利用者もモバイル端末などを使えば数分で自動車に乗ることができ、マイカーを持たず、短時間の利用ニーズがある会社員、主婦、学生の人気を集めているとした。

 そのうえで、シェアリング・エコノミーが日本で発展、普及している背景として「日本社会が高度の信用社会であることが密接に関わっている」と解説。カーシェアリングでは毎回使用後にいちいち会社やオーナーによるチェックが行われないこと、不動産シェアリングでは一部の家主が利用者と顔を合わせることを求めなかったり、貸し出す部屋のカギを開けておいたりといったケースがあることを紹介した。

 そして、このような状況でもトラブルがめったに起こらないのは「市場経済体制の成熟と同時に、社会の信用体系も絶えず整備されてきた」からであり、幼稚園のころから信用教育を重視している賜物であると解説。「わが国は、シェアリング・エコノミーの発展と同時に、社会信用体系づくりを強化しなければならない。行政による監督や教育だけでなく、われわれ個人にも道徳的な縛りを強めることが求められるのだ」と締めた。

 中国には「『自己人』の壁」が存在するとよく言われる。家族や身内、あるいはそれ同然の付き合いをしている知人友人、すなわち「自己人」に対しては日本人から見れば驚くほどの「持ちつ持たれつ」の関係を築く一方、非「自己人」に対してはぞんざいに扱うというギャップだ。これから普及が進むであろう「シェアリング・エコノミー」は、非「自己人」に自らの所有物を使わせることになる。もちろん「シェア代」として対価が得られるわけだが、「自分のもの」のシェアが中国においてどの程度の速度で浸透していくのか、興味深い。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)