ミラン対サッスオーロ戦の結果&スタメン。

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 10月25日のセリエA9節、サン・シーロでミラン対サッスオーロ戦が開催された。
 
 3試合勝星なしで13位に沈み、ミハイロビッチ監督の解任も囁かれるミランは、前節同様に4-3-3を採用。ウイングは右にチェルチ、左にボナベントゥーラが入り、本田は公式戦4試合連続のベンチスタートとなった。
 
 また、GKには不調のD・ロペスに代わって超逸材のドンナルッマを抜擢。あのブッフォンが保持していたGKのセリエA最年少先発記録を塗り替える、16歳と8か月でのデビューとなった。
 
 ここまで4位と好調サッスオーロは、これまで通り4-3-3を採用。過去5度のミラン戦で実に7ゴール・2アシストを記録している“ミラン・キラー”のベラルディも右ウイングで先発した。
 
 序盤から相変わらずビルドアップが上手くいかないミランだが、右サイドのチェルチにボールを集めて個人技での打開を目指す。
 
 そして29分、チェルチの斜めのスルーパスに飛び出したバッカが倒されてPKを獲得。これでサッスオーロのGKコンシーリは一発退場となった。このPKをバッカが冷静に沈め、ミランが先制に成功する。
 
 ただ、その後のミランは数的有利を活かせず、内容的にはほぼ互角の展開が続く。
 
 そして53分、ミラン・キラーのベラルディが輝きを放つ。ゴールまで29メートルの直接FKを、左足で見事に蹴り込んだのだ。これでサッスオーロは同点に追い付いた。
 
 勝利が欲しいミランは60分、ポーリを下げてL・アドリア―ノを投入。システムを4-4-2に代えて、1点を狙って攻勢を強める。さらに70分には、クツカを下げてベルトラッチもピッチに送り込んだ。
 
 このベルトラッチが良い形でボールを受けてリズムを作り、ミランは74分にL・アドリアーノ、75分にボナベントゥーラ、76分にアントネッリ、79分にバッカがシュートを放つが、いずれもゴールネットを揺らすには至らない。
 
 しかし86分、ボナベントゥーラの右CKをL・アドリアーノが頭で押し込んでゴール。何とか逆転に成功する。89分にはチェルチに代わって本田が登場。試合はこのまま終了し、ミランがサッスオーロを2-1で下した。
 4試合ぶりに勝利を挙げたミラン。とはいえ、手放しで喜べる内容だったとは決して言い難い。
 
 60分間ほどを1人多い状況で戦いながら、パスワークには相変わらず余裕がなく、無理な縦パスによるボールロストが多発。なんとか前線に繋いでも、サポートが少なく、個々の打開を周りが傍観しているようなシーンが幾度となくあった。
 
 この日、攻撃陣でもっともボールに触ったチェルチが右サイドでボールを持っても、チームメイトにはオフ・ザ・ボールの動きで周辺にスペースを作ったり、中央でボールを受けたりする動きが余りに少なかった。
 
 実際、この日のゴールはPKとCKから生まれたもの。流れの中からの得点はゼロだった。サッスオーロに退場者が出ていなければ、勝利できていたかわからない――。そんな内容の試合だったのだ。
 
 よってミハイロビッチ監督の首は、次節のキエーボ戦(10月28日)まで繋がったにすぎない。ここで敗れれば、解任されても不思議はないだろう。
 
 ちなみに本田は、2試合連続でラスト数分間の出場に留まった。1点リードの試合終了間際の段階で、疲れが見えるうえ守備が得意ではないチェルチに代えて、体力十分で献身的な働きができる本田を投入という采配は、明らかに「守備固め」、「時間稼ぎ」という意味合いのものだった。
 
 現状ではこの立場を受け入れて、トレーニングとわずかな出場時間でアピールする以外に、道は残されていない。
 
文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)