【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「難局を変えるには“奇跡”が必要だ」
日本代表があって本当に良かった――。
本田圭佑のことを語るうえで、我々イタリア人記者は何度この言葉を繰り返してきただろうか。
サムライブルーのユニホームを着ると本田の足は再び活力を取り戻し、彼らしいパフォーマンスを披露する。
それは、日本を背負っているという責任感だけからではないだろう。本田は日本代表の押しも押されもせぬリーダーであり、絶対不可欠な選手だ。つまり「自分の居場所」があるのだ。これは選手にとって非常に大きなファクターである。
代表チームの一員として過ごしたこの10日間は、イタリアでの苦境を忘れられるとまでは言えないまでも、リフレッシュはできたはずだ。
ただ、ミランでの本田の状況は、いつになく悪化している。以前は挽回の余地があったが、現在はチャンスさえも手に入れるのが難しい。
外から見ていても、本田とシニシャ・ミハイロビッチ監督の間に大きな溝ができてしまったのは明らかだ。それも、かなり短期間のうちに。
本田を待ち受けているのは、いわば袋小路である。ミハイロビッチという監督は、自分の仕事に口出しされるのを嫌がるタイプだ。だから、本田の例の爆弾発言は、彼にとって簡単に受け流せるものではなかった。
多くのメディアやサポーターは、本田の発言に最も気を悪くしているのがクラブだと思っている。本田が聖域であるチーム方針に口出ししたから、ミランは怒っているのだと。
しかし、本田への処分を公にしていない通り、ミランはできるだけ内密に、穏便にすべてを処理したがっている。
しかし、ミハイロビッチは違う。11月6日の会見で語った言葉は、かなり手厳しかった。
「もし不満があって出て行きたいなら、出ていけばいい。本田にはプレーするチャンスがあったと思う。出場機会が少ないからといって、私を非難するのは全くのお門違いだ。非難するなら自分をすべきだ」
そう、ミハイロビッチは本田の爆弾発言を許していないのだ。実際、その後の本田は、5試合連続で試合終了間際に顔見せ程度の出場に留まっている。
アレッシオ・チェルチに右ウイングのポジション争いで敗れたのは、そもそもは絶対的なパフォーマンスが原因だった。現在のチェルチと本田を比べれば、前者がスタメン起用されるのは当然だ。
しかし、2分、1分、5分、9分、18分(ロスタイムを除く)しか出場時間を与えられなかったここ5試合を見るにつれ、私の考えも徐々に変わってきた。
ここ最近の起用法は、パフォーマンスの評価はもちろん、ミハイロビッチなりの爆弾発言に対する“懲罰”なのではないか。そう思えてきたのだ。
しかし、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長には、本田を来年1月に手放すつもりがサラサラない。少なくとも現在は控えとして計算しているからだ。もし退団があるとすれば、来夏の話だろう。
選択権は本田にある。なぜなら、伝統的にミランは、退団を望む選手をわざわざ引き留めるチームではないからだ。ロッソネーロに愛着が持てないならば、出ていけばいい――。それが基本スタンスだ。
だから、本田が来夏に強く退団を望めば、きっとチームはその希望を叶えるだろう。ただ、今のところ本田側からそこまで強い要望はないようだ。
本田の動向には多くのクラブが目を光らせており、現在はウェストハム、トッテナム、エバートン、バレンシアなどの名前が取沙汰されている。
とはいえ、彼らにしても現在は1月ではなく、6月の獲得に向けて動いている。本田とミランの契約は17年6月まで。奇跡でも起こらない限り契約延長はありえない現状を考えると、ミランとしても契約満了1年前の6月は“売り時”だ。
本田圭佑のことを語るうえで、我々イタリア人記者は何度この言葉を繰り返してきただろうか。
サムライブルーのユニホームを着ると本田の足は再び活力を取り戻し、彼らしいパフォーマンスを披露する。
それは、日本を背負っているという責任感だけからではないだろう。本田は日本代表の押しも押されもせぬリーダーであり、絶対不可欠な選手だ。つまり「自分の居場所」があるのだ。これは選手にとって非常に大きなファクターである。
代表チームの一員として過ごしたこの10日間は、イタリアでの苦境を忘れられるとまでは言えないまでも、リフレッシュはできたはずだ。
ただ、ミランでの本田の状況は、いつになく悪化している。以前は挽回の余地があったが、現在はチャンスさえも手に入れるのが難しい。
外から見ていても、本田とシニシャ・ミハイロビッチ監督の間に大きな溝ができてしまったのは明らかだ。それも、かなり短期間のうちに。
本田を待ち受けているのは、いわば袋小路である。ミハイロビッチという監督は、自分の仕事に口出しされるのを嫌がるタイプだ。だから、本田の例の爆弾発言は、彼にとって簡単に受け流せるものではなかった。
多くのメディアやサポーターは、本田の発言に最も気を悪くしているのがクラブだと思っている。本田が聖域であるチーム方針に口出ししたから、ミランは怒っているのだと。
しかし、本田への処分を公にしていない通り、ミランはできるだけ内密に、穏便にすべてを処理したがっている。
しかし、ミハイロビッチは違う。11月6日の会見で語った言葉は、かなり手厳しかった。
「もし不満があって出て行きたいなら、出ていけばいい。本田にはプレーするチャンスがあったと思う。出場機会が少ないからといって、私を非難するのは全くのお門違いだ。非難するなら自分をすべきだ」
そう、ミハイロビッチは本田の爆弾発言を許していないのだ。実際、その後の本田は、5試合連続で試合終了間際に顔見せ程度の出場に留まっている。
アレッシオ・チェルチに右ウイングのポジション争いで敗れたのは、そもそもは絶対的なパフォーマンスが原因だった。現在のチェルチと本田を比べれば、前者がスタメン起用されるのは当然だ。
しかし、2分、1分、5分、9分、18分(ロスタイムを除く)しか出場時間を与えられなかったここ5試合を見るにつれ、私の考えも徐々に変わってきた。
ここ最近の起用法は、パフォーマンスの評価はもちろん、ミハイロビッチなりの爆弾発言に対する“懲罰”なのではないか。そう思えてきたのだ。
しかし、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長には、本田を来年1月に手放すつもりがサラサラない。少なくとも現在は控えとして計算しているからだ。もし退団があるとすれば、来夏の話だろう。
選択権は本田にある。なぜなら、伝統的にミランは、退団を望む選手をわざわざ引き留めるチームではないからだ。ロッソネーロに愛着が持てないならば、出ていけばいい――。それが基本スタンスだ。
だから、本田が来夏に強く退団を望めば、きっとチームはその希望を叶えるだろう。ただ、今のところ本田側からそこまで強い要望はないようだ。
本田の動向には多くのクラブが目を光らせており、現在はウェストハム、トッテナム、エバートン、バレンシアなどの名前が取沙汰されている。
とはいえ、彼らにしても現在は1月ではなく、6月の獲得に向けて動いている。本田とミランの契約は17年6月まで。奇跡でも起こらない限り契約延長はありえない現状を考えると、ミランとしても契約満了1年前の6月は“売り時”だ。