もはや国民的行事となったエープリルフール

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4月1日のエープリルフール。ネットがそのネタでにぎわうのはすっかりおなじみの風景となった。個人がうそをつくのはもちろん、企業が競うようにユーモアたっぷりの新商品やイベントを発表する。

ところが、「エープリルフールは好きじゃない」と思っていたり、騒ぎを冷ややかに見たりしている日本人は意外に多い。そんな調査結果も出ているほどなのだ。

好きなのは10人に1人だけ?

2015年4月1日0時きっかりに、各社は公式サイトやテレビCMでエープリルフールネタを次々と発表した。たとえば、おもちゃメーカーのバンダイは高さ40メートルの「実物大ウルトラマンフィギュア」の発売、旅行会社エイチ・アイ・エスは「宇宙支店建設開始のお知らせ」とサイトなどで発表。なかには講談社の「ドローンによる選書宅配サービスを今夏から開始」のように、もしかしたら本当かも?と思わせるジョークもあった。

東京新聞「こちら特報部」は、恒例ネタとして「ウイルスで戦争根絶」「将棋VS囲碁 盤上の異種格闘戦」「土佐のレジェンド妖怪『シバテン』現る」などの記事を紙面に盛り込んだ。

そうした盛り上がりの一方で、ちょっと意外なデータがある。不動産情報サイトの「at home」が全国の20〜50代500人を対象にしたアンケートによると、エープリルフールが好きかという問いに対し、51.2%が「いいえ」と回答している。この日にうそをついたことがある人は55%と過半数に上るものの、「好き」だと答えたのはわずか10.6%にとどまった。まじめな国民性なのか、「誰に対してもうそは許されない」とした人は24%にも達している。

毎年やっているので、「今さらやめにくい」

エープリルフールネタで盛り上がるツイッターを見ても、「まじ苦手なイベント」「エープリルフールの楽しみ方がいまいち分からない」などと否定的な意見が意外に多い。

一部では企業発信のネタに、

「必死こいてサイト作った企業とかあるんだろうけど、もういいよ」
「みんな見慣れてきているからハードル上がってる。 たいがいのネタはスベっている」

と冷ややかな視線を送る人もいる。

ではなぜ、企業はネタに取り組み続けるのか。広告業界関係者も「正直に言ってつまらないと思うネタはある」と認める。しかし「テレビなどに取り上げられやすく、効果は大きい」と考え、企業側が代理店などに企画を依頼することもあるという。実際、メディアにエープリルフールネタを売り込んでいる企業は多い。

なかには毎年やっているので、「今さらやめにくい」という企業もあるそうだ。